岐阜大学の「トリとカエルと伴侶動物の生化学」の研究室

森の幼稚園

 
 
 

森の幼稚園(研究紹介)

 
 私たちの研究室では,宮川修一教授(現名誉教授,農業生態学)の研究室と共同で,日本でもよく紹介されるようになったドイツの「森の幼稚園」についての研究を2年間にわたって行いました。
 
 本研究が対象としたドイツのヘッセン州ベンスハイム市近郊の森は,森の幼稚園以外にも散歩などの目的で地域住民が幼少の頃から気軽に訪れる場となっていることがわかりました。また,この森の幼稚園における森林資源(樹木や草本,果実など)の利用(たとえば工作・装飾や食用)は,幼児教育のために新たに生み出されたものというよりは,この地域で過去から現在まで続く資源利用と,過去に行われて住民の記憶には残っているものの現在は「スーパーで購入できる」などの理由であまり行われることのないものの中から,森の幼稚園の目的(森の中での子どもたちの教育)に合致した資源が選ばれていました。この点を日本における里山などの森林資源利用と比較すると興味深いと思います。
 
 この研究を行った修士課程の学生さんが平成20年6月から平成21年10月まで,5回にわたって当研究室のホームページにブログ風エッセイを書き下ろしました。以下にまとめて再掲しています。
 
この研究成果の一部は日本森林学会誌に掲載されました。
ドイツにおける森林資源利用の一形態としての「森の幼稚園」.
日本森林学会誌96(1):36-42, 2014. https://doi.org/10.4005/jjfs.96.36
 

森の幼稚園

目次
 1.森のようちえん -旅のはじまり-
 2.八百万(やおよろず)の神と生き物が住む森
 3.森の幼稚園 in Deutschland
 4.森を歩いて,森を楽しむ
 5.森の幼稚園への道のり

 

1.森のようちえん -旅のはじまり-

 
 ドイツと聞いて連想するもの。ビール!ポテト!ソーセージ!メルヘンなお城?…いろいろある中で,私がいちばん気になるのは「環境先進国」とも言われるこの国の人たちのライフスタイルだ。最近では,生物多様性条約締約国会議(COP9)がボン市で開かれていることもあり,毎日のようにドイツの情報が新聞やテレビで紹介される。片道1時間かけて自転車で通勤する人,エネルギー節約を会議で話し合う中学生,有機栽培の野菜専門の店に通う人…と,みていると体の芯から「エコ!」という感じがする。
 
 けれど,私には以前ドイツに滞在したときの経験から「ホントに環境先進国?」と思ってしまう部分もある。広場で遊びながら何のためらいもなく食べ物のゴミを投げ捨てる親子,それによくみると私の地元よりもおおざっぱなのでは…?と思えるゴミの分別。(まぁ,少し親しみも感じるけれど。)
 
 一方で,仕事なのかもしれないが,早朝にゴミ箱内のゴミをせっせと再分別する人もいた。このギャップはなんだろう??
 
 いずれにしても,実際の生活の中で特別に何かを意識しているわけではなさそうだ。日本で「環境先進国」だと聞いていたこともあり,少し拍子抜けしてしまった。
 
 ところで,「環境先進国」であるかどうかは別にしても,多くのドイツ人は森好きである。1980年の調査(北村)では,西ドイツ各地の住民の約95%が「森を散歩するのが好き」と答えた。週末は家族で森へ,という家も多かったという。
 
 私がドイツ語を教えていただいているドイツ人の先生がここ,岐阜大学に赴任したとき,ドイツにいる家族に「ここでは道がなくて森を散歩できない。」とこぼした。確かに,大学のうらには森(山)がひろがっているが,けもの道はともかく,気軽に散策するような道はあまりない。ところがそれを聞いた家族は,その目で確かめるまで信じなかったそうだ。「森があるのに道がないはずがない!」と。
 
