分割図の作成


 最初に解析に必要な分割図の作成をします。分割図はobject.datから megを用いて作成します。 以下にデータの作成に関係するデータを示します。

分割図の作成に関係するデータ
入力ファイル 出力ファイル
object.dat 長さの単位、
境界条件、
形状、材質、
自動分割重み、
積分路などを
指定するデータ
in.dat
g.dat
sin.dat
move.dat
要素のデータ
外形線のデータ
材質のデータ
積分路のデータ



 1.object.datについて

 object.datとは、解析モデルの長さの単位、境界条件、形状、材質、 自動分割重み、積分路などの条件を指定するデータです。以下に それぞれの説明をします。なお、書式中の(形状)については後で まとめて説明します。また、このデータ内で「/*」「*/」ではさまれた 部分はプログラム中では何も意味をもちませんので、 コメントなどに使って下さい。

(1) 長さの単位
 書式を以下に示します。factorはobject.dat内の データの長さの単位の指定を行うものです。FEMの中では 単位はすべてメートル[m]ですが、実際に扱うモデルでは ミリメートル[mm]を用いたほうが便利なので、 データ中では[mm]を用いてプログラム内で値をfactorで 割ることにより[m]に修正します。
  factor = 1 /(データ中の単位を[m]に直したもの)

(2) 境界条件
 書式を以下に示します。境界には固定境界と自然境界が あります。磁束密度が境界に対して平行になる場合 その境界を固定境界といい、垂直になる場合を自然境界と いいます。これは解析モデルの固定境界を指定するもので、 これで指定されなかった境界はすべて自然境界となります。
  bound = (形状)

(3) 形状
 書式を以下に示します。これは解析モデルの形状を 設定するものです。形状が重なった場合には後で指定した 形状が有効になります。
  fig[(材質番号)] = (形状)

(4) 材質
 書式を以下に示します。これは解析モデルの材質を 指定するものです。ただし、材質番号1〜3は 鉄の材質指定にのみ用い、他は番号の若い順に磁石、 コイル、空気と指定していってください。コイルの 電流密度とは1m^2に何Aが流れているかを表します。 式にすると、
 (電流密度[AT/m^2]) =
  (コイルの電流値[A]) × (コイルの巻き数[T]) / (コイルの断面積[m^2])
となります。また、その方向はx-y平面の裏から表が 正となります。
 鉄
  mat[(材質番号)] = {μx,μy,σ}   μx,μy:比透磁率(例:3000) σ:導電率(例:0)
 永久磁石
  mat[(材質番号)] = {Mx,My,-1}   Mx,My:磁化[T]or[Wb/m^2](例:1.5)

 コイル
  mat[(材質番号)] = { 1, 1, 0}
  coil = {(材質番号),j}  j:電流密度[AT/m^2]
 空気、アルミ
  mat[(材質番号)] = { 1, 1, 0}

(5) 自動分割重み
 書式を以下に示します。自動分割するときの分割の 優先度を指定します。倍率が大きい部分ほど細かく 分割されます。また、倍率を-1とするとその領域は 分割されません。
  fine[(倍率)] = box{x1,y1,x2,y2}
  fine[(倍率)] = circle{x,y,r}
  fine[(倍率)] = donut{x,y,r1,r2,a1,a2}
  fine[(倍率)] = (材質番号)

(6) 積分路
 書式を以下に示します。これは電磁力を求める場合に 用い、空気領域に電磁力を求めたい部分を囲うように とります。その際、他の材質にかからないようにします。
  path[(積分路番号)] = (形状)


 次にobject.datで使用する形状の説明をします。座標はx成分は 左から右に、y成分は下から上が正方向です。角度はx軸の正方向が 0度で反時計回りが正方向となります。形状には以下に示す 八個があります。x、yは座標、rは半径、nは辺数、aは角度を 示します。

形状と書式
形状 書式
線分 line{x1,y1, x2,y2, ...}
長方形 box{x1,y1, x2,y2}
多角形 poly{x1,y1, x2,y2, x3,y3, ...}
曲線多角形 arcpoly{x1,y1,r1,n1, x2,y2,r2,n2, x3,y3,r3,n3, ...}
円(正多角形) circle{x,y,r,n}
扇型 circle{x,y,r,n,a1,a2}
リング donut{x,y,r1,r2,n1,n2}
リング片 donut{x,y,r1,r2,n1,n2,a1,a2}

 それぞれの具体的な例を以下に示します。 この図の中のx、yは座標、rは半径、nは辺数、aは角度を示します。



具体的な形状の例



 2.megについて

 megはobject.datから解析に必要なデータを作成するプログラムです。 megでの作業の流れは次のようになります。

(1) megの起動(同時にobject.datの読み込みをします)
(2) 初期分割作成
(3) 自動分割
(4) 保存

 各作業の説明をします。

(1) megの起動
 megの起動法を次に示します。object.datはmegの 起動とともに読み込まれます。このとき、object.datに 誤りがあるとエラーメッセージを表示します。図2.2に megの起動時のウィンドウを示します。
/home/students/x4525009/suchikaiseki/meg↓
注意:「↓」は改行(return)の意味
(2) 初期分割作成
 要素に最小限必要な分割をします。このボタンを 押すとファイルの入力になりますが、そのまま確定を 押して下さい。図2.3にmegの初期分割後の ウィンドウを示します。

(3) 自動分割
 連続して自動分割を行います。このボタンを押すと 図2.4(a)のようなメニューが現れるので自動分割の 終了条件を設定し分割を行っていきます。メニュー中の●は 終了条件として用いていることを、○は用いていないことを 表しています。●○は押すごとに入れ替わります。また、 二つ以上の終了条件を同時に与えた場合、どちらか一つを 満たした時点で分割は終了します。図2.4(a)は設定の 一例です。

(4) 保存
 (3)までで作成したデータを解析に用いる ファイル形式で保存します。このボタンを押すと図2.4(b)の ようなメニューが現れます。motion.datは特別な場合にのみ 用いられるデータなので今回は作成データの中からは ずします。図2.4(b)は今回の解析の設定です。

図2.2 megの起動時のウィンドウ



図2.3 megの初期分割後のウィンドウ



(a)自動分割の設定
*今回の環境では終了条件の数値は表示されません。
*数値はデフォルトで分割数1000が入っています。
*なお、現在の環境下では、数値がみえません。
*よってそのままで「確定」をクリックするとデフォルト
の「分割数1000」で分割されます。


(b)保存の設定
図2.4 megの設定
*現在の環境では保存ファイル名もみることができません。
*「保存」をクリックすると上記のデフォルトのファイル名で
保存されます。