岐阜大学医学部 放射線科

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頭頸部

頭頸部領域とは

頭頸部領域には、頭蓋底、側頭骨、眼窩、鼻腔・副鼻腔、唾液腺、口腔、顔面骨・顎骨、咽頭、喉頭、甲状腺、リンパ節などの多数の領域が含まれます。頭頸部領域の特徴は狭い空間の中に複雑な解剖が凝縮されていることであり、聴覚、嗅覚、味覚の他にも咀嚼、嚥下、呼吸、発声、構音という人間らしい日常生活を送る上で重要な機能を担っています。その解剖の複雑さから、単一の診療科が担当することは難しく、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、眼科、脳神経外科、内分泌外科、形成外科などの様々な専門診療科が協力して診療を行っています。

頭頸部領域の画像診断

画像診断機器の急速な進歩により、頭頸部領域の複雑な解剖を画像診断で詳細に評価することができるようになり、質的診断や治療方針に役立つ情報を提供できる機会が増えてきました。頭頸部領域では空間分解能が高いCT、組織コントラストに優れるMRI、機能画像であるPETが主たる画像診断装置として用いられます。放射線科診断医は症例毎に適切な撮像法や撮像範囲を選択して、病変をより明瞭に描出できるように努めています。近年、頭頸部癌では機能温存治療が重要視されているため、治療前の画像診断で病変の広がりを診断して臨床病期を正確に判定することにより、症例毎に適切な治療法や治療範囲を決定する必要があります。また画像診断で良悪性診断、組織診断が可能になれば、適切な治療方針を迅速に決定することができ、治療開始までの期間を短縮できます。このように、頭頸部領域の診療において、画像診断は必要不可欠なツールになっています。


(左:CT画像、右:MRI画像)

他診療科との協力

頭頸部領域では治療まで視野に入れた画像診断を心がけています。毎週月曜に開催される頭頸部キャンサーボードに放射線診断医が必ず参加し、耳鼻咽喉科医、歯科口腔外科医、形成外科医などと討論して、治療方針の決定に役立つ画像情報が提供できるように努めています。

研究

頭頸部画像診断に関連する学会・研究会に積極的に参加して、常に最新の知見をアップデートしています。またCTやMRIを中心とした頭頸部領域の臨床研究に積極的に取り組んでおり、主な研究対象は頭頸部扁平上皮癌、唾液腺腫瘍、頸部リンパ節、頸部悪性リンパ腫、甲状腺癌などです。国際英文誌には岐阜大学放射線科発の多くの頭頸部画像診断に関連する論文が掲載されています。

教育

若手医局員には全国規模の頭頸部画像診断に関連する専門的な学会・研究会に参加してもらい、大きな舞台で学会発表する場を提供しています。また多くの大学院生が在籍しており、大学院生には頭頸部画像診断に関連する専門的な知識を身につけ、研究の立案計画から遂行に至るプロセスを学んでもらっています。頭頸部領域を専門とする放射線科診断医は全国的にも少ないのが現状ですが、教育と研究を両立すべく日々研鑽を積んでいます。