1997年12月まで

■0018□小矢野哲夫さん(大阪外国語大学)……………………………19971229
今晩は。小矢野@大阪外大です。1年間、お疲れさまでした。行く年、来る年。丑年
の1997年もあとわずかになりました。あしかけ10年の居住歴になる箕面市で新しい
年を迎えます。

>19971229
>■今年の反省

を読んだボクの雑感です。

> 今年は、世情的には暗い話題が目につきました。が、来年は、せめて私たちのま
>わりだけでも嬉しく
>楽しく元気になるようなことがたくさんあるように、つとめたいと思います。 も
>ちろん、明るい世情になるよう、祈っております。

 ほんとにそうでした。特に神戸の中学生が容疑者として逮捕された事件は、国語
学者の文体鑑定まで飛び出しましたが結局、正解へとは結びつきませんでした。逮
捕の速報が流れたのが、なんと雨の降る6月28日。ボクの誕生日でした。娘は1こ上
の学年の生徒の犯行だという報道に、2日間、心にひっかかっていたようでした。
ことばについて、ボクの所に取材がこなくて良かったと、今になって思います。
 話題性が先行したために、ことばの形式としては、あまり見るべきものがありま
せんでした。「失楽園」が新語・流行語大賞を受賞するような世情でしたから、不
機嫌な果実しか実らなかったということでしょうか。小田晋さんの「魔がさす瞬間
」は面白かったです。
 今年は、2年前に書いたものが3つ、活字になりましたので、一見、今年はたく
さん仕事をしたように見えますが、今年書いたものは、3つでした。他に講演を2
つ。
 今年度開設された本学の区分制博士課程の大学院前期課程の必修科目「日本言語
社会研究序説」という、中身の定まらない授業を、半期でしたが、ほぼ毎回、書き
下ろしの原稿で講義しました。しんどかったのですが、楽しく続けられました。来
年度はこれの肉付けです。テーマは「社会規制による言語運用」。
 来年は、も少し明るい話題を作りたいですね。
 ぼくのホームページ(大学の公式版と「けとば珍聞」を中心とした私家版)も来
年4月にはスタートできそうです。完成したら、是非ともリンクをはらせていただ
きたいと思います。よろしくお願いいたします。
# ご愛読、ありがとうございました。本当に年の瀬になりました ね。「失楽園」、なんだかよく分かりませんが、題名といい筋とい い「あべさだ」がいまだに出てくることといい、陳腐だなぁと思っ たことでした。もっと新鮮な何かを盛り込んでほしいですね。「エ ウ゛ァンゲリオン」の方が数等新しさを感じさせそうです(といい つつ、実は見てないけれど)。  ホームページの方、鶴首してまっております。  それでは、よいお年をお迎えください。

  ■0017□IIMA Hiroaki (Yeemar) さん………………………19971228
佐藤様

 Yeemarです。
 「予讃線」についてはあまり建設的な情報を申し上げられませんで、失
礼しました。さて、

>>それにしても、Yeemarさんのページを見ても思うのですが、テレビ(ラ
>>ジオもでしょうか)からの用例がときどき挙げられてますね。これ、ど
>>うやって収集してらっしゃるのでしょうか。
 :
>>よろしかったら教えてください。

と仰しゃっていただきましたが、もちろん〈お教え〉するような収集技術
は持ち合わせておりませず、計画的収集もしておりません。むしろ、どの
ようにすればよいのか、これを機会にお伺いできればと存じております。
私のばあい、NHKテレビが好きなので、ときどき、それがNHKのチャ
ンネルであるというだけで何やしらん胸がいっぱいになり、見境なく録画
することがあります。しかし、ふつうはテレビを見ていて「あッ」と思っ
てから文を脳内で反復しつつ書きつけております。たとえば次のように。

 マニアにとってはすいえんの的の品物がそろっています。
  〔香港のイギリス統治時代の品物がオークションにかけられるという
   ニュース=記者リポート〕NHKニュース11(1997.11.21)
 
 故見坊先生でもないのに、こんなものを記録してどうなるのかと思うこ
ともあります。また、どこまでアンテナを広げればいいかという問題もあ
り、悩みます。このような話題は、あるいは岡島先生の「ことば会議室」
でお伺いするのがいいでしょうか?

