研究室の紹介

通常の原子核は、陽子と中性子(これらを総称して 核子 と言います)からできています。さらに核子は、クォークからできています。クォークには、6つの種類[u-quark(アップ) d-quark(ダウン) c-quark(チャ-ム) s-quark(ストレンジ) t-quark(トップ) b-quark(ボトム)]があり、陽子はuud、中性子はuddの組み合わせからなっています。

陽子と中性子のみで構成される原子核の他に、ストレンジネス(ストレンジクォークが1個あればS=-1と呼ばれる)をもつ粒子Λ(ラムダ)、Σ(シグマ)、Ξ(グザイ)などのハイペロンを含む原子核もあります。それらは、ハイパー核と呼ばれています。

ハイパー核を研究対象とする分野では、加速器を用いた交換反応実験の進歩によって、国際共同実験(日本、韓国、イギリス、アメリカ)であるE373実験が実施されました。この実験では、ハイペロンを2個含んだダブルハイパー核が複数発見され、そのうち長良イベントは全ての崩壊の過程が決定できる世界で初めての事象になりました。

一方、S=-2のΞ-を吸収した核から2つのΛ核が放出されるような現象も確認されています。このうち、木曽イベントは解析の結果、Ξ粒子と通常の原子核が強く結びついた状態であることが分かり、Ξ原子核とも呼べる状態が存在することを初めて実験的に検証しました。

現在、多くの成果を残したE373実験をさらにスケールアップした、国際共同実験であるJ-PARC E07実験を主導しています。さらに多くのΛΛ核や、Ξ原子核を発見することにより、物理学の発展に貢献しています。

(2018年8月更新)

Nakazawa-Lab, Physics Department, Gifu University