県内初、岐阜大学病院で始まる新たな治療、PSMA内用療法|特設サイト

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去勢抵抗性前立腺癌の新たな治療

Theranosticsという考え方

68Ga-PSMA-11-PET/CT検査および177Lu-PSMA-617治療はTheranosticsという考え方に基づいて設計されています。Theranosticsは「診断と治療を一体化する」という意味で、がん細胞に特異的に発現する物質(今回の場合PSMA)に結合する物質(リガンドと言います)に、さらに放射線を出す物質(今回の場合68Gaや177Lu)を結合させることでがん病巣を選択的に描出したり、がん病巣のみを放射線で攻撃したりすることができます(図参照)。
当院ではすでにTheranosticsの考え方に基づいて設計された、神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)や褐色細胞腫・パラガングリオーマ・小児神経芽腫に対する131I-MIBG内照射療法が導入されています。

Theranosticsの概念(PSMA)

PSMAとは

PSMAとは、前立腺癌細胞に非常に多く発現しているたんぱく質のことです。PSMAに選択的に結合する物質をもちいることで前立腺癌の病巣を正確に捉えることができます。

実際の治療の流れ

まず、68Ga-PSMA-11-PET/CT検査を受けていただきます。68Ga-PSMA-11はPSMAに結合するリガンドに68Gaを結合させたもので、68Gaから出る放射線を撮影装置で捉えることでPSMAが発現している前立腺癌細胞を高精度に描出することができ、その時点で癌がどの程度進行しているのかが一目でわかるようになっています。この検査でがん病巣が描出された場合、それはすなわち177Lu-PSMA-617治療薬による治療が可能であることを意味します。177Lu-PSMA-617はPSMAに結合するリガンドに177Luを結合させたもので、PSMAを有する前立腺癌細胞に局所的に集まって放射線でがん細胞を攻撃・破壊します。 68Ga-PSMA-11-PET/CT検査は外来で受けていただくことが可能です。検査薬を静脈注射し、1時間ほど待機していただき、20分程度の撮影を行います。
177Lu-PSMA-617治療薬による治療は入院で行う必要がありますが、1回あたり数日の短期入院で実施が可能で患者さんの負担が少ないのもこの治療法のメリットです。治療スケジュールとしては6週間ごとに6回の治療を受けていただきます。