 上記、「芳名帳」への転載についてはお任せいたします。

# 不躾な質問にお答えいただき、ありがとうございました。それにして も、過去の用例をきちんとメモしてらっしゃるというのは頭が下がります。  それが中心的なお仕事という形になると苦痛でしょうね。何やら無責任 なようですが、趣味レベルでやられるのが楽しめるのではないでしょうか。 使い道がないと徒労に思えてしまうことがありますが、おじいさんになる まで続けて、膨大なデータになったところで、老後の楽しみにまとめる、 というのもいいかと思います。  というのは、以前「気になることば」でも紹介した浅野信著・松下大三 郎序『巷間の言語省察』(昭和8、中文館書店)を念頭において書いてい るためです。昭和初期の日本語ウォッチングですが、当時の「まっとうな (?)」学者からは相手にされなかったのでしょう(古本屋で1000円でた たき売られていたのを入手)。私も、生意気だった20才代のころなら見向 きもしなかったでしょう。  ところが現代の研究状況をみると、言語生活論とか社会言語学とか、パ ロールのレベルに注目があつまってますよね。そういう視点から見直すと き、昭和初期の言語使用の実態が、一部にもせよ、分かるというのは本当 にありがたいことのように思えてきます。  そんなことに思いをはせるとき、すごいことしてらっしゃる、と感じま す。なんだか的外れで余計なことまで言ってしまったようですが、こんな 風に見てるヤツもいるのだ、くらいに思っていただければ幸いです。

■0016□IIMA Hiroaki (Yeemar) さん………………………19971227
 19971216「予讃線」についてメールいたします。芳名帳への転載はお任
せします。

>> あるいは、「予讃」という言い方が熟していることも考えられるか。 

 とありましたので、讃岐は高松の出身者として申し上げます。

 まず、「予讃地方」という言い方はないと思います(goo・infoseekで
見てみましたが、やはりありませんでした)。

 今の愛媛・香川県が歴史的にひとつの「愛媛県」だった時代はあったよ
うに思いますが、とくに一地方を形成しているという意識はないです。香
川県のテレビの天気予報では、愛媛県のうち東部すなわち「東予」だけが
特立されて、

  愛媛県東予は今夜南東の風一時やや強く、雨でしょう。明日は南東後
  北東の風、朝のうち雨で後曇りの見込み。雨の降る確率は80%。

などと言います(1989年の用例)。これは東予市の意味ではないようです。

 ちなみに、香川県は「東讃・西讃」に、愛媛県は「東予・中予・南予」
に分かれ、これはふつうに言われるようです。徳島・高知がどう分かれて
いるかはよく知りません。「阿南・阿北」はあるようですね。

 JR線は、「予讃(よさん)線」(愛媛−香川)、「土讃(どさん)線」(高
知−香川)、「予土(よど)線」(愛媛−高知)と旧国名を用いながら、なぜ
か香川−徳島は讃阿線ではなく「高徳(こうとく)線」(つまり高松−徳島と
いうわけ)となっています。
# 「予讃」について、ご出身の方からの御指摘、ありがとうございました。 妙な期待をもたずに、また、変な質問をせずに旅ができそうです。  それにしても、Yeemarさんのページを見ても思うのですが、テレビ(ラジ オもでしょうか)からの用例がときどき挙げられてますね。これ、どうやっ て収集してらっしゃるのでしょうか。私が思いつくのは、(1)定点観測的 にビデオにとっている (2)広島大学の先生方のように、いつも短冊状の カードを携行し、神技のごとくにペンを走らせる (3)パソコン経由でテ レビをつなぎ、これは、と思ったところでボタンを押すと、メモリに蓄えら れた過去数秒間のFM音声をファイル化してハードディスクに落とす くら いですけれども、よろしかったら教えてください。

■0015□小矢野哲夫さん(大阪外国語大学)…………………19971226
芳名帳へ
 お久しぶりです。小矢野@大阪外大です。
 今年も押し詰まりましたね。あと5日間で丑年(年男でした)。湯島のYZH計画に
メールしました。丁寧な返事をもらいました。インターネットって楽しいなぁとう
れしくなります。

