現地を保全する
 
   全国150箇所をこえる現地調査を行った結果、ユニークなDNAタイプや特徴をもちながら、
  鹿などの食害(写真)やその他の理由から集団が消失の危機にさらされている地点を
 『ワサビ属植物現地保全重点地点』として、鹿よけネットの設置や自治体などとの交渉を始めています
  鹿による食害痕。全国各地の自生地で
被害が深刻化しています。
 


  ★京都府南丹市芦生地区 
 芦生では、全国的にも珍しい“わさび祭り”が少なくとも
100年以上もの間、毎年4月に開催されてきました。
ところが、祭りに使用する自生ワサビが採集できないほど、
動物による食害が深刻となっており、伝統文化の継承が危機に
さらされています。
 



京都府南丹市芦生の森で鹿よけネットを設置しました。 

 
 ★岐阜県ユリワサビ自生地
DNA分析の結果、岐阜県南部のある山のユリワサビが日本最古のDNAをもつことが明らかとなりました(山根投稿準備中)
ところが、近年鹿による食害で個体数を減らしています。なぜ、岐阜県に最古のDNAをもつ集団が自生しているのか、
過去の伝播と地史や気候変動との関連性を明らかにしつつ、早急に保全計画を策定する予定です

 
 ★高知県ユリワサビ、ワサビ混生地区
 全国的にも珍しい、ユリワサビとワサビが混生し、
分離集団がみられる集団の存在が明らかになりました。
山根は、2007年よりほぼ毎年訪問し、個体群動態を調べています。
本集団は、ワサビとユリワサビがた後、
お互いの種の遺伝的な組成にどのような影響がみられるのかを
明らかにするうえで非常に貴重な集団であるため、
看板を設置するなどして保全を開始しています。
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 ★京都府ポンポン山
 一度、ユリワサビが絶滅したと思われた地区が、2010年からの谷を囲む鹿よけ柵の設置により、
2013年、再びユリワサビの自生が確認されました。
当研究室が保全を実行した集団ではありませんが、一度、地上部が消えた個体群がどの程度の遺伝的多様性を
快復させることになるのかを追跡調査する予定です。

       
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