岐阜大学医学部附属病院 外科 Gifu University Hospital Surgery

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岐阜大学医学部附属病院 外科

胃外科

特色

われわれの胃外科チームでは、主に胃癌に関する手術、化学療法を中心に診療を行っております。主に以下の3項目に重点を置き、診療にあたってきております。

  • ① 患者さんにやさしい腹腔鏡手術
  • ② 高度進行胃癌(StageIV)に対する集学的治療(Conversion therapy)
  • ③ 新たな集学的治療戦略の開発(臨床試験・治験)

スタッフ

  • 特任准教授奥村 直樹
  • 臨床講師安福 至

診察実績

当科における食道疾患の治療患者数の推移

当科における手術件数の推移

主な診療

① 患者さんにやさしい腹腔鏡手術

内視鏡下粘膜下層剥離術(ESD)の適応のない早期胃癌や進行癌の一部の患者さんに対しては、基本的に腹腔鏡手術を第一選択としております。ここ数年、胃癌症例数はおおむね横ばいですが、腹腔鏡下胃切除術は日常診療となっており、半分以上の症例で行っています。以下に症例数の推移を示します。

胃癌症例数の推移

胃癌症例数の推移

内視鏡外科技術認定医は2022年12月時点で、胃では奥村直樹、安福 至、大腸では高橋孝夫、松橋延壽、木山 茂、田島ジェシー雄、深田真宏が取得しております。岐阜県で最も多くの技術認定医を擁する施設であり、制度面からも保証された安全で確実な手術を提供できると自負しております。若い先生方は胃外科チームで研修をすれば、技術認定医が取得できる体制も整っております。
また、内視鏡手術支援ロボット『da Vinci Xi』を使用した、幽門側胃切除術を2018年5月に第1例目を行いました。現在まで大きな合併症もなく安全に完遂できております。当科では奥村直樹、安福 至が術者のda Vinci Certificateを取得しております。
今後の鏡視下手術は、早期胃癌に対しては勿論ですが、進行癌への適応も拡大されることが予想されます。以前より同門の各病院には、腹腔鏡下胃切除症例の技術指導をさせていただいております。大学病院として、この岐阜の地域に鏡視下胃癌手術を提供できることが責務と考えています。

② 高度進行胃癌(StageIV)に対する集学的治療(Conversion therapy)
高度進行胃癌(StageIV)に対する集学的治療(Conversion therapy)

日韓中の癌治療学会が共同して行うアジア癌治療学会(FACO)にて、吉田和弘前教授がprincipal investigator(PI)とした『StageIV胃がんにおけるConversion therapy(Adjuvant surgery)の意義に関する国際(日本・韓国・中国)多施設共同後ろ向き研究;CONVO-GC-1』が2017年4月で登録が終了し、その結果はASCO2018で発表されました。
術後合併症は24.0%の症例で認められ、R0切除できた症例のMSTは56.6か月で、すべてのカテゴリーにおいて、R1切除(25.8か月)R2切除(21.7か月)に比べ、非常に良好な予後が示されました。今後はさらに、腹膜播種に関する予後とリスク因子、肝転移に関する予後とリスク因子、リンパ節転移に関する予後とリスク因子、術前・術後化学療法別に関する予後とリスク因子、組織学的奏効度と予後、などに関してサブグループ解析を行っております。
これらの研究結果をもとに、患者さんにはStageIV胃癌であっても、積極的な集学的治療を提供しております。

③ 新たな集学的治療戦略の開発(臨床試験・治験)

これまで胃外科チームでは、多くの治験と臨床試験(JCOG、JACCRO、がん集学的治療研究財団、ECRINなど)に参加し、がん診療連携拠点病院として新たな治療開発に積極的に取り組んできました。吉田和弘前教授がPIを行いましたJACCRO-GC07試験の結果が論文発表されました(Yoshida.K et al. J Clin Oncol. 2019 May 20;37(15):1296-1304.)。この試験はStage III胃がん患者に対するS-1+ドセタキセル併用療法とS-1単独療法を比較した無作為化第III相比較試験であり、S-1+ドセタキセル併用群の方が有意に3年無再発生存率が良好でした。その結果、2019年9月に胃癌治療ガイドライン(速報版)において、「D2 リンパ節郭清を伴う R0 切除後のpStage III 胃癌に対する術後補助化学療法として、 S-1+ドセタキセル療法を推奨する(A)」と記載され、新たな標準治療となりました。
また、JCOG胃がんグループでは、吉田和弘前教授が研究代表者となり『病理学的Stage II/IIIで“vulnerable”な80歳以上の高齢者胃癌に対する開始量を減量したS-1術後補助化学療法に関するランダム化比較第III相試験(JCOG1507 BIRDIE試験)』の臨床試験を行っております。
引き続き、われわれは様々な臨床試験や治験を積極的に行い、岐阜から新たな治療を発信できるよう取り組んでいきます。

さらに詳細な診療内容は、岐阜大学腫瘍外科ホームページ 診療内容(胃外科について)
https://hosp.gifu-u.ac.jp/2geka/information/i.htmlをご覧ください。

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