>19971226
>■「御用おさめ」
について。
 ところで、今日で3日間の私立大学での集中講義が終わりました。最終日の今日、
事務室に行くと、職員の方々があわただしく掃除をしていました。10時40分から
6時までの4コマの授業です。いつもお世話になっている職員の方がボクに気づいて
声をかけてこられました。「御用納めですので、午後のお世話ができません。」と
おっしゃったのです。「ははぁ、私学でも『御用納め』って言うんだなぁ。」ちょ
うど『けとば珍聞』で私立大学の教員も「教官」と称するという記事を取り上げた
ところだったので、感じ入った次第です。「官」なり「御用」なり、国家を後ろ盾
にしている者が、これが目に入らぬか式の態度で民に接するような響きを感じます。
他の「官」、たとえば市役所の職員、郵便事業の職員が来訪者を見おろすような
態度をとることがあるので、いやな感じを持っていました。自分も文部教官という
「官」の一人でありながら、ひそかに大きな「官」に楯突いているものですから、
自分は「官」になるまいと思っています。
 語義の変化からすると、特定の事物を指していたものが、やがて、指示範囲を拡
張して一般通用語になる例として、「教官」や「御用納め」があるんだな、と納得
したしだいです。
 毎日、「気になる言葉」を愛読しています。教えられることしばしばです。パソ
コン情報も有益です。
 来年も、佐藤さんのホームページを覗きます。よろしくお願いします。良いお年
をお迎えください。
# メール、ありがとうございました。それにしてもこれくらい押し詰まってき ますと、何だか、やり残したことが多かったような気になってきますね。だか らこそ、来年はやるぞ、と思えるのでしょうが‥‥‥   今でも続いていると思いますが、差別語の言い換え運動のようなことが一時はやっ てましたよね。若いころは効果がないんじゃないかと思っていました。一度定着した ら、また言い換えなくてはならない。イタチごっこだ。本質である「見方・捉え方」 を改めなくっちゃ、と。  いま思うと、ことばの方から切り換えることの意味もよくわかります。たとえが 悪いかも知れませんが、「ひさしを貸して母屋を取られる」を利用しているようで、 人間の心理を突いているなぁ、と関心できるようになりました。年齢ってやつでし ょうかね。  年齢といえば、年男なんですか。もっとずっとお若いように思っておりました。 それにしましても、どうぞよいお年を。


■0014□岡島昭浩さん(福井大学)……………………………………19971216
 濃州、拝読しました。旧国鉄も伊予については、「予」を使っているから1字目を
使う、と決めているわけではないわけで、越美や因美はどうしてでしょうね。「エツ
ノウ」というと、「加越能」という言い方と混乱する所為かもしれませんね。すると
、インサクでは因伯と発音が似ているから? これはこじつけ。
 濃の呉音はニョウとだと思いますが、漢音ヂョウ呉音ニョウに対応する現代中国音
(北京)はnongなのです。つまりniongという音は北京音には体系的に無いのです。i
ongという韻母はyong,qiong,jiong,xiongにしか無くて、他のはongと合流してしまっ
ています。龍リョウlong、松ショウsong、もそうした例です。
 中国に於いても諧声符からの類推読みはあるわけですが(獰ningとか)、日本での
読み方が、中国での読みとは無関係に類推したものか、中国での類推読みの影響下に
有るのか、とても難しい問題です。
# ご愛読、ありがとうございます。お待ちしておりました。  そうですね、予讃本線なんてありますね。どうしてこちらは下(伊予の予)をとっ たのでしょう。あ、ちょっと思いついた。「気になることば」に書こう! (^^;  現代中国語音の濃nong。なるほど、個別変化ではなく、体系の要請にもとづくも のだったのですね。御指摘、感謝申します。その点は、改めたいと思います。やっ ぱり、漢字音は(「も」、だろ「も」!)、一度は徹底的に勉強しないと‥‥‥

