BUFFER SUBTRACTION

SAXS測定は差測定である。我々は、バッファー中のサンプルの露光を測定し、次いで、バッファーのみに対応する露光を測定する。ここでは、すべてのものができるだけ緊密に一致する必要がある。つまり、厳密に同じサンプルセルが両方の測定で使用され、連続測定間のセルの配置の変化は無視できる。さらに、バッファ測定はクリーンセルで行う必要がある。 X線窓の光路に付着するタンパク質は存在してはならない。これは、悪い差分に大きく寄与する。もし複数のSAXSデータセット、例えば濃度シリーズがあり、データセットの1つが正しく一致したバッファを持つと仮定すると、バッファの差分ミスが容易に判別できる。しかし、単一曲線のバッファ差分を評価するのははるかに難しいが、単一測定に対していくつかのガイドラインを提供することができる。

濃度シリーズでは、我々は同一粒子のサンプルSAXA曲線間でバッファ差分による差異があり、バッファー条件によって広角 における比プロットで系統的にまたがることに気がついた。図1に示すような曲率は、上または下のいずれかになり、曲線のいずれの1つかバッファの差分が悪いため、2つのデータセットを直接マージすることはできない。しかし、どのデータセットの差分が悪いのか?

図1

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我々は各SAXS曲線の実空間変換を調べなければならない。悪い差分は、 dmax 付近の P(r) 関数においてこぶ/へこみを有する傾向がある。これらの2つのデータセットを結合したい場合、緑色の曲線は〜0.15の q に切り捨てられなければならない。

図2

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さらに、スケールされたデータセットの Vc プロットも見ることができる。 2つのカーブが濃度によって異なる場合は、両方のプロットに完全にオーバーレイするはずである(図3)。しかし、2つの曲線はより広角 q 値で異なることが分かる。正確に差分されたSAXS曲線は、積分面積プロット(図3、右)のプラトー(平坦)に平坦化され、よりも大きな正の傾きを持ち、緑色曲線が問題のあるデータセットであることを示唆する。

図3

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