実験方法¶
負染色法¶
準備¶
使用する器具、装置
- エラスチックカーボン (ELS-C10 グリッドピッチ100μm 応研)
- 逆作用ピンセット (P-651 逆作用ピンセット ホーザン株式会社)
- ピペットマン (P-20,P-2)
- パラフィルム
- 濾紙
- 染色剤(酢酸ウラン)
使用する器具、装置
- イオンスパッタ(日立 E-1010)
- 電子顕微鏡(JEOI LEM-2100F)
警告
酢酸ウランは、放射性廃棄物となるので使用する濾紙、パラフィルム、ピペットマン等のゴミは最小限になるように実験を行う。
また、取り扱いに関しても十分注意して行う。染色剤としては、リンタングステン酸??などで代替できるが酢酸ウランが染色剤として最も優秀である。
負染色法を用いた電子顕微鏡での試料観察の流れを以下に示す。
グリッドの親水化¶
グリッドとは、透過電顕で試料を観察するときに用いる直径3mm、厚さ10-50μmの円形の金属網であり、光学顕微鏡のスライドグラスに相当するものである。
グリッドは必ず親水化処理をしてから使用する。 以下に手順を示す。
濾紙にカーボン面が上になるようにグリッドを並べ真空チャンバーに置く。 蓋をつけ、栓を締めておく。
[POWER] を ON にする。
[MAIN VALVE] を CLOSE からゆっくり OPEN にする。
[VOLTAGE] のランプを HIGH から LOW に切り替える。
[VACCUM] の値が
20Pa以下
になると READY が点滅する。点滅したら、 [DISCHARGE] ボタンを押す。[VACUUM ADJUST] を LOW の方に4回転ほど回して、 DCSCHAREGE CURREN の値が
3mA
になるように調整する。そして、
30-60秒ほど
真空放電を行う。終了後、栓を回して真空を開放する。
最後に、 [VACUUM ADJUST] を HIGH 方向一杯に回して、 [MAIN VALVE] を CLOSE した後、 OFF にしてスイッチを切る。
また、実際の実験操作については以下の動画に記録してある。
注釈
親水化処理をしたあとはできるだけ短い時間でグリッドを使用する。 1時間程度ならば問題ないが数時間を過ぎるとグリッドを作成する際の再現性がとれなくなってくる。
注釈
使用後は、スイッチを切った後、真空引きをして、汚れないように保護しておくほうが良い。
試料の染色¶
試料の染色を行う。 今回は、負染色法を行う。その際の手順を以下に示す。
ピンセットで、グリッドの カーボン面が上 になるようにつかむ。
濾紙を ちぎり 、折り目をつけて、ちぎった端がシャーレの底から浮くようにして、 シャーレの中に置く
ピペットマンを用いて、酢酸ウラン10(か20)μlを取り、シャーレの上においたパラフィルムの上に3滴に分配する。
別のピペットマンを用いて、サンプル2μlを取り、ピンセットに挟んであるグリッドに滴下する。 その後、30秒程度待つ。(試料の濃度等により調節するのが良い。長いほどよく吸着する。)
酢酸ウラン2μlを取り、試料につかないように滴下させる。
ピッペッティングをしてはいけない 。
チップの先がウランにつくと、汚染されてしまうので、ピペットマンを押し切って液滴を落とすように滴下させる。
グリッドの縁を濾紙にあて溶液を吸わせる。
パラフィルム上の酢酸ウランを吸着させる。
濾紙に吸わせる。
これを2回繰り返した後、最後は十分に濾紙に吸わせる。
2分ほど静置させ乾燥させ、ケースにしまう。(乾燥が十分でないとピンセットがら離れない。)
シリカゲルを用いて数時間乾燥させる。
観察のため 試料挿入 を行う。
また、実際の実験操作については以下の動画に記録してある。
警告
酢酸ウランは、構造を固定してしまうので、ピッペッピングをすると、試料の構造が機械的に壊れてしまう
そのため、酢酸ウランの液滴を液面に触れさせるようにして滴下し、そのままチップを引き抜くように操作を行う。
注釈
グリッドの作成の際のパラメータは、以下の2つである。
- 親水化処理の長さ
- タンパク質複合体の濃度