消化管
消化管診断部門では消化管CT検査(特に大腸CT検査)やMRI検査を行い、消化管腫瘍診断を中心とした業務を行っています。
CT検査
大腸CT
消化管CT検査は消化管内視鏡検査、消化管造影検査が発達していた本邦ではあまり重要視されていませんでしたが、近年のCT装置や画像処理装置の発達に伴って、以前に比べると格段に詳しい情報を得ることができるようになりました。特に大腸CT検査はCT colonography(CTコロノグラフィ)として2012年4月より保険診療の対象となっており、施行件数が増加しています。
健康診断の精査としてこれまで広く行われてきた消化管内視鏡検査に比べ、事前の準備や検査の際の負担を少なく行うことができる検査として大腸CT検査は注目され、全国で広く使用されています。また、大腸癌の治療前に行われる全身の転移検索や血管の確認目的に行われるCTにおいて大腸CT検査を併用することで治療前に必要な情報を一度で取得できるため、こちらの方面でも利用促進が図られています。
岐阜大学病院でも大腸内視鏡検査後の大腸がきれいになった状態でのCT colonographyを行うことができるようになりました。比較的簡単に大腸の客観的な情報を得ることが出来る大腸CT検査は非常に有用な検査です。今後もより患者さんに優しく、より正確な診断を行える検査を目指します。
腹部CT
胃癌や大腸癌などの癌の治療方針を決定する際には腫瘍の状態に加え、他の場所への広がり(転移)の状態を把握することが重要となります。また、手術を行う際に取り除く臓器につながっている血管の情報も出血を少なくするためには必要です。当院では造影CTを用いて術前の全身検索、血管解剖の把握を行っています。
また、腹痛の原因検索にもCTは広く用いられており、虫垂炎や憩室炎と言った炎症、イレウスや腸閉塞と言った通過障害などの消化管が原因となる腹痛でCTによる診断を行っています。
MRI検査
直腸MRI
直腸癌の治療においては、すぐに手術を行うのか、手術の前に化学療法や放射線治療を行うのかといった治療方針の決定や手術で直腸・肛門の機能をどこまで温存できるかという術式の決定に癌の進行度が影響します。腫瘍が直腸や周囲の組織にどの程度広がっているのかを評価する際にMRIが用いられます。
核医学検査
消化管疾患の診断において、古くから行われている検査に核医学検査があります。
メッケル憩室シンチグラフィ
生まれつき小腸の壁の一部が突出しているメッケル憩室という疾患の診断に使われるのがメッケル憩室シンチグラフィです。メッケル憩室は体が作られていく過程で胃や膵臓を作る予定の細胞の一部が憩室を形成しています。胃の粘膜に集まりやすい性質の薬剤を注射することで、胃の他にメッケル憩室に薬剤が集まり、診断が可能となります。小さい子供ではCTや内視鏡検査による診断が難しいことが多く、本検査が診断に役立つことがあります。
消化管出血・蛋白漏出シンチグラフィ
造影CT検査や内視鏡検査では原因がはっきりしない消化管出血の診断や、消化管から体に必要なタンパク質が漏れ出してしまう蛋白漏出性胃腸症の診断に用いられます。血液中に含まれるタンパク質と似たような性質の薬剤を注射し、それが消化管の中に漏れ出しているかどうかを確認します。