■0013□IIMA Hiroaki (Yeemar) さん…………………………19971215
佐藤様

 Yeemarです。ご無沙汰いたしておりますが、突然のメールをお許しく
ださい。

 じつは御ページ19971120で「〜ざるをおえない」を拝読、「よりいっ
そう過激な語形がある」ことをご報告いたしたいと思うのです。

 それは、「ざろう得ない」。(^^;)

 10年近く前、わが日本文学専修の友人がこう書いているのを読んで衝
撃を受け、真剣に転校を検討したのですが(うそ)、今回サーチエンジン
で検索してみると、けっこうありました。といってもgooでは3件でし
た。infoseekによれば「ざろう得」30件、「ざろうえ」29件でした(97/
12/15現在)。

 この種の、活字では拾いにくい言い回しを、近く、いくつか集めて検
討したいと思っています。

【「ざろう得」の用例】
●主イエスを賛美せざろう得なくなり、心から喜びをもって主に向かっ
て歌い、手をたたかざろう得なくなる。
  (http://www.nasuinfo.or.jp/FreeSpace/jeccnasu/970622.htm)

●リサは子馬をほしがっていて、一度手に入れた があまりの費用の為、
手放しせざろう得なくなり 子馬を断念した。
  (http://home.highway.ne.jp/t_inaba/public_html/lisa.htm)

●しかし半年で厩舎辞めざろう得なくなる「柳田厩舎」ってどんなとこ
ろだ?最初から取るなよ。
  (http://www.asahi-net.or.jp/~kc8k-mr/photo/photo8.htm)

【「ざろうえ」の用例】
●新党さきがけがホームページにカネをかけていないのは、たまた まそ
うせざろうえないからかもしれません。
  (http://www2n.meshnet.or.jp/~IDES/970718.html)

●こう『すべてを洗い流してくれる』っていうか.....(ここまで書けば
、
下の二人は『ボケ』ざろうえないでしょう。
  (http://zip-fm.co.jp/ic/back/960828-j.html)

●日本がいかに緑で被われた土地なのか、それがいかに地球の中では特
殊なものなのかを感じざろうえない。
  (http://www.asahi-net.or.jp/~WT8Y-FRKW/chndu.html)

(本メール、芳名帳への転載についてはお任せいたします)
# ご愛読、ありがとうございます。  変化というのは知らぬうちに進んでいるものなのですね。前に書いたとき には、ここまでは予測することができませんでした。己の限界を知るととも に、現実の言語変化の力とでもいうべきものに、改めて畏敬の念すら覚えて しまいます。  Yeemarさんがどうさばいていくか、楽しみです。もし、御ページでお書き になったら、教えてくださいね。

■0012□小矢野哲夫さん(大阪外国語大学)…………19971214

芳名帳へ
 佐藤さん、こんにちは。小矢野@大阪外大です。ごぶさたしました。気ぜわしいで
す。
 さて、「気になる言葉」、読んでみました。日々更新の持続力・継続性に敬意を
表します。こちとら、クジラになって寝ています。(クジラというのは、わが家で
通用している家族語の一つ。夜9時には眠りに落ちている状態。ちなみに連れ合い
は、ゴジラです。まさにゴジラ世代なのですが、起床時間が5時なのです。で、ゴ
ジラ。)

