気になることば
79集
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| 「ことばとがめ」に見えるものもあるかもしれませんが、背後にある「人間と言語の関わり方」に力点を置いています。 |
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20010428
■自分を信じろ!
今年前期は、海外研修に出ている同僚のピンチ・ヒッターで「情報教育1」という授業を担当しています。家政教育の若手(と言っておこう。晩飯、おごれよぉ〜!)とペアを組んで、パソコンの初歩の初歩を教えています。いまどきの教育学部は面白いです。
受講生諸君には、毎回、レポートというかアンケートみたいなのを提出してもらって、講義の反応を見ます。直前の講義では、私が30分だけ、タッチタイピングのための手ほどきをしました。で、その反応を見るのが楽しみ…… なかに、こういう意見が書いてありました。「本当に、キーボードを見ないで打てるようになるのですか? どのくらいかかりますか?」と。
パソコンに限らず、いろいろ初体験の場では、似たような思いをいだくものです。そういうときは、「自分を信じろ!」というしかない。
もう少しいえば「自分の可能性を信じろ」ということになります。練習の仕方は確立している。あとはやるだけです。時間をかけつつ。ただ、このとき、「できんよ、こんなん……」と思っていたら、絶対にできない。できるものもできない。そんなの、寂しくないだろうか。
まだ20才にもなってない人が、そんなことを言ってはいけません! 自分を信じてやってごらん。
来週は、そんな風に言おうと思っています。
「自分を信じろ!」と言われても、急には信じられないか…… う〜ん、どうしましょう。自転車に乗れるようになった前後、逆上がりや蹴上がりができるようになった前後のことを思い出してもらいましょうか。(5月1日、一部改稿、補)
20010427
■読書まわり、私の便利グッズ
今日は、私の研究室にある、便利な道具のご紹介です。
本を読んでいると突然の電話・来訪があったりします。しおりを挟んで、応対しますが、どうも後が面倒。そこで、本の見開きカーブ対応文鎮はいかが?
いつも置いて本を読めば、ふと別の本を取りにたっても大丈夫。つい億劫になりがちな参考書も、いつでも取れる態勢になれます。また、このカーブは、肩・首すじなどにもやさしくフィットしますので、肩たたきにも流用できます。
小さい本などを読むときは、ずっと手で押さえていなければならず、肩凝りの原因にもなります。そこで、角落とし透明アクリル板の出番です。DIY店なら必ず置いてある大きさ加工済みのアクリル板です。買ってそのままでも使えますが、万一のことを考えて、コンクリートなどで角を丸く削ってみました。お金がないからといって安価な塩化ビニール板にしてはいけませんよ。ちょっと軽すぎる気もしますし、透明感もちがいます。
ところで、見開きカーブ対応文鎮、十数年前に東北大学の文系生協で買ったのですが、その後、お目にかかりません。もう一つ二つあってもよいかと思っているのですが、どこかで売ってないものでしょうか。
アクリル板、実は、読書には使っていません。蛍光灯の反射が気になるので。和本を長時間参照するときが、本来の出番です。
20010422
■大島本源氏物語
京都の2日め。午前中はフリーなので、懸案の西陣町並み散歩に…… と思ったら、冬のように寒い。春着ではちょっとつらい気温。そこで、宿からも近い京都文化博物館で避寒(軟弱)。
実は、この博物館には行きたくなかったのです。旅行案内をみても、人形とかジオラマ風のものとか、要するに本物にお目に掛かりにくいような気がして。近くを通っても、別館(旧日本銀行支店)をながめて過ぎるだけでした。
背に腹はかえられず、期待もせずに入ってみました。特別展もなく、常設展だけ。わびしい。ただ、別館は、見ておいても悪くない、という感じでしょうか。写真もなんとか撮れましたし(1・2。ちょっとレタッチ。なおフラッシュ禁止です)。それでも、沈みがちに本館2館へ。
あ、やっぱり、ジオラマ風のものが。武者行列の人形群。これはこれで楽しめました。私の癖ですが、うまく作ってあるものをみると、どうやってこう作ったのだろう、と自動的に成り立ちの過程に興味が向きます。それが起こったので、少し救われました。でもやはり、つまらなそうという通奏低音はひきずりつつ、奥へ奥へと。
と、特別陳列コーナーというが目につきました。俄然、興味が沸きます。大島本の『源氏物語』の展覧でした。そうそう、博物館は、こうでなくっちゃ。しかも、このコーナー、この4月から企画されたそうです。幸運でした。
また、源氏物語で入れ換えもあるようです。がんばれ、文博!
