主として自然免疫系の異常によって、感染症などの有無にかかわらず全身性の炎症(発熱など)が起きる病気です。特に咽頭炎やアフタ性口内炎を数週間ごとに起こす事のあるPFAPA症候群をはじめとして、慢性再発性多発骨髄炎(CRMO)、クリオピリン関連周期性発熱症候群(CAPS)、家族性地中海熱(FMF)、A20ハプロ不全症(HA20)、I型インターフェロン症などの疾患の診断、治療を行っており、当地域での中核的な診断、治療センターとして機能しています。当科では臨床症状だけでなく、詳細な検査や遺伝子解析の結果を総合的に判断し、適切に診断、治療を行っています。生物学的製剤を使用した治療を受けることも可能です。
生まれつき体の免疫機能が低下する病気として、原発性(先天性)免疫不全症と呼ばれる疾患が、乳幼児期(またはそれ以降、場合によっては成人期)にみつかることがあります。これらの診断のために詳しい検査を行い、さらに場合によっては遺伝子検査を行うことがあります。当科は地域での中核的な診断、治療センターとして機能しています。IRAK4欠損症やNEMO異常症等の自然免疫系異常疾患の迅速診断スクリーニング検査も行っています。また、2021年4月1日から岐阜県内で開始された新生児マススクリーニング追加検査の陽性者の精密検査も行っています。病気の種類を調べて適切な管理を行います。
若年性特発性関節炎(全身型、その他の各種関節型)、全身性エリテマトーデス、若年性皮膚筋炎、大動脈炎症候群、ベーチェット病、混合性結合組織病などの全身性自己免疫疾患の診断、治療を行っています。免疫抑制剤や生物学的製剤を使用した治療を受けることも可能です。またマクロファージ活性化症候群を併発したような重症例の治療も行っています。
食物アレルギー・アナフィラキシー・アトピー性皮膚炎・気管支喘息などアレルギー疾患全般を対象に診療しています。食物アレルギーについては「食べて治す」をキーワードに、食物経口負荷試験を積極的に行っております。重症のアトピー性皮膚炎については、適切なスキンケアの方法を体験していただき、また、寛解への導入を行う「アトピー性皮膚炎の教育入院」を行っています。気管支喘息の急性期治療や重症例の急性期管理に加えて、呼吸機能検査などを取り入れながら適切な長期管理をすすめています。生物学的製剤の導入なども行っています。アナフィラキシーの対応やハイリスク児の予防接種なども行っています。アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法、重症花粉症の生物学的製剤の投与などを行っています。
白血病、悪性リンパ腫、神経芽腫、脳腫瘍、骨肉腫、横紋筋肉腫などの小児がんを幅広く、専門的に診断治療しています。日本小児がん研究グループ(Japan Children's Cancer Group)に属し、日本中の小児がん専門施設と共同で研究も行っています。日本小児血液がん学会研修施設、小児がん診療施設にも認定されています。
血管腫・血管奇形(カサバッハ・メリット現象、リンパ管腫、クリッペル・トレノネー症候群など)については、小児から成人期以降の患者さんまで幅広く診療しています。特に新しい薬物療法の治験、研究を多数行っています。お気軽にお問い合わせください。(難治性血管腫・血管奇形 薬物療法研究班 情報サイトも当科で作成しました)
けいれん、運動や言葉の遅れなど脳、脊髄、末梢神経、筋肉などに異常がある病気を対象にしています。具体的には、てんかん、脳性麻痺、脊髄性筋萎縮症、筋ジストロフィーなどです。さまざまな症状を複合した重症心身障害児・者もみています。十分な問診を行い、MRI、CT、脳血流シンチグラフィなどの神経画像や脳波、神経伝導速度検査などの電気生理、遺伝子解析等を用いて正確な診断と治療を目指しています。
自閉症スペクトラム障害(自閉スペクトラム症)、注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動症)、学習障害(限局性学習症)など神経発達障害の診療については、診断や検査などは行っておりますが、療育やフォローアップについては専門施設にご紹介いたします。
重症心身障がい児者の方々をはじめとする、医療ケアを必要とする方々の体調管理、及び体調不良時の治療を行っています。外科治療が必要な場合には、術前・術後の管理を行います。また、気管カニューレや胃瘻の交換も行っています。
成長障害(身長の伸びが悪い、身長が低い・高いなど)、甲状腺の病気(先天性甲状腺低下症や小児期に発症した橋本病・バセドウ病など)、思春期や性の異常(思春期の体の発達が早い・遅いなど)、糖尿病、肥満症、副腎に関連した病気、骨やカルシウム・リンの代謝に関する病気など、小児の内分泌疾患(ホルモンに関連した病気)の診断や治療を行います。小児がんの患者さんのがん治療の後に起こるホルモンの異常に対しても診断・治療を行います。
新生児マススクリーニング対象疾患を含めたアミノ酸代謝異常症、有機酸代謝異常症、脂肪酸代謝異常症などの診断や治療を行います。ムコ多糖症などのライソゾーム病においては酵素補充療法などの治療も行っています。ケトン体代謝異常症、ペルオキシソーム病については国内でも有数のスクリーニング・診断・研究センターとしての機能を果たしています。先天代謝異常症の遺伝子診断も積極的に行っています。原因不明の低血糖症、アシドーシス(酸血症)などについてはご相談ください。
妊娠30週以降の早産児や、医療を必要とする新生児の入院管理を新生児集中治療部(NICU)や小児科病棟において行っております。退院後の成長および発達について、新生児フォローアップ外来で健診を行ったり、必要に応じて小児循環器外来、小児内分泌外来、小児腎臓外来、小児アレルギー外来などと連携して診療および検査を行ったりしております。
感染症全般の診断・治療を行います。肺炎や急性気管支炎などの一般的な感染症に加えて、比較的まれな感染症も含めて幅広く診療しております。また、感染症を繰り返す場合に免疫不全症の可能性を検討するなど、各専門領域と連携して診療を進めています。
必要に応じて超音波検査やX線造影検査などで小児の消化器疾患の診断や治療を行っています。また、消化器内科、IBDセンターと連携し、上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査などを行っております。低年齢で発生したIBD症例(VEO-IBD)に対しては遺伝子検査を行うことがあります。また、食物蛋白誘発胃腸炎、好酸球性消化管疾患などの対応も行っています。
先天性心疾患、川崎病の心臓合併症など循環器疾患について診療しています。
岐阜大学は豊富な遺伝性疾患の診療経験があります。遺伝性疾患全般について、その診断とフォローアップを行っています。遺伝相談についてはゲノム疾患・遺伝子診療センターと連携して行っています。
問い合わせ先
岐阜大学大学院医学系研究科小児科学教室
〒501-1194 岐阜市柳戸1-1
電話:058-230-6386
(患者様からのお問い合わせには対応いたしておりません。)
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