核医学検査の種類

各診療科と連携して次のような核医学検査を行い、その画像診断をしています。

PET検査

PETとは、Positron Emission Tomography（陽電子放出断層撮影）の略です。陽電子を放出する放射性同位元素を含む薬剤を体内に静脈注射し、体内から放出される放射線（対消滅γ線）を検出することにより、薬剤の体内での分布を可視化することができます。

FDG-PET/CT

体内のブドウ糖の代謝を可視化する検査です。一部を除く悪性腫瘍や炎症をきたしている細胞では、ブドウ糖の消費が亢進しており、より多くの薬剤が取り込まれる性質があります。悪性腫瘍の広がり診断や治療効果判定、再発評価などに用いられる他、大型血管炎や心サルコイドーシスの診断などにも使用されます。
検査前は少なくとも5～6時間の絶食が必要になります。薬剤を注射し、待機室にてお水やお茶を飲みながら約1時間安静にしていただいた後、15分程度の撮影を行います。

アミロイドPET/CT（ビザミル^®）

脳内のアミロイドβの蓄積を可視化する検査です。アルツハイマー病の治療薬であるレカネマブ（レケンビ^®）・ドナネマブ（ケサンラ^®）の適応判断に使用されます。

シンチグラフィ・SPECT検査

放射性同位元素を含む各種薬剤を体内に静脈注射し、体内から放出される放射線（γ線）を検出することにより、各臓器の機能や血流、悪性腫瘍の広がりなどを可視化することができます。SPECTとは、Single Photon Emission Computed Tomography（単一光子放射断層撮影）の略で、体内から放出される放射線の分布を再構成し、輪切りの画像にしたものです。

骨シンチグラフィ（^99mTc-MDP/HMDP）

主に骨転移の有無や広がりの評価に用いられます。骨髄炎や骨折の評価を行うこともあります。

脳血流シンチグラフィ（¹²³I-IMP/^99mTc-ECD）

脳血管障害の評価や認知症・変性疾患の鑑別、てんかん焦点の検出などに使用されます。認知症における脳血流シンチグラフィでは、脳血流の低下部位から認知症のタイプ（アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など）を鑑別できる場合があります。

• DTARG (Dual Table Autoradiography)
  もやもや病や内頸動脈狭窄/閉塞症例での術前予備能評価・治療効果評価で行われることがある検査です。検査の途中で脳血管を広げる薬剤(アセタゾラミド)を投与します。動脈血内の放射能濃度を測定することで、脳血流を定量的に評価することができます。

ドパミントランスポーターシンチグラフィ（¹²³I-イオフルパン）

パーキンソン症候群の鑑別に用いられます。パーキンソン病やレビー小体型認知症など、黒質線条体のドパミン神経の変性・脱落をきたす病態では、その程度に応じて薬剤の線条体への取り込みが低下します。

肺換気/血流シンチグラフィ（^81mKrガス/^99mTc-MAA）

肺動脈血栓塞栓症や肺動静脈奇形、慢性血栓塞栓性肺高血圧症（CTEPH）の診断や肺手術前の評価に用いられます。肺換気シンチグラフィは吸入、肺血流シンチは静脈注射により投与します。

センチネルリンパ節シンチグラフィ（^99mTc-フチン酸）

乳癌やメラノーマの術前に投与します。手術時にセンチネルリンパ節を同定するのに有用です。皮下注射のため、薬液投与時に痛みを感じやすい検査です。

腎動態シンチグラフィ<レノグラム>（^99mTc-MAG3, ^99mTc-DTPA）

左右それぞれの腎機能や尿通過障害の有無を調べることができます。

ソマトスタチン受容体シンチグラフィ（¹¹¹In-ペンテトレオチド）

神経内分泌腫瘍の診断や放射性核種標識ペプチド治療（Peptide receptor radionuclide therapy; PRRT）の適応判断に用いられます。

リンパ管シンチグラフィ（^99mTc-HSAD）

リンパ浮腫の評価や乳び胸/リンパ漏の原因部位を特定するために行われます。

心筋シンチグラフィ（²⁰¹Tl, ¹²³I-BMIPP, ^99mTc-PYP,　¹²³I-MIBGなど）

薬剤(アデノシン)を用いた負荷心筋血流シンチ(²⁰¹Tl)、安静心筋血流シンチ(²⁰¹Tl)、心筋脂肪酸代謝シンチ(¹²³I-BMIPP)、ピロリン酸シンチ(^99mTc-PYP)、心筋交感神経機能シンチ(¹²³I-MIBG)などがあります。

その他

以下のような様々な核医学検査を行っています。

• ガリウムシンチグラフィ(⁶⁷Ga)
• 腫瘍タリウムシンチグラフィ(²⁰¹Tl)
• 唾液腺シンチグラフィ(^99mTcO₄^–)
• 甲状腺シンチグラフィ(^99mTcO₄^–, ¹²³l)
• 副甲状腺シンチグラフィ(^99mTc-MIBI)
• 副腎髄質シンチグラフィ(¹²³I-MIBG)
• 肝胆道シンチグラフィ(^99mTc-PMT)
• 蛋白漏出シンチグラフィ(^99mTc-DTPA-HSA)
• メッケル憩室シンチグラフィ(^99mTcO₄^–)
• フルシクロビンPET(アキュミン^®)