活動紹介|岐阜大学 動物園生物学研究センター

第1回岐阜テックプラングランプリで受賞

(2021年11月23日掲載)

 

岐阜テックプランター2021(株式会社リバネス 主催,株式会社大垣共立銀行 共催)で,動物繁殖学研究室のチーム「ZOOREPLAB」(ず〜れっぷらぼ)がファイナリストに残り,最終選考会「第1回岐阜テックプラングランプリ」で,OKB賞(大垣共立銀行賞)を受賞しました。

 

 プレゼンテーマ: 絶滅危惧動物の妊娠検査薬の開発と普及
 当日の様子が,東海テレビ(FNNプライムオンライン)で紹介されています。

 

 

地域テックプランターとは・・・
大学等研究機関の研究成果が世界を変える可能性を信じ,地域をあげて社会実装を支援するため,テックプランターの要素を取り入れることで各地の産官学金が連携して始まったのが地域テックプランターです。その中の「岐阜テックプランター」は,岐阜県を中心とした研究機関の研究者・テクノロジーベンチャー企業の発掘・育成をしていくことで,持続的に産業が創出されるエコシステムの構築を目指しています。(リバネスWebサイトより)
岐阜県は,地域テックプランター企画の12地域(12府県)の最後,12ヵ所目に指定され,今回,第1回のグランプリが大垣共立銀行の共催で大垣市内で開催されました。

 

 

論文掲載 2021年

(2021年11月23日掲載)

 

●特集 ハシビロコウの生物学と保全(生物の科学 遺伝 2021年9月号)
ハシビロコウの性判別や繁殖生理などに関する研究の紹介論文が,「生物の科学 遺伝」(特集:ハシビロコウの生物学と保全)に掲載されました。千葉市動物公園,上野動物園,神戸どうぶつ王国,那須どうぶつ王国,高知県立のいち動物公園との共同研究です。(動物繁殖学研究室)

 

楠田哲士.2021.ハシビロコウの生物学と保全─特集企画に際して(特集:ハシビロコウの生物学と保全).生物の科学 遺伝75(5):384-387.(出版社の許可を得てPDFファイル公開)

 

吉田智紀,楠田哲士,山本彩織,小川裕子.2021.鳥類におけるさまざまな性判別法とハシビロコウのDNAによる性判別(特集:ハシビロコウの生物学と保全).生物の科学 遺伝75(5):408-413.

 

金原弘武,楠田哲士.2021.ハシビロコウの飼育下繁殖にむけた繁殖生理解明への挑戦(特集:ハシビロコウの生物学と保全).生物の科学 遺伝75(5):439-443.

 

鈴木詩織.2021.日本全国のハシビロコウに会いに─来園者目線で伝えたい,ハシビロコウの「いま」と「これから」.生物の科学 遺伝75(5):450-454.   

 

 

●アカウミガメの父子鑑定用マイクロサテライトマーカーの評価(日本野生動物医学会誌)
飼育下アカウミガメの父子鑑定におけるマイクロサテライトマーカーの有用性評価に関する論文が,日本野生動物医学会誌に掲載されました。名古屋港水族館との共同研究です。(動物ゲノム多様性学研究室)

 

Tadano R, Mori M, Sakaoka K, Kurita M. 2021. Characterization of microsatellite markers for paternity analysis in captive loggerhead turtles (Caretta caretta). Japanese Journal of Zoo and Wildlife Medicine 26(3): 81-85.

 

●コロブス亜科霊長類の繊維消化(PLoS ONE)
胃の形態が異なる(3室に分かれた胃と4室に分かれた胃)コロブス亜科霊長類の繊維消化に関する論文がPLosONEに掲載されました。よこはま動物園ズーラシア,日本モンキーセンターとの共同研究です。(動物栄養学研究室)

 

Hoshino S, Seino S, Funahashi T, Hoshino T, Clauss M, Matsuda I, Yayota M. 2021. Apparent diet digestibility of captive colobines in relation to stomach types with special reference to fibre digestion. PLoS ONE 16(9): e0256548.

 

●特集 動物園・畜産学の最前線(生物の科学 遺伝 2021年3月号)
動物園動物を対象とした動物福祉,遺伝学,栄養学,繁殖学に関する研究の紹介論文が,「生物の科学 遺伝」(特集:動物園・畜産学の最前線)に掲載されました。(動物管理学研究室,動物遺伝学研究室,動物栄養学研究室,動物繁殖学研究室,豊橋総合動植物公園)

 

二宮 茂.2021.応用動物行動学─畜産と動物園におけるアニマルウェルフェアへの取り組み.生物の科学 遺伝75(2):119-123.

