岐阜県地域医療研修検討会紹介
代表世話人あいさつ
岐阜大学医学部附属地域医療医学センター(CRM)特任教授 村上啓雄
岐阜県は東西にも南北にも広い面積を有し、人口も203万人あります。そのため都市部から山間部まで、様々な規模の医療機関があり、全国ワースト10位以内の医師不足の中、医師は日夜地域住民の医療の確保のため汗を流しています。
岐阜大学医学部医学科では平成20年度から地域枠推薦入試創設により医学部入学定員を増やし、また岐阜県医学生修学資金制度を利用した医師確保の取組がなされてきました。また卒業生が岐阜県内で適切に教育を受けながら成長でき、その結果医師確保につながるシステムとして平成23年度からは岐阜県医師育成・確保コンソーシアムを立ち上げ、すでに115名の医師がこのシステムを利用して岐阜県内で勤務しています。今後もしばらくの間は毎年数十名単位で岐阜県内での勤務をしなければならない医師が輩出されます。すなわち、専門診療科にかかわらず、どの地域で勤務しても臨機応変に対応できる総合的な臨床能力を身に着けた医師育成体制の強化がますます求められつつあります。
岐阜県の地域医療現場では、従来からとくに日本プライマリケア連合学会が認定する専門医・指導医を中心に、一部の地域診療所などで、地域医療現場で患者や家族に寄り添う医療を研修医のみならず、医学科、その他の学科の学生にも教育する体制が整備され、全国あるいは海外からも研修に訪れる医師・学生の実績があります。ところが、その素晴らしい教育体制が岐阜県内で勤務する医師や学んでいる学生に十分周知・利用されていない実態があります。
このような背景のもと、岐阜県内の地域医療現場をもっと活用して、岐阜県内の地域医療現場で行われる地域医療研修の質向上と、総合診療専門医・日本プライマリケア連合学会認定医・専門医の育成、および自治医科大学卒業医師の診療・研究・教育支援体制の充実をミッションの3本柱として平成28年1月に設立したのが「岐阜県地域医療研修検討会」です。地域診療所での研修システムの確立、地域診療所と臨床研修病院等との連携強化・相互協力体制強化も念頭に置いて、地域医療研修のみならず、岐阜県内での臨床研修全体の質向上への寄与を目標にしております。
このミッションに賛同いただけた岐阜県内の様々な規模の医療施設の先生方のご協力をいただき、また岐阜県から運営支援を受け、岐阜県内の地域医療現場に身を置いて、総合診療専門医を目指す、地域の医療現場で患者診療動線に寄り添う医療を体験したい、など自身のキャリアアップを図りたい医学生・医師・他のメディカルスタッフを目指す方のために設立したこの会にご興味のある方は、どうぞ気軽に事務局までお問い合わせください。