有限要素法を用いた
二次元磁界解析

上級:回転機の非線形静特性解析


2000.11.06
岐阜大学 工学部 応用情報学科
河瀬・山口研究室


1.はじめに

 このマニュアルでは、二次元有限要素法(Finite Element Method, FEM)による 回転機の 非線形静特性解析の手順を説明します。
 解析の流れは「中級:回転機の線形静特性解析」とほとんど同じですが、使用プログラム及び一部ファイルのフォーマットが異なりますので注意して下さい。
 この解析手順を簡単に書くと次のようになります。

 非線形解析とは…

(1) 分割図の作成
入力ファイル 使用プログラム 出力ファイル
object.dat meg
→→
in.dat
g.dat
sin.dat
move.dat

(2) 回転機の静特性解析
入力ファイル 使用プログラム 出力ファイル
in.dat
g.dat
sin.dat
move.dat
rot.dat
d3
current.dat
ib
50a400.bh
s45c.bh

femturbo
→→
d.dat00??
g.dat00??
in.dat00??
move.dat00??
out
mac2d.dat
fort.77
fort.97
注意:出力ファイルの??にはステップ数が入ります。
   赤字は非線形解析用のファイルを示します。
 解析にはプログラムfemturboを用います。

 このマニュアルでは、以下に示す回転機を例にとって、 上に示した解析手順について説明していきます。
 この回転機は電気学会で解析の精度検証用モデルとして 提唱されているものです。
 なお、解析モデルは「中級:回転機の線形静特性解析」 と同じですが、永久磁石の解析領域を変更してあります ので分割図作成時には注意して下さい。

解析モデルへ

2.分割図の作成

 分割図作成についての詳しい内容は他のページで説明していますので、 そちらを見たい人はタイトルをクリックして下さい。
 ここでは、回転機の分割図作成に関する注意点を述べます。

<object.dat作成時>


<meg使用時>

 以上のことを考慮して作成した解析例のobject.datを他のページ で示します。なお、「中級:回転機の線形静特性解析」の場合と比 較すると、永久磁石の解析領域が変更していますので、注意して下 さい。また、object.datの先頭で宣言してあるパ ラメータについてですが、ここの数字を色々と変更して解析 結果に及ぼす影響を検討してみて下さい。

解析例のobject.datへ


3.回転機の静特性解析

 解析はfemturboというプログラムを用い て行ないます。このマニュアルでは、回転機の静特性解析のうちコギ ングトルク解析と電流入力解析について説明します。


3.1 コギングトルク解析

 コギングトルク解析に関係するファイルを以下に示します。 コギングトルクとは回転機を無負荷の状態(入力電流を与えない状態)で 機械的に回した場合に働くトルクのことです。

 コギングトルクとは…

コギングトルク解析に関係するデータ
入力ファイル 出力ファイル
in.dat
g.dat
sin.dat
move.dat
rot.dat
d3
ib
50a400
s45c
要素のデータ
外形線のデータ
要素のデータ
積分路のデータ
回転の設定用のデータ
ファイル指定用のデータ
実行時に入力するデータ
非線形のデータ
非線形のデータ
d.dat00??
g.dat00??
in.dat00??
move.dat00??
out
mac2d.dat
fort.77
fort.97
磁束のデータ
外形線のデータ
要素のデータ
積分路のデータ
解析経過のデータ
解析結果のデータ
解析結果のデータ
解析結果のデータ
注意:出力ファイルの??にはステップ数が入ります。

 次に、回転機のコギングトルク解析に関係する入力ファイルの中で、 2章の「分割図の作成」で作成されないファイルと 作成されるが訂正が必要なファイルについて説明します。


 以上の解析方法を用いた解析例の結果を次のリンク先で紹介して おきます。参考にしてみて下さい。

解析例の結果へ


以上で回転機の静特性解析の説明を終ります。

toba環境下で解析をしている方へ
 この演習が終ったら次のコマンドを入力して、 in.dat*、d.dat*、g.dat*、move.dat*のすべてを消去して下さい。
rm in.dat* d.dat* g.dat* move.dat*↓
注意:「↓」は改行(return)の意味

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