小児期には、遺伝的要因により難病や希少疾患を発症する患者がしばしば認められます。これらの疾患に対しては、早期に発見し、適切な医療を提供することによって、発症の抑制や重篤化の防止、後遺症の軽減を図るとともに、可能であれば完治を目指すことが重要です。
岐阜大学大学院医学系研究科小児科学教室では、これまでに、(1)先天性免疫異常症、(2)先天性代謝異常症、(3)難治性脈管奇形に関する研究を通じて、新生児スクリーニング法の開発、それぞれの疾患群の病因・病態の解明、治療法の開発などに取り組んできました。
近年では、難治性脈管奇形に対するシロリムスの医師主導治験を実施し、その有効性と安全性を確認して薬事承認に繋げた実績や、新規の先天性免疫異常症の発見など、重要な成果を挙げています。一方で、発見されたばかりの疾患や極めて稀な疾患については、病態の解明が進んでおらず、確立された治療法も存在しないものが少なくありません。
このような現状を踏まえ、研究と教育の一層の推進を目的として、このたび、岐阜大学大学院医学系研究科内に希少難病研究に特化した研究室を新たに設立いたしました。
希少難病研究室では、小児希少難病に関する研究力向上を目的とし、研究を実施する医療者のサポートを行います。具体的には以下の概念図のように、岐阜大学大学院医学系研究科内の臨床医学教室と基礎医学教室が連携した研究を実施し、希少難病研究室、医学教育開発研究センター、先端医療・医療研究推進センターがそれぞれ様々な角度から研究者の支援を行います。例えば、希少難病研究には疾患レジストリの構築による自然歴の調査などが必要になりますが、患者情報の入力支援などを希少難病研究室のメンバーが担当します。また岐阜県内の関連医療機関と連携し、社会人大学院生が地域医療に従事しつつも、効率よく研究を実施することを可能とする体制を整えました。さらに最先端の医学研究を学ぶ機会を提供するため、京都大学、東北大学、かずさDNA研究所などとの人材交流を実施しています。
希少難病研究室による医療者の研究支援体制により、地域医療体制を維持しつつ最先端技術を活用した医師、医学研究者の育成を目指します。
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