 …ドイツ人にとって森へ行くことはごく普通,そして森には道があるのが当然らしい。
 
 日本は国土面積の68%が森林である。といわれても,少なくとも私は森を散歩する習慣はない。一方,国土面積が日本とほぼ同じドイツでは,森林面積は国土の32%となっているが,中には5千haの森に総延長200kmの散歩道があるところもあるというから驚きだ。
 
 さて,そんなドイツの森に,一年を通じて森をはじめとする自然環境の中で子供を育てる「森の幼稚園(Der Waldkindergarten)」がある。発祥の地はデンマークだが,ドイツにも1960年代に伝わり,今では全国に600か所ほどある。
 
 この「森の幼稚園」という森や自然とのかかわり方がドイツで発展した背景には,森のなりたちや環境だけでなく,その地に住む人たちの森への思いや,森での経験が関係しているのではないだろうか。逆に「森の幼稚園」は人が森や自然に親しむ場としてどのように働くのか。「森の幼稚園」に参加することで,人々は森をはじめとする身近な自然にどのような思いをいだくようになるのだろうか… そんな思いが私の「森のようちえん」への旅の出発点である。
 
 実はこの「森のようちえん」,日本にもあるのをご存じだろうか。
 
 「日本では難しくない?できるの?」なんてチョット疑いの目を持ちつつ,さっそく参加してきた。うーん,まさに百聞は一見に如かず。次は日本の「森のようちえん」についてお伝えします!
 

 

2.八百万(やおよろず)の神と生き物が住む森 

 
 5月末,初めて「森のようちえん」に参加してきました!今回は,7月まで何度か訪ねた日本の「森のようちえん」についてお伝えします。
 
  集合場所は山の入口の小さな駐車場。朝9時半~10時ごろ,親に連れられて子供が重装備でやってくる。帽子,長そで,長ズボン,トレッキングシューズや長靴,さらにリュックにはお弁当,水筒のほか,着替えやぞうり,タオルも入っていて小さな子供が背負うには重そうだ。
 
 集合したら木陰で朝の会。あいさつの歌,手遊びをし,出席を確認してから行先を決める。すでに初夏の暑さだったこの日の遊び場は,ザリガニがたくさんいるという池になった。池のほとりの木陰にリュックを置き,子どもたちは自由に遊ぶ。小川が流れる岩場で遊ぶ子,小川に入ってずぶ濡れになっている子,川岸の斜面を登る子,ザリガニ釣りをする子…大人の目の届く範囲で遊ぶことがルールだそうだが,15人弱の子供に大人が4人(+見学者が私を合わせてこの日は3人)なのでかなり思い思いに遊んでいた。思わずヒヤリとする場面も多いが,子供には全くこたえていない。思えば私も子供の頃は(?)怖いもの知らずだったなぁ。。。
 
 子供たちはまた,たくさんの生き物を発見していた。カエル,ザリガニ,カナヘビ,クモ,シャクトリムシ,この日は大きなアオダイショウまで現れた。5月の森ということで毛虫も多かった。7月に参加したときにはスズメバチも飛んでいた。「やっぱり危険なのでは…」という思いもよぎる。
 
  帰りの会は12時半ごろ。絵本の読み聞かせがあり,最後にろうそくを灯して1日を振り返り,自然に感謝する。八百万の神がいると考えていた日本人らしくていいなぁと思う。
 
 別の日に訪れた時は,集合場所が神社だった。山から少し離れた場所に集合して,山まで田んぼのあぜ道を通って行ったのも印象的だった。
 
 私が訪れた「森のようちえん」がある地域は,大都市近郊にもかかわらず,山(森)が住宅地に比較的近い。集合場所になっている駐車場からは森の中を遊歩道が整備されているので,散歩する人をちらほら見かけた。一方,保護者の方に話を聞くと,その地域に住んでその森をよく訪れるというよりは「森のようちえん活動のためにやってくる」人が多いようだ。遠方から通園している親子もいて,中には1時間半かけてくる人もいる。
 
