3つの小目標のモジュールをそれぞれ1つ以上組み合わせると「災害時に子どもたちが食べて生き延びるために必要な主体的に行動する態度の育成」を目標とする食に関する防災教育プログラムを作ることができます。このプログラムは1単位時間の授業でも、数単位時間の授業でも行うことができます。 各モジュールには、学習活動のイメージ(ねらい、児童の活動、指導上の支援・留意点、準備する物)とその学習活動で必要な教材が用意されています。できそうなモジュールを組み合わせて、食に関する防災教育を行ってみませんか。

小目標非常時への備えに取り組む態度を養う

学習適切な食糧備蓄量について

題材について
災害時には、いつもと変わらない、温かく、栄養バランスのとれた食事があれば、心と体が満たされる。また、災害時でも、毎日変化に富んだおいしい食事があれば、前向きな思考と、元気に活動するためのエネルギーが湧いてくる。しかし、備蓄食品の役割及び量について学ぶ機会が少ない児童は、備蓄食品についての知識に乏しい。自然災害の多い日本において、災害時の備えについて理解し、用意しておくことは非常に重要である。その手立ての一つとして、児童が備蓄食品の役割を理解し、災害時に備えて家庭に必要なものや量を考えることのできる技能を育てることを提案し、本題材を設定した。
食育の視点
災害時に必要な備蓄食品の役割や量について理解し、自宅の備蓄食品を準備する。<食品を選択する能力>
学習内容の目標
災害時に備えたものの役割を知る。(知識・技能)

モジュール 6-1備蓄食品の役割を知る

震災後のスーパーの様子から、家庭で食料を備蓄しておく必要があることを学びます。どのような備蓄食品がどれくらい必要かを、クイズ形式で学習するモジュールです。

ねらい
  • 備蓄食品の役割を知る。
児童の活動
  1. 備蓄食品が必要な理由を知る。
  2. パッククッキングの備蓄食品とは何かを知る。
  3. どれくらいの量の備蓄食品が必要かを知る。(クイズ)
指導上の支援・留意点
  • 災害が起こった時のイメージができるようにする。
  • 全員に見えるように、スライド教材をプロジェクター等で映す。
  • 学級全員が参加できるようにクイズをプロジェクター等で映しながら発問する。
準備する物

ワークシート

スライド教材

教材

スライド教材

ワークシート

モジュール 6-2我が家の備蓄食品リストを作る

学校の防災献立等を紹介し、家庭だけでなく学校でも災害に備えて食料を備蓄していることを学びます。自分の家に必要な備蓄食品リストを作成するワークを行います。

ねらい
  • 我が家の備蓄食品リストを作る。
児童の活動
  1. 防災献立から学校の備蓄食品の種類と量について知る。(備蓄食品、防災献立)
  2. 家で調べてきた備蓄食品と理想の備蓄食品を比較して、我が家の備蓄食品リストを作成する。
指導上の支援・留意点
  • 学校でも家庭と同じように備蓄食品があることを気付けるようにする。
  • 3日分の備蓄食品を考えられるようにする。
準備する物

給食献立カレンダー

ワークシート

教材

スライド教材

ワークシート

学習非常用持ち出し袋の中身について

題材について
災害時に備えて、非常用持ち出し袋は重要な役割を果たす。しかし、非常用持ち出し袋の中身は個人によって用意するものが異なり、一様ではない。自然災害の多い日本において、自分の非常用持ち出し袋の中身について考え、用意しておくことは非常に重要である。その手立ての一つとして、児童が一般的な非常用持ち出し袋の中身を知り、災害時に備えて自分が必要なものを考えることのできる技能を育てることを提案し、本題材を設定した。
食育の視点
災害時に備えて非常用持ち出し袋の中身を考える。<食品を選択する能力>
学習内容の目標
災害時に役立つものを知る。(知識・技能)
自分に必要な非常用持ち出し袋の中身を考えることができる。(思考力・判断力・表現力)

