岐阜大学大学院医学系研究科に新設された希少難病研究室では、希少疾患に関わる研究・診療・教育を統合的に推進する体制が整えられています。希少難病領域では、研究・診療・教育のいずれも高度な専門性を要するため、従事する医師の業務負担が大きくなりがちです。小児科学教室では、この状況を踏まえ、教育業務を持続可能な形で運営するためにタスクシェアを進めています。医学教育開発研究センター(MEDC)は、この取り組みに連携し、教育設計やシミュレーション教育の専門性を活かした協働を進めています。
具体的には、小児科が臨床実習で実施する基本的臨床手技のシミュレーショントレーニングに対し、MEDC が教育設計・運営を支援し、学習者が安全に技能を習得できる環境づくりに寄与しています。また、希少難病研究に不可欠なレジストリー入力業務の一部をタスクシェアすることで、研究医の業務効率化と教育活動の質向上の双方に資する体制づくりを目指しています。これらの取り組みは、医学教育学が重視する良質な学習環境デザイン、持続可能な教育システム構築などを具体的に体現するものといえます。
MEDC は、文部科学省認定の共同利用拠点(医学教育)として、国内外の理論と実践に基づき医療者教育の開発・研究・普及を行う全国拠点です。多職種協働、臨床現場との往還、学術的エビデンスの創出を柱とし、現場の“改善”と医療者教育学の“改革”を両輪として活動しています。希少難病研究室との協働を通じ、岐阜大学から新たな教育モデルを発信し、次世代の医療者育成にさらに貢献できるよう、一層取り組みを進めてまいります。
岐阜大学医学教育開発研究センター 教授・センター長
西城 卓也
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