難病とは、発病の原因が明確でないために治療方法が確立しておらず、長期の療養を必要とする疾患と定義されています。具体的には、①発病の機構(原因)が明らかでない、②治療方法が確立していない、③希少な疾患である、④長期の療養を必要とする、といった要件が規定されています。
難病は小児で取り扱う疾患ばかりではありませんが、遺伝子異常に起因する難病の多くは小児期に発症することが多く、岐阜大学大学院医学系研究科小児科学教室でも伝統的に研究テーマとして取り挙げております。その中でも特に先天性免疫異常症(以前は原発性免疫不全症と呼びましたが、最近では易感染性を示す疾患だけではないことから呼称が変更されつつあります)、先天性代謝異常症、難治性脈管奇形を岐阜大学における小児希少難病研究の3本柱として位置付けており、それぞれの厚労省研究班と連携して研究に取り組んでいます。
昨今、ゲノム遺伝子解析技術の革新、普及により、保険診療ベースでも比較的容易に遺伝子診断が行えるようになりました。一方で検出された遺伝子バリアントが本当に疾患の原因なのか?希少な疾患すぎて病態が未解明で、かつ自然歴が不明、また遺伝学的に診断されたが、治療法が未確立な疾患も多く存在していることなどが難病研究の課題として残っています。
本希少難病研究室は、文科省の高度医療人材養成拠点形成事業(高度な臨床・研究能力を有する医師養成促進支援)の支援を受け、2025年4月に岐阜大学大学院医学系研究科内に設置されました。希少難病研究を行う医療者を研究面、教育面で支援するため特任助教2名、教務補佐員1名、技能補佐員1名が配置されています。
岐阜大学医学部のユニークな取り組みとして、令和7年度から医学部医学科の学生が講義の空白時間に各講座の研究やプロジェクトに学生研究員として参加するプロジェクト基盤型カリキュラムのトライアルが開始されています。小児科学研究室ではこれらの学生研究員を受け入れており、希少難病研究に取り組んでもらっています。
希少難病研究室では、医療者、支援員、学生研究員の相互補完による活動を通じて希少難病に関する課題をひとつずつ解決すべく取り組んでいます。
岐阜大学大学院医学系研究科希少難病研究室 室長
大西秀典
© 2025 Laboratory of Intractable and Rare Diseases, Gifu University Graduate School of Medicine.