モジュール 7-1非常用持ち出し袋について知る

非常用持ち出し袋を実際に見て、どのようなものが入っているのかを確認します。非常用持ち出し袋を用意する理由や家に置いておく時の注意点を学びます。

ねらい
  • 非常用持ち出し袋について知る。
児童の活動
  1. 非常用持ち出し袋がどのようなものなのかを実際に見る。中に入っている備蓄食品などを見る。
指導上の支援・留意点
  • 非常用持ち出し袋の中に、スーパーでよく見るもの(レトルト食品など)が入っていることで、身近に感じる。
  • 自宅に準備しているかを尋ねる。準備している場合には中に入っているものを共有する。
準備する物

非常用持ち出し袋

スライド教材

教材

スライド教材

ワークシート

モジュール 7-2非常用持ち出し袋の中身を考える

具体的な例を使い、非常用持ち出し袋の中に何を入れるとよいかを考えるモジュールです。自分の家に置く必要のあるものも考えます。

ねらい
  • 非常用持ち出し袋の中身を考える。
児童の活動
  1. グループ活動・シチュエーションラーニング
  2. 家族のメンバーに必要なものを備蓄アイテムカードから選び、黒板で説明をする(なぜそれが必要なのか等)。グループ活動→学級全体
指導上の支援・留意点
  • 祖父と妹(乳児)には特別な配慮がいることを考える。
  • プロフィールの書かれたワークシートと備蓄アイテムカードを各グループに配る。大きいプロフィールカードと備蓄アイテムカードを黒板にも貼る。
  • すべての班の結果が共有できるように写真を撮っておき、最後にテレビに映す。ロイロノートが使用できれば、テレビ等で共有する。
  • 備蓄アイテムカードにはマグネットを貼っておき、家族メンバーの下にはって移動できるようにする。
準備する物

ワークシート

プロフィール

備蓄アイテムカード

教材

スライド教材

ワークシート

学習備蓄食品の保管について

題材について
災害時においても、いつもと変わらない、温かく、栄養バランスのとれた食事があれば、心と体が満たされる。また、災害時でも、毎日変化に富んだおいしい食事があれば、前向きな思考と、元気に活動するためのエネルギーが湧いてくる。自然災害の多い日本において、このような生きる力を身に付けていくためには、災害時の備えについて理解し、用意しておくことが非常に重要である。その手立ての一つとして、災害時に備えて家庭の備蓄食品の保管場所や方法を考えることのできる技能を育てることを提案し、本題材を設定した。
食育の視点
備蓄食品の保管場所や保管方法を知り、自宅でできる適切な備蓄について考える。<食品を選択する能力>
学習内容の目標
備蓄食品について知る。(知識・技能)
ローリングストック法を用いた備蓄食品の保管方法について知る。(知識・技能)

モジュール 8-1備蓄食品の保管場所を知る

災害が起きた時、どこに備蓄食品が必要かを考えます。備蓄食品の適切な置き場所を学びます。

ねらい
  • 備蓄食品の保管場所を知る。
児童の活動
  1. 備蓄食品が必要な理由を知る。備蓄食品の保管に適した場所を考える。
  2. 家にいるときに災害(地震など)が起きた場合、どこに備蓄品が必要かを場面ごとに考える(シチュエーションラーニング)。
  3. 備蓄食品の保管に適した場所を知る。
指導上の支援・留意点
  • なぜその場所に置くかの理由も考えられるようにする。
  • 想像がしやすいように、スライド教材で家の写真を見せ、どこに備蓄品を置くかを考える(リビング、キッチン、玄関、寝室、クローゼット、ベランダ、等)。
  • グループで話し合いながら、置くべき場所を決める。その後、クラスで共有する。
  • 備蓄食品は1か所ではなく、複数か所保管しておくとよいことを気付く。
準備する物