  「森のようちえん活動」と書いたのは,この「ようちえん」は園児が十数名と規模が大きくないためか,保護者が運営に大きくかかわっているからだ。広報からイベント設営,保育まで保護者が担っている。ある保護者の方は「子供の成長がよくわかりうれしいし,気がついたら(活動が)楽しくなっちゃって。それに自然にも興味を持つようになって,情報を集めたり勉強会に参加したりしている。」とおっしゃっていた。また他の保護者の方は「(保育当番として)森で過ごすのは自分のリフレッシュになる。」とも。
 
 運営組織の経済面,森での危険や親の手間を考えると大変だろうなぁ,というのが正直なところだけれど,元気いっぱいに遊ぶ子供たちを見ていると,子供の育て方・森の使い方のひとつのかたちとしての可能性を感じた。
 
  日本の森のようちえんにこんな感想を持ちつつ,9月初めからドイツの森の幼稚園に滞在しました。森の幼稚園っ子の家庭にホームステイできる機会にも恵まれ,ドイツ人の生活を観察。ドイツではどんな森の幼稚園が展開しているのか!?どんな森を使っているのか!? 次は「森の幼稚園 in Deutschland」です!               
 

 

3.森の幼稚園 in Deutschland

 
 今回は,昨年9月から12月までの3ヶ月間過ごしたドイツでの様子をお伝えします。
 
 私が主に滞在したのは,ヘッセン州ベンスハイム市とバイエルン州アルツェナウ市にある森の幼稚園です。どちらもドイツ南西部,フランクフルトにほど近いところにあるのですが,思いがけず,異なるタイプの森の幼稚園をみることができました。
 
 というのも,ベンスハイム市の森の幼稚園は1996年にできたという,ドイツで2番目に古い(園の先生談)森の幼稚園。森はゆるやかな傾斜になっていて,その中腹にバウワーゲンというコンテナ型の作業小屋があり,ここが集合場所となっています。朝の会のあと,みんなで決めた遊び場の森や野原へ出かけます。歩くこと(子供の足で)約25分。遊び場では木に登ったり,木の葉を集めたり,お絵かきや工作をしたりして遊び,お弁当を食べて,保護者が迎えに来る13時までには集合場所に戻ってきておわりの会をする,というのが基本的なスタイル。名づけて「お散歩型」。
 
 それに対し,アルツェナウ市の森の幼稚園は2008年9月に1周年を迎えたという新しい幼稚園。こちらの集合場所は森の入口。全員集まったら朝の会をして,500メートルほど森に入った所にある小屋へ行き,たいていはその周りで過ごします。アルツェナウ市とその周辺は,大昔,マイン川が運んできた砂でできた土地で,森はところどころ小さな起伏があるものの,比較的なだらかです。マツ林を切り拓いた中に小屋があり,周りにある小さな起伏とマツの切り株や根っこ,枝や幹で作ったという遊具が子供たちの遊び場です。日によっては散歩にいくこともあるけれど,名づけて「滞在型」。
 
 さらにさらに!
 両市とも,フランクフルトから電車で40分程度とお互いあまり離れていない場所なのに,森の様子が全く違う!
 
 「お散歩型」ベンスハイムでは,ブナやオーク,カエデなどの落葉広葉樹が多く,森の中には野原や,この地方に多い昔ながらの果樹園(シュトロイ オープスト ヴィーゼ),ワイン葡萄畑がところどころ広がっています。
 一方,「滞在型」アルツェナウでは,高い木にはマツやカンバが多く,植林された若いブナの木が点々としています。
 
 それぞれの森の森林官(森林を管理する人で,とても尊敬されています)の方にお話を聞くと,「ベンスハイムのあたりはドイツでも暖かい地方で,雨も多いし,土もいいから樹木が育ちやすい。ローマ時代からブナが多い地方だった」そうで,「アルツェナウ周辺にマツが多いのは,15世紀ごろガラス産業が発達して,その燃料を確保するため植林したから。マイン川のおかげでもともと砂質土壌だったからマツが育ちやすかった。ドイツじゃ珍しい地域」なんだとか。(ちなみに,アルツェナウの森の幼稚園の近くには「ドイツじゃ珍しい」という砂質土壌のマツ林の保護地区があります。)
 
