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岐阜大学 応用生物科学部 生産環境科学課程 応用動物科学コース

ヤギの放牧による荒廃農地の再生

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 日本国内では荒廃農地が増加している。農林水産省の平成23年度調査では荒廃農地は全国で27.8万ha(岐阜県1,806 ha)に及ぶと報告されている。荒廃農地の増加は,農業生産量の低下,病害虫の発生・鳥獣害の拡大,不法投棄などの原因となるため早急な解消が望まれているが,効果的な対策はまだない。
畜産による荒廃農地の活用法としては和牛の放牧が知られているが,牛の飼育管理には経験や技術が必要なため導入が難しい場合が多い。これに対し,ヤギは小型で扱いやすいため比較的導入が簡単であり,また傾斜地への適性も高い。しかし,荒廃農地へのヤギの放牧適性に関する科学的評価は少ない。本研究では,ヤギを荒廃農地に放牧し,そこでの家畜生産量および植生への影響を評価し,産業および景観保全への効果を明らかにする。

草食動物の採食行動の解析

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 放牧を適切に管理するには,放牧家畜の採食量と採食効率を知ることが重要である。採食量および採食効率は,採食行動の結果であり,この採食行動は摂食と呼ばれる行動単位とその継続時間によって決まる。摂食は放牧家畜の顎の動きによって制御され,この顎の動きは,草を引きちぎって摂取するbite,口腔内で草を細かく処理するchewおよびこれらの複合運動であるchew-biteによって構成されている。したがって,biteまたはchew一回当たりの摂取量やbite,chewおよびchew-biteの構成割合を連続的に解析すれば,放牧家畜の採食量や採食効率を明らかにできる。
 そこで,音響モニタリング法(accousitic monitoring method)と呼ばれる方法を用い,摂食における顎の運動を音として捉え,肉眼では識別の難しいbite,chewおよびchew-biteを正確に判別,計数し,放牧家畜の採食量や採食効率の定量を可能にし,放牧管理に役立てることを目指している。