>19971209
>■「○○に欠乏する」
『現代用語の基礎知識』の創刊号(1948年版)復刻版に、
>ビタミンA に缺乏すると上皮組織が萎縮、乾燥して粘膜が變質して乾燥する。
>ビタミンC に缺乏すると壊血病にかゝる。
という用例があったとのこと。
 恒例によって、ボクも3大用語集を買いましたが、積んどくタイプですので、ま
だ読んでいませんでした。
>現代なら「○○が欠乏する」となるところ。
ですね。
>だとしても、どうしてニ格で表示するのだろう。
>「思慮に欠ける」「常識に欠ける」のような「〈アルベキモノ〉に欠ける」文型を
>漢語「欠乏する」に応用したものか。 
「〜に欠ける」「〜に乏しい」といったニ格の用法は、少し古くさく感じられるの
かもしれませんね。漢語の「欠」も「乏」もニ格支配の能力を持っていると考えら
れますから、理屈の上では「ビタミンAに缺乏する」というくみあわせが可能にな
ります。が、現代語では、ちょっと違和感がありますね。
 ちょっと違う例ですが、「読み耽る」の格支配に2通りあります。確認はしてい
ませんが、「〜に読み耽る」が基本で、「〜を読み耽る」が新型かなと思います。
前項要素に支配されるか後項要素に支配されるかで、くみあわさる名詞の格表示が
変わる例です。「噛みつく」のばあいはニ格支配に固定されていて、前項要素の格
支配能力はなくなっている例です。「〜を噛みつく」の実例はまだ発見していませ
ん。
# いつもご愛読のほど、ありがとうございます。御感想等、ありがとうご ざいました。  形容詞の「〜に乏しい」の方、忘れてました。おっしゃるとおりですね。 複合語化したときの格支配の変容は面白いですね。見方をかえれば、前項・ 後項の自動性・他動性の関係がどうなるか、ということと思いますが、早津 恵美子さんあたりが、何か言ってたでしょうか。どうも最近の文法論の動向 に暗くて‥‥
>19971210 >■俗語の意味 > ▼てゆうか 話を切り出すときの意味のない前置き。 > 堀内克明「若者用語の解説」『現代用語の基礎知識1998』自由国民社。 >以下、同じ。 > てゆうかぁ、直前に話された意見・考えとは、ちょっとちがう意見・考えの方が >よりいいんじゃない、それを話しますよ、っていう意味とかはたらきとかあるんじ >ゃないのぉ。  おっしゃる通りだと思います。ボクの関心は、若者がなぜこのような形式を使っ て会話をつなぐのかという点にあります。いくつかの考察が出ています。いずれ考 えてみたいと思います。『現代用語の〜』のような「意味のない前置き」というの は、変、ってゆーかぁ、それだけじゃないって思います。確かに、いきなり、何の 脈絡もないような場面で「ってゆーかぁ、わたし、帰るわ」という用法もあります 。でも、話し手内部の脈絡においては、何か、独り言が連続していて、その一こま として使われているんではなかろうか、とも思います。 >▼だもんで 文の最初につける。 >▼それって 前置き。 なども、現象面ではそうだけれども、機能面、とくに、談話の機能としての意義づ けが要りますよね。それはともかく、考える素材が提供してある点でありがたい資 料です。  また、長くなってしまいました。これにて。
# 『現代用語〜』のこの項の部分、どうも英語学だか英文学の人が書いて いるようです。彼(ら)の辞書観・語釈観というものが反映しているかも、 と邪推したくなります。(^^; ポイントだけいうと、日本語を日本語で説明 することに慣れてないのではないか、という身も蓋もないものになってしま いますが。でも、対象となる単語の観察が足りないと思われても仕方ないで すよね。

■0011□福田嘉一郎さん(熊本県立大学)…………19971129
(芳名帳へ)
熊本の福田です。 私は大阪北部の出身で、南部の発音は聞いて知っているということです。 バヤイ(場合)、スケナイ(少)、〜シテシモウ(してしまう)等の言い方も、 今では中年以上の人に限られるのではないでしょうか。
# ご愛読、お便り、ありがとうございました。 「『場合』の場合」(気になることば)へのレスですね。 まぎらわしい書き方をしてしまい、すみませんでした。

■0010□小矢野哲夫さん(大阪外国語大学)…………19971125

芳名帳にメールします。
 「気になる言葉」の「おどかし」について。 古い「けとば珍聞」を見ていたら、「脅迫」の意の「脅かし」(たぶん「おどかし」と読むのだろうと思います)があ りました。 ぼく自身「おどし」と「おどかし」の区別が、今一つあいまいなのです。 「おどし」は確かに「脅迫」の意味で使い、「おどかし」は「びっくりさせること」の意味なのですが、 「おどかし」を「脅迫」の意味でも使うような気がします。 ぼくの方言(鳥取県倉吉市、誕生から19歳まで居住)では、「びっくりさせる」の意味で「おばかす」を使います。 「おびやかす」の訛音ではないかと思います。 当時、「おどす」や「おどかす」を使っていたのかどうか、記憶がはっきりしません。 なにしろ30年以上も前のことですので。
 さて、新聞の用例ですが、次にぼくのコメント(※以下)と一緒に引用しておきます。
 セクシャル・ハラスメントは「性的いやがらせ」と訳されている。 「しかし、女性の側からすれば、むしろ『脅かし』。 断るのにものすごい思いをしているということが、男性にはわからないのではないかしら」 (『朝日新聞』大阪本社版1989年10月24日付朝刊16面「女say 男say」欄  弁護士・中下裕子さんの談話)
※たしかに「いやがらせ」では実態の深刻さが十分に表せないようです。 地下鉄車内での痴漢行為を「迷惑行為」と言い換えるようなあいまいさがあります。 (『けとば珍聞』第225号、1990年1月3日付1面)