インパクでも部分的には見られるようです。ところで、インパク、正規の入り口から行くと、どうしてなかなか入れてくれないのでしょうか。不思議です(私の行き方がいけないのかな)。
20010421
■「椥辻」
京都へ向かったが、なんだか、とほほ状態。
まず、バスで岐阜駅まで行くのだが、小銭がまったくなかった。5000円札で2000円のプリペイドカードを車内で買おうとしたら、お釣りがない、で販売拒否された。降りるときに、営業所で払ってくれ、と言われ、降車場から30メートルほど離れた出張場へ。「丁寧に、ありがとうございました」と言ってくれたが、なんだか……
さてJR。京都くらいなら自販機で切符が買える。米原までも1時間に2本の割合で電車が通じるようになった。が、ほとんどが大垣乗り換え。これはまずい。米原まで通しで行く列車なら、大垣で乗客が入れ代わるので、その時に空席にありつける。が、大垣乗り換えではそれができない。案の定、大垣から米原まで立ちっぱなし。こうなったら、と先頭部に陣取り、鉄路をながめる。これが結構面白く、立っている時間を忘れた。
そうそう、大垣の、米原行きホームとでもいうのがあって、これが、親ホームの一部を切り取ったタイプ。跨線橋から歩くこと歩くこと。おかげで、日頃の運動不足が緩和されたかもしれない(でも、その後、40分くらい立ちっぱなしなんだよね)。
琵琶湖線新快速に乗りつぎ、ぐっすり眠る。石山の少し前くらいで目が覚める。頭が回転しはじめる。そうだ、京都の一つ前の山科で降りて、地下鉄東西線で行ってみよう。山科の自動改札をでようとすると、ストッパーがしまった。京都までの切符なので、途中下車扱いをしてくれ、ということなのだろうか? このあたり、システムがよく分からない。頭は空まわりか…… 。改札を出て風にあたれば、さ、寒い。
地下鉄が通ってからの山科は初めて。ずいぶん近代的になったとの印象あり。が、やはり、今日は、ちょこちょこ不運が続く。ここで「気になることば」のネタでも拾わねば、と地下鉄駅名表示で「椥辻(なぎつじ)」なる駅名が目にとまる。JIS表外漢字発見!?
で、いま、『JIS漢字字典』を引いたのですが、ちゃんと登録されてました。
このあと、京都の古本屋さんをまわったのだが、収穫がほぼゼロであったことは、予定調和というか、なんというか……
20010419
■古書目録の季節
「充電日記」の方で、古書目録の統計をとっています。今日は、その中間発表。
左のようになりました。■は古書店一軒が出している目録。●は古書即売会・デパート展など。□は古本屋さん数軒が合同で出したものです。印一つが一冊。
8月はさすがに少ないですね。暑いですからね。気持ちもなえようというものです。
ただ、俗に「ニッパチ」と言って、2月・8月は商売がなんとなく景気が悪くなるそうですが、2月の古書目録は他の月とかわらず出されていますね。大健闘ということでしょうか。
しかし、ひそかに予想したところでは、12月がダントツではないかと思っていたのです。そのココロは? ボーナスですね。高額商品がたくさん載っている目録はボーナス前後に、そうでもないのは他の月に出しているのかもしれません。
また、目録と言っても、一冊で立ってしまうような分厚いものから、片々たるものまで多種多様。それをすべて等し並みに数えています。その辺も考慮しないといけないでしょうか。
20010413
■「捕者帳」
泡坂妻夫には、サブタイトルを「宝引の辰捕者帳」とする3っつの短編集があります。たとえば、『鬼女の鱗』など。これは、前にも使いました。そのときも「『者』字は原文通り」などと注記しています。私には、「捕物帳」の表記が頭にあったので。だからこそ、「捕者帳」には、泡坂のメッセージがこめられているのだろうな、と思っていました。「物を捕るのじゃない、者(=人間)を捕らえるのだ」とか。
そういう意図もあるのでしょうが、どうやら、本来、「捕者帳」と表記すべきものだったらしいんです。
『銭形平次捕物控』や『半七捕物帳』で有名な「捕物」という言葉であるが、これは犯人を捕縛することを言う。知らなかった…… 「根津甚八」にちょっと似ていますかね。
江戸時代の捕物を控えた史料として、国立国会図書館所蔵の『捕者帳』という史料がある。(略) 『捕者帳』は全八冊で、正保四年(一六四七)から明和八年(一七七一)までの事件が書き留められている。(山本博文『江戸のお白州』文春新書)
泡坂も、『捕者帳』の存在は知っていたようです。どこかでそう書いていました。はて、どこだったか……
20010412
■ヘリウムと声
前からどうしてなんだろうと思っていたことがあります。ヘリウム・ガスを口に含むと、かん高いというか、ちんちくりんな声になりますね。あれ、どうしてそうなるんだろう、と。
高い声ということは、高い周波数を発しているということ。高い周波数がでるのだから、声帯の振動回数が上がっているはず。そのためには、声帯の振動する部分が小さくなっているんだろう。したがって、ヘリウム・ガスを含むことで、声帯の一部が麻痺している…… と考えたりしてたのですが、危ない危ない(^_^;
眠れぬ夜、ぼーっとテレビを見ていたら、高校生向け(通信?)の番組で、空気振動とか共鳴の話をしてました。そこで、へリウム・ガスで声が変わるのはなぜか、というのをやってました。
音の伝わる速度というのは、空間を満たしている気体によって随分変わるらしいです(空気の温度で伝達速度が変わるのは知っていたけれど……)。水素とかへリウムだとかは、めちゃめちゃ速くなるとか。これが関係しているらしいんです。
音とは音波のことですが、これは、空間中の粒子たちを押したり引いたりして伝わって行きます。というか、粒子を押した結果、粒子の分布密度に疎・密の差ができます。で、空間に伝達速度の速い気体がつまっていると、疎・密・疎・密の繰り返しが頻繁になる。それがそのまま、周波数の高さとなるのだそうです。
高校のときは、軟弱にも生物・化学だったので、いまごろ分かって嬉しがってます。でも、上のような理解でいいでしょうか。「それは違う!」など、御意見があったら芳名帳にお願いします。
ヘリウム・ガスと言いましたが、100%のヘリウム・ガスだと、場合によっては人体に影響があるらしいです。声を変えて遊ぶために売られているものは、ヘリウム:酸素=4:1だそうで、とりあえず酸欠にはならないとも番組では言ってました。
*必ずしもことばだけが話題の中心になっているとはかぎりません。
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ことばにも関心がおあり。