 

松村秀一.2021.動物の遺伝学:動物の味覚の遺伝と進化─味覚受容体の塩基配列には環境適応の歴史が反映されている.生物の科学 遺伝75(2):124-129.

 

八代田真人,星野 智.2021.動物園動物の栄養学─家畜から動物園動物の栄養管理への展開.生物の科学 遺伝75(2):130-135.

 

楠田哲士.2021.動物園における絶滅危惧種の繁殖学─繁殖生理を調べて飼育に生かす.生物の科学 遺伝75(2):136-145.(出版社の許可を得てPDFファイル公開)

 

高見一利.2021.動物園に対する畜産学の貢献─野生動物の飼育を実現するための大きな役割.生物の科学 遺伝75(2):146-151.(豊橋総合動植物公園の園長様に執筆いただきました)

 

 

学会発表 2021年

(2021年5月掲載,11月23日更新)

 

●第4回野生動物保全繁殖研究会大会(2021年8月20日)
  動物繁殖学研究室の卒業生(現 京都市動物園)が発表しました。

 

 「日本国内の飼育下雌キリンにおける糞中プロジェステロン含量を指標とした
  繁殖生理状態の一斉調査―10年の比較」

    櫻井ひかり,楠田哲士,土井 守,清水 勲,下 康浩 (動物繁殖学研究室ほか)

 

 

●動物の行動と管理学会2021年度研究発表会(2021年9月9-10日)
  動物栄養学研究室と動物管理学研究室の大学院生が発表しました。

 

 「樹葉サイレージの発酵特性と動物園動物に対する嗜好性」
    星野 智,島田英里,橋勇太,八代田真人 (動物栄養学研究室ほか)
    優秀発表賞受賞!

 

 「環境要因が飼育下オオカミの行動発現に与える影響」
    西明寺佑介,二宮 茂 (動物管理学研究室)

 

 「飼育下アジアゾウにおける移動バウトの分析」
    榎屋百恵,二宮 茂 (動物管理学研究室)

 

 

●日本鳥学会2021年度大会(2021年9月17-20日)
  動物繁殖学研究室の大学院生が発表しました。

 

 「飼育下スバールバルライチョウにおける産卵時期,産卵数,卵重および体重の関係」
    金原弘武,楠田哲士,秋葉由紀,小山将大,村井仁志 (動物繁殖学研究室ほか)

 

 

●The 14th Asian Society of Conservation Medicine/ 27th Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine 2021 Joint Conference(第14回アジア保全医学会/第27回日本野生動物医学会2021合同大会)(2021年9月21-24日)
  動物繁殖学研究室の大学院生が発表しました。

 

 「Pregnancy diagnosis based on the profile of serum prolactin in Asian and African
  elephants measured by commercial ELISA kit」
  (市販ELISAキットを用いたゾウの血中プロラクチン測定による妊娠判定)

    Kanatani N, Kusuda S, Otozu W, Kumaoka S, Taniguchi S, Takehana K
    (動物繁殖学研究室ほか)

 

 「Ovarian cycle monitoring based on urinary and fecal steroid concentrations,
  length between mammary slits and body temperature in a captive female killer whale」
  (シャチにおける糞尿中ホルモン濃度,乳裂間幅,体温による卵巣周期のモニタリング)

    Ekawa M, Kusuda S, Miyajima M, Oshima Y, Ohno Y, Kanda K, Ryono M, Kurita M
    (動物繁殖学研究室ほか)

 

 「Factors affecting the timing and traits of egg-laying in captive Japanese rock ptarmigan
   (Lagopus muta japonica)」 
  (飼育下ニホンライチョウの産卵タイミングと産卵特性に影響を及ぼす要因)

    Kimpara H, Akiba Y, Murai H, Horiguchi M, Miyano N, Takahashi Y, Shiraishi T,
    Koyama M, Sato T, Kusuda S (動物繁殖学研究室ほか)
    The Excellence Poster Presentation(優秀ポスター賞)!

 

 

東京動物園協会保全パートナーに (ライチョウ&ハシビロコウ)

(2021年5月掲載)

 

公益財団法人東京動物園協会の野生生物保全基金助成の保全パートナー部門に,動物園動物生理学部門(動物繁殖学研究室)が採択されました。この助成を受けて「希少鳥類における域外保全のための繁殖生理生態の解明──ライチョウとハシビロコウを中心に」の研究(2021〜2023年度)を進めます。

 