 ドイツへ行く前に本で読んで「森の幼稚園はコンテナと広場と森がセットなのかな~」なんて思っていた私でしたが,現地の森の幼稚園の先生がいうように「森の雰囲気も幼稚園の取り組み方もいろいろ」ということを実感しました。
 
※今回紹介した2つの森の幼稚園は「○○市の~」と書きましたが,保護者が中心になって作った登録協会(法人)が運営しています。
 

 

4.森を歩いて,森を楽しむ

 
 今回と次回で,ドイツの2つの森の幼稚園について詳しくお話します。森の幼稚園や地域の人たちとのお話から垣間見られた,森とのかかわり方をお伝えできたらなぁと思います。まずは,ベンスハイムから。
 
 ベンスハイムでは森の幼稚園っ子のお家にホームステイさせていただくことができた。かわいい女の子が3人いるお家で,上の2人,5歳と3歳の子が森の幼稚園に通っている。私は毎朝この2人と一緒にお母さんに送ってもらい森の幼稚園へ。幼稚園では,先生の手伝いで荷物を運んだり,子どもと一緒に遊んだり。そのうちなんとか意思疎通もできるように(怪しいドイツ語ですが)なり,先生たちや,送迎の時間には保護者と立ち話もできるようになってきた。
 
 そんな私がまず聞きたかったのは「どこで森の幼稚園を知ったのか?」ということ。人に聞いた,新聞で見た,という答えに混じって「森の中を散歩してたら見つけた」という答えも。予想はしていたけれど,実際にこう答えられると「へぇ~!本当に森を散歩するんだぁ」と思ってしまう。
 
 私も週末にホストファミリーと一緒に,ときにはインタビューをするために一人で森の幼稚園のまわりの森を歩いてみたが,ジョギングする人や犬の散歩に来た家族連れ,のんびり散歩する老夫婦から若いカップルまで,さまざまな人が森を訪れていた。時には森の幼稚園児の家族に会うことも。つまり,子どもは週6日以上森に来たってことですよね?笑
 
 さて,人々は森の中で何をするか? 散歩やスポーツ,軽い山歩きを楽しむ人も多いようだけど,森の幼稚園児の保護者の中には「採集」と答える人もいた。森の幼稚園の活動を見ていると,葉や木の実で工作をしたり,木イチゴを摘んで食べたり,森にあるものを臨機応変に使っている。園児の保護者の中には,家庭でも森で採ったものを使う人も結構いるようだった。私のホストファミリーのお母さんもその一人で,春にはスミレやタンポポ(食用!)を採りにいったり,秋には栗拾いに行ったりするそうだ。他にも,私からするとまるで魔女のように植物の利用法をよく知っている人がいたり。毎年キノコ狩りを楽しみにしているご夫婦もいた。
 
 いろいろな人の話を聞いていて,この人たちに共通するのは「森で何か採集するのは,自分のこだわりや楽しさがあるから」なのかなぁと感じた。「生活に必要だから」ではなく。だからこそ便利になった現在も森に行くのかも。「スーパーで買おうと思えばすぐ買えるものでも,森の中に入って自分で採るのを楽しめることがとてもすてきだと思う」とおっしゃっていたあるおばあさんの言葉が印象的だった。
 
 ただ,急いで付け加えておきたいのは,人が入りやすいように森の管理がされているということ。まず,森の入口にはたいてい駐車場があり,そこまでは車で来る人が多い。ベンスハイムでも天気の良い日曜なんかは満車。森の中は林業用の道兼遊歩道があるから歩きやすく,ところどころ野原もあり,羊の放牧をしていることもある。日本のようにクマはいないし,オオカミも絶滅している。
 
 それに,ホストファミリーに言われたように「森の幼稚園に関わる人は,少なからず自然に興味があるから,ドイツ人一般というわけではないよ」ということも頭に入れておかねば。。。
 
 けれど,ベンスハイムの人たちの森を楽しむ姿,そしてその予備軍の森の幼稚園っ子を見ていると,やっぱり日本でももっと楽しみながら森(山)と関わる人が増えるといいなぁと感じてしまった。
 
 ここまで,ヘッセン州ベンスハイム市にある森の幼稚園とその森の様子をご紹介しましたが,次はバイエルン州アルツェナウ市にある森の幼稚園でのお話です。
 
 つい最近開園2周年を迎えたこの幼稚園。開園までの道のりをいろいろと聞かせていただきました!

