岐阜大学医学部 放射線科

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女性骨盤

女性骨盤領域とは

女性骨盤領域には子宮、卵巣、膣、外陰などの女性にとって重要な臓器が存在します。これらの臓器は思春期・性成熟期から更年期、老年期まで年齢・ホルモンによる影響を受けるため、ダイナミックに形態が変化します。また良性腫瘍(子宮筋腫、卵巣腫瘍など)や悪性腫瘍(子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌など)だけではなく、先天性性分化異常、子宮内膜症、性感染症、性器脱などの多岐に渡る疾患が生じます。妊娠に関連する疾患も多く、胎盤位置異常や異所性妊娠、妊娠・周産期・産褥期の合併症などが生じます。症例毎に異なる女性のライフステージに寄り添って診療することが重要です。

女性骨盤領域の画像診断

女性骨盤領域の画像診断では、産婦人科医による超音波検査(US)に引き続いて、MRIが施行されることが多いです。MRIは女性骨盤領域の診療において欠かせない重要な検査であり、その優れた組織コントラストにより子宮、卵巣などに生じる多くの疾患の診断に威力を発揮します。その他、空間分解能が高いCT、機能画像であるPETを併用することがあります。放射線科診断医は症例毎に適切な撮像法や撮像範囲を選択して、病変をより明瞭に描出できるように、また、若年女性が対象となることも多いため、放射線被ばくが必要最低限の量になるよう努めています。治療前の画像診断で病変の広がりを診断して臨床病期を正確に判定することにより、症例毎に適切な治療法や治療範囲を決定できます。また画像診断で良悪性診断、組織診断が可能になれば、適切な治療方針を迅速に決定することができます。このように、女性骨盤領域の診療において、画像診断は必要不可欠なツールになっています。

他診療科との協力

毎月1回開催される産婦人科・放射線科・病理カンファレンスでは、術後症例を振り返り、産婦人科医、放射線医、病理医が討論することにより、今後の診療に役立つ知見を継続的に蓄積しています。このカンファレンスにおいて、放射線科診断医は治療方針の決定に役立つ画像情報が提供できるように努めています。また、放射線治療医、放射線科IVR医も参加し、放射線治療患者や産科出血患者の情報を共有しています。

研究

女性骨盤領域の画像診断に関連する学会・研究会に積極的に参加して、常に最新の知見をアップデートしています。またMRIを中心とした女性骨盤領域の臨床研究に積極的に取り組んでおり、主な研究対象は子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌を含めた子宮腫瘍・卵巣腫瘍です。国際英文誌には岐阜大学放射線科発の多くの婦人科画像診断に関連する論文が掲載されています。

教育

若手医局員には全国規模の女性骨盤領域の画像診断に関連する専門的な学会・研究会に参加してもらい、大きな舞台で学会発表する場を提供しています。また多くの大学院生が在籍しており、大学院生には女性骨盤領域の画像診断に関連する専門的な知識を身につけ、研究の立案計画から遂行に至るプロセスを学んでもらっています。また毎週1回開催される放射線科内の画像診断カンファレンスにおいて、指導医が女性骨盤領域に発生する腫瘍の画像所見を医局員にレクチャーしています。