PSMA検査の特徴
微小転移巣の検出
68Ga-PSMA-11-PET/CT検査は従来の画像診断と比べて微小な転移巣をより正確に発見することができます。海外の論文では、従来のCT検査と骨シンチグラフィ検査を組み合わせても6割程度しか転移巣を見つけられなかったのが、68Ga-PSMA-11-PET/CT検査では9割以上で転移を検出できたという結果が出ています。
この論文で紹介されている症例では、CT検査や骨シンチグラフィ検査で転移巣は指摘できませんが、68Ga-PSMA-11-PET/CT検査で転移巣がはっきりと描出されています。治療を行い、6ヶ月後のCT検査で転移巣は病勢が落ち着いた白い結節として認識できます。
- Hofman MS, et al. proPSMA Study Group Collaborators. Prostate-specific membrane antigen PET-CT in patients with high-risk prostate cancer before curative-intent surgery or radiotherapy (proPSMA): a prospective, randomised, multicentre study. Lancet. 2020 Apr 11;395(10231):1208-1216.( https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32209449/)
PSMA治療との連携
上述したように、68Ga-PSMA-11-PET/CT検査で病巣が描出された場合、177Lu-PSMA-617治療薬を用いた治療に進みます。この治療法はがん細胞を選択的に攻撃することができるので、従来の抗がん剤と比べて治療効果が高く、副作用が少ないというメリットがあります。また、放射性塩化ラジウム(223RaCl2、ゾーフィゴ®)というお薬は177Lu-PSMA-617治療薬と同じ放射性医薬品に分類されますが、適応が骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌の患者さんに限定されていました。しかし177Lu-PSMA-617治療薬は骨転移に限らず全身どこの転移巣に対しても治療が可能となり、より多くの患者さんに受けていただける治療となります。