2023年はポストコロナ元年ともいうべき記念すべき年になりそうです。新型コロナウイルスの世界的パンデミックにより医療はもとより私たちの生活は一変しました。
多くの制約がある中で、私たちも診療、教育、研究に取り組んでまいりました。そんな中、2022年8月ようやく経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)が始まりました。
すでに他病院で豊富な経験を積んできてくれた成瀬医師を中心としたハートチームにより安全で確実な治療を続けています。
また、2023年4月21日~23日には長良川国際会議場で日本心エコー図学会第34回学術集会をハイブリッド開催し、日本全国から1,000名近くの現地参加者がありました。
海外の学会からのゲストにも4年ぶりに現地にご参加いただくことができました。ようやく、元の世界が見えてきたような気がします。
ご協力いただいた医局員のみなさん、ご支援をいただいた同門の皆様方にはこの場を借りて御礼申し上げたいと思います。
本年度も多くの新しいメンバーを岐阜大学に迎えることができました。 循環器内科には、石原丈士先生が美濃病院での内科研修を終えて、大学に戻ってきてくれました。
専攻医プログラムもこれで完了です。今後は不整脈チームにとって大きな力になってくれるものと期待しています。
若狭志保先生は大阪のベルランド総合病院での専攻医プログラムの一環として、連携先の岐阜大学に1年間来てくれることになりました。
異なる環境で研鑽を積んでこられた先生が仲間に加わることによってお互いに良い刺激になればと思っています。
呼吸器内科には、福井聖周先生が長良医療センターでの研修を終えるとともに専攻医プログラムを終えて大学に戻ってきてくれました。
同じく塚本旭宏先生は岐阜市民病院の専攻医プログラムを完了して、研修先の大垣市民病院から岐阜大学へ来てくれました。
さらに、新専攻医として平岡恒紀先生が中濃厚生病院での研修の後に私たちの仲間になってくれました。呼吸器内科は若い力がどんどん台頭してきており、頼もしい限りです。
2022年度から開始した「専攻医・研修医カンファレンス」は2023年度もバージョンアップして継続します。
リモートだけではなく対面でのカンファレンス、講演会、ハンズオンなど様々な工夫をして若手医師や学生さんの学びの場となるようにしたいと思っています。
そしていよいよ2024年からは医師の働き方改革が本格的にスタートします。私たち自身の健康や生活の質を維持しつつ、必要な医療、教育、研究をいかに維持していくか。
この課題にむけてこの1年間全力で取り組んでまいります。
すでに述べた通り、経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)が始まりました。心不全患者に対する教育入院も継続中です。 岐阜大学は岐阜県唯一のATTR心アミロイドーシスに対するタファミディス治療施設です。岐阜県全域から患者様をご紹介いただき金森准教授を中心に診断・治療を行っています。 肥大型心筋症その他の心筋症についても、金森准教授、石黒医師が中心となって診療を行っています。循環器内科のホットライン「ハート♡コール(058-230-6183)」の利用件数は年々増加しています。 緊急対応が必要な時にはどうぞご活用ください(医師、医療機関からのみ受け付けております。)
2022年から産学連携によるウエアラブルデバイスの使用による遠隔心臓リハビリテーションの多施設共同研究が渡邊医師を中心に開始されました。
遠隔医療の一つの在り方を提案できるものになると期待しています。
工学部、教育学部と共同で取り組んでいる、AIを用いた医用画像診断に関する研究も順調に進んでいます。
佐橋医師を中心に取り組んでいる、心エコー図画像の高解像度スローモーション化については、日本循環器学会、日本心エコー図学会等で発表し、大きな反響がありました。
今年中に論文掲載を目指しています。増田医師を中心にすすめている、AIによる血管内超音波画像の自動診断も今年中にその成果を学会発表予定です。
山本医師が中心に取り組んでいる身体所見へのAIの応用については基礎実験から臨床応用へと向かうところです。
林先生が取り組んでくれている、冠動脈石灰化と大動脈炎症による肺がん患者の心血管イベントの予測についての研究は、日本循環器病学会での発表を終えていよいよ論文化間近です。
不整脈領域では高杉医師の指導の下、若手医師たちが新しい知見を次々と報告してくれました。基礎研究については遠藤医師が金森准教授の指導により継続中です。
山田医師、三上医師による再生医療の研究も継続中です。専攻医の一柳医師は早くも症例報告を論文化してくれました。また、前述の心エコー図学会では医学部の学生さんの学会発表を指導してくれました。
私たちの教室は循環器内科・呼吸器内科・腎臓内科を包括した内科学講座です。
当科で内科医としての研鑽を積んでいただければ、内科各領域の経験を積みながら循環器、呼吸器、腎臓内科それぞれの専門分野についても早い時期から研鑽することができますので、まさに新内科専門医制度にもってこいの環境であるといえます。
循環器内科に関しては、身体所見や心電図、心エコー図といった基本技能から、心臓カテーテル検査、経皮的冠インターベンション、カテーテルアブレーション、TAVIといった専門的な手技まで幅広く経験してもらい、「総合力」のある循環器内科医となってもらうことができます。
若手医師や検査技師の学習の場として、「心エコーカンファランス」をZoomによるオープンカンファランスとして毎月開催しています。参加ご希望の方はご連絡ください。
これら医局の活動については本ホームページのトップページに表示されているFacebookをご参照ください。
当科で研鑽した教室員の皆さんにはいろんな分野で大きく羽ばたいていってもらいたいと願っています。
循環器内科医、呼吸器内科医、腎臓内科医である前に内科医であれ、内科医である前に医師であれ、医師である前に信頼される社会人であれ、それが私の目指す人間教育です。
また、皆さんに「セレンディピティ(serendipity)」を体験していただきたいと思っています。