# 〈ここから佐藤〉 貴重な御意見・用例をお示しくださり、御礼もうしあげます。 いわゆる「揺れ」に属する現象なのでしょうね。 なにごとかを言うには、心して掛からないとけないようですね。


■0009□福田嘉一郎さん(熊本県立大学)…………19971124

 熊本の福田です。HPいつも楽しく拝見しています。
 「気になることば」を読んでいて思ったのですが、威嚇の意でオドカスを使うのは、関西の言い方ではないでしょうか。 私自身(大阪出身)話しことばではそのように使いますし、オドスはむしろ文章語的に感じます。 筒井康隆氏はたしか大阪府立春日丘高校を卒業しています。高橋克彦氏はどこの出身でしょうか?
# ご愛読、ありがとうございます。高橋氏は岩手県盛岡市出身です。 学生時代は少々ながめで(^^;)東京にいましたが、たしか30歳代以降には岩手にもどり、現在にいたっています。
(芳名帳へ・続き)
 私の内省では、オドス・オドロカスはいずれも書きことばで、口頭語では威嚇の意味ならオドカス、驚愕させる意味ならビックリサス(俗な語でビビラスとい うのもある。原義は「怖がらせる」)を使うのが、関西での普通の言い方のように思われます。
#なるほど。驚愕の傾向がオドス→オドカス→オドロカスというふうには進まないということですね。 貴重な御意見、ありがとうございました。


■0008□小矢野哲夫さん(大阪外国語大学)…………19971121

芳名帳にメールします。
今日ようやくMIDPLUG YAMAHAのインストールに成功しました(三度目の正直)。 佐藤さんのホームページを開いて、あれっ??  これ何だろうと思って、よく見てみました。 これまで、QuickTimeのマークが出て、しかる後に、オーディオバーが出ていたのですが、 楕円形の、ちょうどCDラジカセ的な形のグレーのマークが出ていたのです。 再生マークをクリックすると、流れて来ました。 しかも、クリックしなくても、自動的に音楽が繰り返されるのです。 「警告」など出ませんでした(これまでも)。 いま、その音楽を聴きながら書いています。
楽しいホームページです。


■0007□Harada Ikukoさん…………19971118

「気になる言葉」いつも読んでは考えさせられたり納得させられたりして います。(^^)
19971116の「〜ざるをえない」は,ちょっと考えさせられました。 最近,NHKの番組で「〜せざるをおえない」という言葉を耳にすることが あります。聞く度に「せざるをおえない?せざるってなんや?なにをおえ ないんだ?」と思えてなりません。
今回見て,「ざるおえない」という表記になっているのもあるのは少しば かり驚き,というよりも呆れました。でも「ざるをおえない」よりはいい んでしょうか?余計な文字が入っていない分だけ。(^^;;;

これからも楽しみにしています。(^^)


■0006□小矢野哲夫さん(大阪外国語大学)…………19971115

「気になることば」30集達成おめでとうございます。
「継続は力なり」。これをモットーにするのは簡単ですが、「言うは易く行うは難し」の典型例です。
こころからお祝い申し上げます。これからも、息の長い更新をお続け下さい。期待しています。いろいろと勉強させていただきます。
 索引も大変便利です。佐藤さんの幅広い関心と学識が漂ってきます。
 
