ここ数年の間に、いくらか齢を取ったにせよ、佐枝の美貌はいささかも衰えていない。(中略)実生活ではめっぽう身持ちの堅い女だった。ジャンケンで二つのグループにわけることがある。 私は埼玉で生まれ育ったが、グーパージャンと呼んで、グーとパーを使った。 岐阜ではグッチといい、グーとチョキでやる。このときチョキの呼び名はチーになる。 愛知県などでもそうかもしれない。
わたしは手を広げて、パーをこさえた。
佐枝が首を捻り、チーで答える。グーでなくてよかった。グーは桂本の機嫌が、最悪であることを意味する合図なのだ。
逢坂剛『ハポン追跡』講談社文庫
私は、勿論文芸一筋で通したいのは関の山なのだが、どうにも暮らしに窮すると不本意な内職をすることがある。『姑獲鳥(うぶめ)の夏』講談社
*アウ・オウが長音化したのが「同化」のせいで、エウが[j]を派生したのは「異化」のせいだということは簡単である。 問題は、それではなぜ「異化」という方向に変化が進んだのか、ということだろう。 また、「同化・異化」といったところで、これらは現象の名前。 以前にも書いたように、必ずしも説明ではない。
*以上、少し古めのパラダイムでの話。auがc:を経ずにo:となった説・可能性などは、とりあえず置いておく。
○●●▲ 日本大辞書(明治26年版の復刻。ただしノーベル書房版)私のアクセントも昭和26年の時点で採録され、現時点でも採録されている。 ●○○はもう辞書に載らないほど少数派なのでしょう。 また、ほとんどの辞典が二つの形を挙げているのは興味深い。 一つに決められないほど、ウロコのアクセントは揺れていたのですね。
○●●▲ ●○○ 国語発音アクセント辞典(昭和7年)
○●●▲ 明解国語辞典(昭和18年版の復刻)
●○○ 日本語アクセント辞典(昭和18年。NHK)
○●●▲ ○●●△ 日本語アクセント辞典(昭和26年。NHK)
○●●▲ ●○○ 明解日本語アクセント辞典(昭和33年)
○●●▲ 標準日本語発音大辞典(昭和38年、新訂増補6版)
○●●▲ ○●●△ 日本語発音アクセント辞典(昭和41年。42年再版)
○●●▲ ●○○ 新明解国語辞典(初版、昭和47年。第15刷)
○●●▲ ●○○ 日本国語大辞典(昭和48年)
○●●▲ ●○○ 新明解国語辞典(3版27刷。1984年)
○●●▲ ○●●△ 新明解国語辞典(4版1刷。1989年)
○●●▲ ○●●△ 新明解国語辞典(5版1刷。1997年)