2025年度が始まりました。岐阜大学 第二内科(循環器内科・呼吸器内科・腎臓内科)から、呼吸器内科学講座が津端由佳里教授のもと2025年2月に新規開設されました。私たちも循環器内科学・腎臓内科学講座として再スタートです。
昨年度から、岐阜県脳卒中心臓病等総合支援センター事業(https://www.hosp.gifu-u.ac.jp/origin/gifu-noushin-center/)が始まりました。岐阜大学循環器内科と脳神経外科を中心に岐阜県内における、1.脳卒中・心臓病の患者さん及びそのご家族の相談支援、2.地域住民を対象とした脳卒中・心臓病(予防に関する内容を含む。)に関する情報提供及び普及・啓発活動、3.地域医療機関、医療従事者等を対象とした研修会及び勉強会等に取り組んでいます。詳しくは同センターホームページをご参照ください。
循環器内科には新年度から5名の新しいメンバーを迎えました。吉田明弘先生は1年間の米国スタンフォード大学留学と、その後1年間の中濃厚生病院での勤務を経て大学にもどってきてくれました。スタンフォード大学で学んだ血管内イメージングに関する経験を大いに生かしてくれるものと期待しています。山田良大先生は岐阜ハートセンターでの3年間の研鑽を終えて、大学にきてくれました。岐阜大学での勤務は初めてですが、新しい風を吹かせてくれることでしょう。林美紗代先生は産休後、近石病院での勤務をへて大学に戻ってくれました。冠動脈CTや心エコー図等の画像診断に活躍してくれそうです。栃洞亮太先生は岐阜市民病院の勤務を経て大学に戻ってきてくれました。若手の中心として臨床や教育のみならず、今後は研究にも取り組んでくれるとのことで、数年後の成果が楽しみです。最後に、田邊俊介先生は大阪公立大学医学部附属病院の循環器内科専攻医プログラムとの連携先として、岐阜大学に来てくれました。1年間という期間限定ですが大きく羽ばたいていただきたいと思います。
腎臓内科には平松美也先生が来てくれました。母校でもある岐阜大学で働くのは初めてで、かつ半年間と限られた期間ですが、活躍を期待しています。
冒頭に述べた通り、呼吸器内科が独立しましたが、私たち循環器内科・呼吸器内科・腎臓内科はこれまで通り連携しながら、臨床、研究、教育に取り組んでまいる所存です。これからもどうぞよろしくお願いします。
不整脈領域では心房細動に対するパルスフィールドアブレーションを導入しました。従来法と比較して合併症が少なく、治療時間も短い方法で、これからますます件数の増加が見込まれています。虚血性心疾患においては、石灰化病変を有する冠動脈に対する新たな治療法として、ショックウエーブIVL(Intravascular Lithotripsy)が新たに加わりました。音圧波により冠動脈の石灰化部分だけを選択的に破砕し、その後の拡張を容易にする効果があります。従来のロータブレーター(Rotational atherectomy)、ダイアモンドバック(Orbital atherectomy)とともに、難治性の石灰化病変に対する選択肢が増えました。また、昨年導入した「CoroFlow」による、冠動脈狭窄のない虚血性心疾患(INOCA: ischemia with non-obstructive coronary artery disease)の診断、特に冠微小循環障害(CMD)の診断は順調に行っています。これまで、冠動脈CTや冠動脈造影で「狭心症ではない」と言われていた方にとって、冠微小循環障害による狭心症の診断と治療が可能です。弁膜症においては、経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)は順調に経験を重ねております。また、近年患者数が激減しているリウマチ性僧帽弁狭窄症に対する経皮経静脈的僧帽弁交連切開術(PTMC)も昨年久しぶりに実施しました。心筋症診療においては岐阜大学附属病院が県内唯一の心アミロイドーシス治療導入施設ということもあり、岐阜県全域からご紹介をいただいております。それに伴って、心筋生検件数は年間80件へと倍増しています。 緊急連絡にはこれまで通り、循環器内科のホットライン「ハート♡コール(058-230-6183)」で対応しています(医師、医療機関からのみ受け付けております。)
金森准教授、遠藤医師らによる基礎研究では心筋梗塞モデルでSGLT2阻害薬(エンパグリフロジン)が心筋オートファジーを促し、左室のリバースリモデリングをもたらすとの結果を報告しました(Eur J Pharmacol. 2025 Apr 5;992:177355.)。当科におけるオートファジー研究については医学部のホームぺージでも特集していますので、ぜひともこちら(https://www.med.gifu-u.ac.jp/research/grad/autophagy/)をご参照ください。
渡邊医師を中心に産学連携で取り組んでいる。ウエアラブルデバイスの使用による遠隔心臓リハビリテーションの多施設共同研究は登録を完了しました。AIを用いた医用画像診断に関する研究では、増田医師の血管内超音波に関する研究が完了しました。また、Cedars-Sinai Medical Center留学中の佐橋医師が総説「AI-echocardiography: Current status and future direction」(J Cardiol. 2025 Feb 21:S0914-5087(25)00053-X.)を執筆してくれました。山本医師が取り組んでいる心不全のAI診断に関する研究は工学部とのタッグで進行中です。林先生の冠動脈石灰化による肺がん患者の心血管イベントの予測についての研究も論文完成し、本年度中にはご紹介させていただけると思います。不整脈領域では高杉医師の論文「Roles of Atrial Arrhythmias in Triggering Torsade de Pointes in Patients With Acquired Long QT Syndrome」がCirc Arrhythm Electrophysiol.に掲載されました。岐阜市民病院の村瀬先生(Heart Vessels. 2024 Oct;39(10):867-876.)、佐竹先生(Circ J. 2023 May 25;87(6):824-833.)は2名はいずれもMicroRNAの研究で学位取得に至りました。
昨年始まった多施設共同研究「僧帽弁輪石灰化にともなう僧帽弁狭窄症の日本人における自然歴」については、症例登録が完了し、現在研究結果をまとめている段階です。
岐阜大学と学術交流協定を結んでいる南フロリダ大学の医学生(昨年はShelbyさん、今年はAllisonさん)が交換留学生としてそれぞれ1か月間当科に留学されました。湊口医師のもと血管内超音波に関する臨床研究に取り組んでいただき、こちらもまもなく研究成果がご報告できそうです。
私たちの教室は循環器内科・腎臓内科を包括した内科学講座です。呼吸器内科は独立しましたが、連携は継続しています。当科で内科医としての研鑽を積んでいただければ、内科各領域の経験を積みながら循環器、腎臓内科、さらには呼吸器内科領域の各分野について研鑽することができます。
循環器内科に関しては、身体所見や心電図、心エコー図といった基本技能から、心臓カテーテル検査、経皮的冠インターベンション、下肢血管内インターベンション、カテーテルアブレーション、TAVIといった専門的な手技まで幅広く経験してもらい、「総合力」のある循環器内科医となってもらうことができます。心筋症や心不全、肺高血圧などを多く経験できるのも特徴です。専門施設での研修や海外留学にも力を入れています。
昨年から始まった、研修医向けの心エコーハンズオンセミナーを今年は2025年6月28日(土)に開催します。若手医師や検査技師の学習の場として、「心エコーカンファランス」を毎月オンライン開催しています。参加ご希望の方はご連絡ください。
これら医局の活動については本ホームページのトップページに表示されているFacebookをご参照ください。