【概要】
鳥類は外部環境の変化に敏感で,繁殖期やそれと拮抗関係にある換羽の調節にその環境が影響します。繁殖を制御しているのは主に日長ですが,家禽以外ではほとんど調べられていません。私たちは近年,温度や採食量といった他要素との相互関係にも注目しています。これまで取り組んできた鳥類のうち,特にライチョウとハシビロコウは,東京の動物園で積極的に保全繁殖に取り組まれ,生理生態の解明で連携してきました。それぞれ高山帯と熱帯(雨季乾季)という極端な特殊環境に適応するため,異なる両者の比較から見極められる要素の手がかりがあると考えています。ライチョウはこれまでの保全事業で,繁殖に成功していますが,産卵時期,産卵数,孵化率等にまだまだ向上の余地があります。一方ハシビロコウも調査研究を継続していますが,未だ繁殖に至らず生理生態が不明なままです。これらの種を中心に,他種とも比較しながら,親鳥の外部環境要素と生理との関連をより詳細に検討することで,繁殖生理生態の解明への糸口を見出そうとしています。より高度な飼育繁殖条件の向上につなげ,域外保全に貢献したいと思います。

 

●ライチョウの繁殖生理研究は,日本動物園水族館協会と環境省の連携事業の1つである生息域外保全の一環として,ライチョウの各飼育施設とともに共同で実施しています。よりよい繁殖のため,質の向上のために必要なポイントが少しずつ見えてきています。

 

●ハシビロコウについても,各飼育施設と共に共同で実施しているものです。このうちの1つ,神戸どうぶつ王国は,2021年4月23日に国内最大級の「ハシビロコウ生態園 Big bill(ビッグビル)」がオープンし,環境コントロールにも配慮されているため,今後の繁殖に新たな期待がかかります。同園PVの「行ったつもりでどうぶつ王国 #9ハシビロコウ編」の中に,「繁殖の取り組み」として紹介されている解説板が出てきますが,この中にも挑戦の重要ポイントがいくつか記されています。特に「D糞中ホルモンを検査し,繁殖に関するデータを集めている。」 という部分で協力しています。

 

 

アカウミガメの親子鑑定 (名古屋港水族館との共同研究)

(2021年5月掲載)

 

名古屋港水族館のアカウミガメの父子判定で,動物園動物遺伝学部門(動物ゲノム多様性学研究室)の活動が紹介されました。DNAを用いた親子鑑定によって,子ガメの父親が明らかになりました。

 

詳細は名古屋港水族館のサイトへ。

 

 

 

ツシマヤマネコの妊娠判定2021年(JAZAとの共同研究)

(2021年5月掲載)

 

環境省と日本動物園水族館協会の連携で,ツシマヤマネコの生息域外保全事業が展開されています。毎年,ツシマヤマネコの交尾後の排卵確認や妊娠判定などに,動物園動物生理学部門(動物繁殖学研究室)が協力しています。今年は多くの動物園で妊娠・出産に成功しています。

 

 横浜市立よこはま動物園(人工授精による) 2021年3月18日1頭出産
 福岡市動物園(自然交尾)         2021年4月28日1頭出産
 名古屋市東山動物園(自然交尾)      2021年4月30日2頭出産

 

名古屋市東山動物園のオフィシャルブログ(園長ブログ)で,「ツシマヤマネコ繁殖でつないだバトン」として,私たちの連携も紹介されています。動物園の飼育も獣医も広報も,そして大学や関係機関も,それぞれの得意分野や知恵を出し合って一丸となって取り組むことが大事です。

 

 

 

キリンの繁殖生理と栄養管理の全国一斉調査

(2021年5月掲載)

 

キリンの繁殖生理と栄養管理の全国一斉調査を,日本動物園水族館協会生物多様性委員会キリン計画管理者と共同で行いました。日本国内のほぼすべての動物園がこの調査研究に参加されています。10年前にも同様の調査を実施しているため,10年間での変化を見ています。

 

動物園動物栄養学部門(動物栄養学研究室)と動物園動物生理学部門(動物繁殖学研究室)が,それぞれ卒論研究や修論研究で実施した内容をもとに報告書にまとめています。この報告書は,キリンを飼育する国内すべての施設へ配布されました(2020年5月)。

 

 

 

 

 

繁殖生理に関する内容は,東京動物園協会野生生物保全基金助成を受けて実施したため,その助成活動のオンライン成果報告会としてYouTube動画で2021年3月13日から公開されています。例年は活動報告講演会として3月に開催されてきましたが,2020年3月と2021年3月は,新型コロナウイルス感染症の影響で開催されていないため,オンライン開催となっています。

 

栄養管理に関する内容は,2020年11月15日に開催された2020年度飼育野生動物栄養研究会大会で,2つの研究発表を行いました。

 

  「国内における飼育下キリンの栄養状態と飼養管理状況」
  「国内における飼育下キリンの飼養管理状況:10年前との比較」

 

 

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