少子高齢化による救急医療のニーズ増大は、岐阜県でも例外ではありません。現在、年間8万件を超える救急車搬送が行われています。岐阜大学に高次救命治療センターが立ち上がるまで岐阜県における救急医療は単一臓器・単一疾患を念頭においた各科別診療を基本とする救急医療体制しかありませんでした。したがって、多くの多臓器疾患の患者は適切な医療を受けることが困難でした。高齢患者の増加に伴い(救急患者全体の50%を超えている)救急患者は多臓器・多疾患に罹患する患者が増加しています。このような患者に対して、通常、トレーニング中の研修医を単一臓器の専門家である指導医が片手間に指導している姿が一般的です。このようなトレーニングで救急医療現場のみならず医療現場で有用な人材が本当に育つのでしょうか?そうは思えません。私たちが提供するのは救急専門医になりたい方はもちろん、そうでない皆さんにも有用な後述するプログラムです。
当科が提供するプログラムは、岐阜県内10の病院、愛知県内3の病院が連携して、それぞれの病院の特徴を生かした研修を行うプログラムです。救急医療では、患者が医療にアクセスした段階では緊急性の程度や罹患臓器も不明であり、患者の安全確保には、どのような緊急性にも対応できる医師が必要です。我々の研修では、多様な疾病・外傷に対して、その重症度に応じた総合的判断に基づき、迅速かつ安全に急性期患者の診断と治療を進めるための能力を修得することができます。救急医療の3本の柱であるドクターヘリ、ドクターカーなどの病院前医療、救急外来での意思決定、その後方のクリティカルケア、さらには基礎研究臨床研究まで身につけることが出来ます。災害時の対応にも関与し、地域全体の安全を維持する仕事を担う能力も身につくわけです。
これからの時代に本当に必要とされる、危機管理対応の出来る医師は我々が育成いたします。
是非ドアを叩いてください。
小倉 真治 プロフィール
岐阜大学大学院医学系研究科 救急・災害医学分野教授
1985年、岐阜大学医学部を卒業。
同年から1997年まで香川医科大学麻酔・救急医学
1997年、米国サウスキャロライナ医学大学客員研究員。
2001年香川医科大学附属病院救急部助教授を経て
2003年岐阜大学大学院医学系研究科救急・災害医学分野教授。
2004年岐阜大学医学部附属病院高次救命治療センター長(兼務)。
2014年岐阜大学医学部附属病院長就任。