 

 

5.森の幼稚園への道のり

 
 アルツェナウにある森の幼稚園は,今いる園児の保護者が協力してつくった幼稚園。今でこそ18人の園児(2008年10月)がいるけれど,2007年の設立当初は園児3人,先生1人のスタートだった。
 
 きっかけは,他の町で森の幼稚園に長男を通わせていたあるご夫婦が,アルツェナウに引っ越してきたこと。けれどアルツェナウには森の幼稚園がなかったので,ご夫婦は「森の幼稚園つくろう!」と思い,市役所に行ったり,保護者や保育関係者への説明会をおこなったりして賛同者を募ったそうだ。
 
 この森の幼稚園は市や州に補助を受けている。しかし「未就学児の数に対して幼稚園が足りていない」現状や,「避難場所がある」といった幼稚園としてのさまざまな条件を満たしたうえで,普通の幼稚園と同じように補助されていて,森の幼稚園としての特別な補助があるわけではない。また,森を使うということで,森林官とのつながりも大切で,公有林を使っていいか,使うならどこならいいかなど,何度も話し合いを重ねたそうだ。もちろん,中心となっている保護者の方々も育児と自分の仕事の合間を縫って。
 
 私は勝手に「ドイツでは森の幼稚園が作りやすそう」と思っていたけれど,話を聞いていると,州や市の方針や森林官の意向に左右されやすく,必ずしも歓迎されるわけではないこともわかった。市の許可が得られず,補助なしで運営したり,断念する人たちもいるらしい。たまたまアルツェナウ市はドイツでは珍しい砂質土壌に松林が広がり,貴重な動植物が生息する公有林もあって「緑の街・アルツェナウ」としてアピールしていたので,市は森の幼稚園づくりに協力的だった。ただ,問題になったのは,森の幼稚園をおこなう土地(森)に関して。
 
 ドイツでは,狩猟をする人は免許を持ち,ある森林区画で狩猟できる権利のためにお金を払っている。アルツェナウでは,市が公有林の一区画を森の幼稚園にと提案し,広場づくりなどの整備を進めていたのに,その土地を狩猟区に持つ狩猟者が途中で大反対したため,森林官が開園許可を取り消してしまい,計画がとん挫してしまったそうだ。狩猟者が反対したのは,幼稚園の存在で野生動物が減るのではないか,というのが主な理由だそうだ。アルツェナウに限らず,ほかの町でも狩猟者の反対を受けることはあるらしく,裁判になっているところもある,という噂も聞いた。
 
 結局,アルツェナウでは第一候補の森は使えなかったが,別の森林官が管轄する森が使えることになった。1年以上の準備期間を経て,無事開園してからも保護者,先生が一体となって試行錯誤を続けている。代表を務めるお父さんは「保護者自身が森の幼稚園の初心者だから,話し合いでは意見がぶつかることもある」という。
 
 アルツェナウで保護者の方に答えていただいたアンケートによると,ベンスハイムの場合と違って,自分自身が子供のころほぼ毎日森で遊んだ,という人はあまりいなかった。子供の頃暮らした土地には近くに森がなかったとか,一緒に行く人がいなかったという理由だった。でも「自分の子供には,いつも自然の中で感じたり学んだりできる素敵さを味わってほしい」という意味のことを多くの人が述べていた。経験はなくても,「いつも自然の中にいる≒素敵」という感覚があって,それが森の幼稚園の開園に漕ぎつけ,試行錯誤しながらも維持している原動力の一部になっているのだろうか?   
M.I.
 
 

日本の学生が森の幼稚園の研究に訪れていることを報じたアルツェナウの新聞記事