スライド教材

ワークシート

教材

スライド教材

ワークシート

モジュール 8-2備蓄食品の保管方法を知る

備蓄食品の保管方法として、「ローリングストック法」について学びます。ローリングストック法のメリットや備蓄に適した食品についてクイズ形式で学ぶモジュールです。

ねらい
  • 備蓄食品の保管方法を知る。
児童の活動
  1. 備蓄食品の保管方法について知る。
  2. ローリングストックについてのクイズに答える。
指導上の支援・留意点
  • ローリングストック法についてスライド教材で説明をする(適した食品や量等)。
準備する物

スライド教材

ワークシート

教材

スライド教材

ワークシート

学習備蓄食品について

題材について
平時では、災害時の物資は3日ほどで届くとされている。しかし、熊本大震災や東日本大震災など大規模災害においてはこの予想を反して物資が届かないという状況にあり、実際に被災者からも食生活に困難を抱えたとの意見が多く寄せられた。このような背景から、災害時の食糧備蓄の備えが必要との考えが浸透しつつある。しかし、行政や先行研究による複数の調査によると、避難所などで一般的に備蓄されている食糧は炭水化物が中心という結果が報告され、栄養に偏りがあると考えられる。熊本地震において大規模な余震が発生したように、被災後も災害に備え、逃げる体制を整えておくことが重要であると考えられる。そのためには、被災後においてもなるべくバランスの取れた食事をすることで、身体の状況を良好に保つ必要性がある。よって本時においては、一般的な三色食品群をもとに、一般的な備蓄食にて栄養バランスの良い組み合わせを考えられることを目標に設定した。
食育の視点
災害時の食について知り、栄養バランスの良い備蓄食の組み合わせを考える。<心身の健康><食品を選択する能力>
学習内容の目標
備蓄食の役割と機能について知る。(知識・技能)
備蓄食の種類について知る。(知識・技能)
備蓄食の組み合わせによって栄養バランスの良い食事をとることができることを知る。(思考・表現・判断力)

モジュール 9-1災害時の食と食事の栄養バランスについて知る

災害が起こった際、食にどのような影響があるのかを学びます。また、モジュール9-2の事前学習内容として、三色食品群それぞれの働きと具体的な食品を学習します。

ねらい
  • 災害時の食について知る。
児童の活動
  1. 災害が起こった際、食にどのような影響があるのかを知る。
  2. 三色食品群それぞれの働きと具体的な食品を知る。
指導上の支援・留意点
  • クイズ形式で示し、児童の関心が高まるよう意識する
  • クイズや実際の様子の資料をわかりやすいようにテレビ画面などに映す。
準備する物

クイズ資料(スライド教材)、実際の様子の写真、スライド教材、ワークシート

教材

スライド教材

ワークシート

モジュール 9-2栄養バランスの良い備蓄食について考える

三色食品群の中で、災害時に過剰摂取、不足しがちな栄養素を具体的な事例から考えて学びます。

ねらい
  • 栄養バランスの良い備蓄食について考える。
児童の活動
  1. 三色食品群の中で災害時に過剰摂取、不足しがちな栄養素はどれかを知る。
  2. 各食品群の備蓄食にはどのようなものがあるのかを知る。(シチュエーション4択クイズ形式・グループ)
    • シチュエーション
      • こんなときどうする(i)* (赤の食品群)
      • こんなときどうする(ii)*(緑の食品群)
      • こんなときどうする(iii)*(黄の食品群)
指導上の支援・留意点
  • 全員に見えるようにクイズや教材をテレビ画面で移す。
  • 三色食品群について理解ができているかを確認しながら進める。
  • 各食品群を代表する備蓄食についても知ることができるようにする。
  • グループ全体で考えることができるように声掛けをする。
準備する物

(i)(ii)(iii)各食品群の資料、クイズ・解説の資料(スライド教材)、ワークシート

教材

スライド教材

ワークシート