 ところで、過去の記事「ら抜き言葉撲滅委員会準備会」のタイトルを分類目次の中に見付けたときは、「え゛〜っ 佐藤さんがぁーー。うそやろ」と思いました。
しかし、
>現在進行中の言語変化に対しては傍観することにしている。 したがって、このような企画ができても、エールを送るつもりはないし、送っちゃいけないとも思っている。
 もうすこし言うと、この種の活動が、功を奏するものかどうかには関心がある。 つまり、そうした動きを、幼虫がサナギ・成虫となるのを観察するように見てみようということ。 それはそれで、言語現象の、あるいは言語現象をめぐる人間の動きという、興味をそそらずにはおかない事例になるから。
 冷たい、と見る人もいるだろうが、研究者のとるべき立場の一つとして、ありうべきスタンスではある。 というか、言語現象に対して、さらに人為的な何かをするのは、研究者としては不遜・傲慢だと思えるからである。

と書いておられるのを読んで、安心しました。
 なぜ、この「ら抜き言葉」(「れる付け言葉」とも)にめくじら立てるのだろうか、なぜ、自分たち多数派の思いを、声を大にしてがなりたてるのだろうか、ひょっとしたらかなりの危機感を持っているのかな、とも思います。国語審議会が公の場での使用を認知できないと報告書に明記したのはなんのため? ぼくたち(鳥取県倉吉市出身)、ら抜き言葉を母語の体系に持っている者の言語生活を、小さな地域だけに限定しようとするのだろうか。方言のよさの見直し、などときれいごとをいっても、結局、限られた場での微笑ましい一こまとして承認してあげる、というような、中央人(?)の、かなり横柄な態度を感じます。
> だから、「美しい日本語を守ろう」などと日本語熱をあおる言語研究者(と見せかけている人)は、ちょっとどうか、と思う。 「美しい」の基準になっているのは何なのか?  なぜ日本語は美しいのか? 外国語は汚いのか?‥‥‥  そういった疑問のすべてに、学術的な回答を準備しているのだろうか。
 僕たちのコミュニケーションには、きれいなものも、きたないものも含まれています。変な優越意識は、何か劣等意識を隠すような気持ちの裏返しではないでしょうか。
 なお、このメールは、芳名帳に掲載していただいてもかまいません。


■0005□小矢野哲夫さん(大阪外国語大学)…………19971114

初めまして。佐藤さんのホームページ「ことばへの窓」を見ました。飯間さんのホ ームページに、見かけたことのある佐藤さんのお名前をみつけ、「気になる言葉」 がどんなものかと興味を持ちました。 今日、「日本語学」の岡島さんの論文で佐藤さんのプラウザを知り(ひょっとした ら飯間さんのリンク集にあったかと思いますが、なにしろ、インターネットを始め たのが1カ月半前です)、開いて見たのです。 インターネットの時代なのですね。ぼくは10年ほど、ことばのミニコミ紙「けと ば珍聞」(紙を使った通信)を出してきました。今、院生にぼくのホームページの 制作を依頼しているところです。 「ことばへの窓」のブックマークも追加しました。じっくり読ませていただきます 。よろしくお願いします。


■0004□湯浅茂雄さん(ノートルダム清心女子大学)…………19971014

ホームページはじめて拝見しました。ホームページ上からもメールしたのですが、 届いたかどうか心許ないので慣れたやり方で再度メールしています。楽しく拝見し ました。少しずつ全部を覗かせていただいたのですが、盛り沢山で驚きました。も ともと音楽や写真もなさることを知りました。ホームページを作られる素養をお持 ちだったのですね。今後もたびたび覗かせていただきます。ありがとうございまし た。学会でお会いできるのを楽しみにしています。


■0003□五十里光彦/Teruhiko "Terry" Ikariさん…………19971015

佐藤貴裕 先生

 そうでしたか...実は、大変失礼ですが「ハジメマシテ」ですよね。 佐藤さんのリンクに私のページも載っているので、もしかして、過去に相互リンクをお約束していて私が一方的に忘れていたという状況であったとしたらどうしよう...と心配しています。 最近妙にメールのやり取りが増えてしまい、且つ、日常業務にて若者的に言えば(私の得意分野です)「しっちゃか」なので。
 メーラーが起動しない理由を解析してみようと文書ソースなど見ていたら、早速メールを頂戴してしまいました。フォームを使用せず、単にアンカーだけ貼ったら良いかと思います。 私、一応ソフト屋さんなんですが、元々は翻訳/通訳で、実はHTML廻りは得意分野ではありません。
 あぁ、そう書いているうちにもう一回メールを頂戴してしまいましたね。速攻レスを旨としておりますので、少々口惜しい。

 どうやら、ほぼ同世代(私の方が少しだけ上)、そして、同郷の方の様ですので、今後とも宜しくお願いいたします。ところで、先生のページも私のリンク集に加えてよろしゅうございますか?通常のリンクページには言語学絡みは載せない方向で考えており、「言葉のよろずや」に言語学サイトとして、
  1.アカデミック
  2.ノンアカデミック
 に分けるつもりです。もちろん先生のページはアカデミックの分野です。

 先生のページにリンクが載っているくらいでしょうから私のページもご覧いただいてしまったわけですね。 お恥ずかしい。 「街角の小うるさいご隠居」のつもりではじめたページでして、学問的な事はあまり出てきませんが、ご指導いただければ幸いです。

 それから、ご存知かどうか、私の高校の先輩で、北海道教育大学の杉浦先生も言葉のページを最近作られました。ご参考まで。http://ksugiura.hak.hokkyodai.ac.jp/

 では、取りあえず(この表現最近自分でも良く使うし、世間一般でも使われますので、岡島先生のページに投稿しようか等と考えております。若しくは、「気になる言葉」ですか?))この辺で失礼いたします。


■0002□田中宣廣さん(岩手県立宮古短期大学)…………19971014
田中さんのは箇条書きです。 これは、フォームか何かの不具合で、文字化けしたメールを、 御記憶をたよりに、再生していただいたためです。
 田中さん、ほんとうにありがとうございました。(佐藤)

・時々見せていただいています。
・今度じっくり拝見したいと思います。
・雑用類が多く忙しく過ごしています。
・授業は週2コマです。
・私の先輩で茨城県の国立T大学の講師に2コマの話をしましたら「T大の他の先生に言ったら殺されるよ」と脅されました。桑原桑原。
・但し火曜日は下のような連絡票を作製し、一日中ゼミをやり抜きます。学生の指導には“熱心”………のつもりです。
・ゼミ生は女子3名ですが、全員大変良いところに就職が決まり安心し、また誇りに思っているところです。
・私の専門はアクセントです。拙稿は、平山輝男博士米寿記念会編『日本語研究諸領域の視点』(下巻)東京:明治書院などにありますので、よろしかったら御 検分をお願いします。
・また、最近では近世語の論文も内部の「紀要」などに出しています。もう少し鍛えてこちらの分野でも学界にも乗り込もうと企てています。
・近世語では狂言を主資料としていますが、その成果を踏まえて公開講座やレギュラーの講義で狂言をやりますと、とてもウケます。
・近代語研究会にも出来る限り出席しています。しかし、今度の山形は方言研究会と会場が離れていて、私は方言研究会に参りますので、近代語研究会は失礼させて戴きます。
・宮古短大のホームページは http://www.miyako-pc.ac.jp/ のアドレスで御覧戴けますし、「yahoo」やその他のリンクから開くことが出来ますので、どうぞ1度お目をお通し下さい。 私の顔も「教職員一覧」の「専任教員」から御覧になれます。どうか私のツラを見知って下さい。その他使用されている写真はほとんど私の撮影ですが、ネガプリントからスキャンしたもので画面上はあまり見栄えがしないと思います。
・個人的なことです。川口の御出身だそうですが、私は幼稚園まで浦和におりましたし、その後千葉に行きましたが、現在の実家は朝霞にあります。 今は明治書院のシリーズで埼玉県の方言もやっています。(原稿を早く出さなければなりません)

■0001□萩原義雄さん(駒澤大学北海道教養部)…………19971003

「えらい」について検索。 「氣になる言葉」の欄に記載されていたので、 私の日々のことば覚え書き「ことばの溜め池」の本日分に引用させていただきました。 心から感謝申し上げます。 また、私のホームページへもお立ち寄り下さい。