ウルトラファインバブルの有効性と安全性
日本家政学会誌のシリーズ「研究の動向」において,ファインバブルの機能特性に関して,定義,生成方法,活用及び生物効果等を紹介しました。本内容は,2019年9月14日に開催された日本家政学会中部支部第64回(2019年度)大会(岐阜大学サテライトキャンパス)の一般公開講演『ウルトラファインバブルの機能特性』から起稿しました。
久保和弘,ファインバブルの機能特性,日本家政学会誌,2020年;71巻2号:124-128.
世界には多くの硬水地域があります。日常の硬水使用は,カルシウム過剰摂取による前立腺癌の発症リスク増加や、配管内での無機塩類(主に炭酸カルシウム(CaCO3))の析出量増加などさまざまな問題を引き起こします。株式会社TKS(岐阜県岐阜市)との共同研究で,硬水を噴霧化処理することにより,硬水中のカルシウムイオン(Ca2+)濃度と電気伝導度が減少することを発見しました。本技術は,メカニズムとしてファインバブルの発生が関与することが示唆されるとともに,硬水を容易に適度な硬度に軟化することができるので,高い汎用性が期待されます。
本研究成果は,2023年7月27日に食品科学工学の国際誌であるFood Science and Technology Research誌のオンライン版で早期公開されました。本公開は、Vol.29,
No.6、2023年11月20日の予定です。
Kubo K, Kasumi M, and Yamashita T. Hard water can be softened by atomization. Food Science and Technology Research. 2023; 29(6): xx-xx. DOI: 10.3136/fstr.FSTR-D-23-00059.
【特許】糖尿病予防又は改善用液状物(特許第7149053号)、【発明者】久保和弘、⼭下貴敏、田中和宏、【発行日】令和4年10月6日
ゼオライトの有効性と安全性
富山県産の天然ゼオライトが肥満モデルマウスの高血糖・高脂血症・肥満を改善することを発見しました。また,ゼオライトの高い安全性も確認しました。地殻中の豊富なミネラルである天然ゼオライトは,イオン交換特性をもつアルミノケイ酸塩で,選択的に水を吸着して,カチオンを交換します。このような機能特性を利用して,工業におけるイオン交換剤や触媒,農業における土壌改良剤,公衆衛生における水質浄化剤,環境保全における資材など様々な用途に活用されています。ゼオライトの有効性は,食物繊維がもつ消化管吸収の調節作用に似ていると考えられます。今後,高脂肪食に伴う高血糖・高脂血症・肥満を予防することを目的とした機能性食品への応用が期待されます。
Kubo k, Kawai Y. Zeolite Improves High-Fat Diet-Induced Hyperglycemia, Hyperlipidemia and Obesity in Mice. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2021;67(5):283-291.
食物繊維と小麦アルブミンの併用作用
一般的に機能性成分の併用によって有効作用が増強することは少ない(すなわち,どちらか一方の効果のみが発現する場合が多い)ことが知られています。食物繊維と小麦アルブミンはそれぞれ,2型糖尿病患者における高血糖を抑制することが知られていますが,我々は,食品企業との共同研究において,食物繊維と小麦アルブミンの同時摂取によって有効性が相加的に発現し2型糖尿病モデルラットの食後高血糖と慢性脂質代謝障害を改善することを見出しました。
Kubo K, Koido A, Kitano M, Yamamoto H, Saito M. Combined Effects of a Dietary Fiber Mixture and Wheat Albumin in a Rat Model of Type 2 Diabetes Mellitus. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2016;62(6):416-424.
柑橘類ダイダイ(シトラスアウランチウム)の有効性と安全性、および、カフェイン、茶カテキンの併用作用
シネフリンを含むダイダイ(シトラスアウランチウム)は,体重増加抑制作用をもつため栄養補助食品の成分として多用されています。しかし,関連製品に死亡を含む健康被害が報告されたことから,我々はラットを用いてシネフリン含有シトラスアウランチウムの安全性および有効性について検討しました。シトラスアウランチウム抽出液を胃ゾンデで投与したところ,体重増加抑制作用はほぼ認められませんでした。しかし300mg以上(市販品の約25倍量以上)で用量依存的に尿アドレナリン濃度が増加したことから,特に心血管疾患のリスクをもつ人においては注意が必要と考えられます。
Kubo K, Kiyose C, Saito M. Increase in Urinary Catecholamine Excretion by Single Oral Administration of Citrus Aurantium in Rats Fed a High-Fat Diet. Journal of Asian Regional Association for Home Economics. 2014;21(1):34-42.
同様にアドレナリン分泌を増加させる可能性のある成分(コーヒーに含まれるカフェイン,または,茶に含まれるカテキン)との併用の影響について検討しました。シトラスアウランチウムとカフェイン,または,カテキンとの併用において,体重増加抑制はほぼ認められませんでした。カフェイン,または,カテキンの通常レベルの摂取では問題ありませんが,シトラスアウランチウムの単独摂取では尿アドレナリン濃度を増加させる作用が強いことから,シトラスアウランチウムと高レベルのカフェイン,または,高レベルのカテキンの併用摂取は,特に心血管疾患のリスクをもつ人においては注意が必要と考えられます。
Takebayashi J, Kubo K, SaekiA and Saito M. Effect of Citrus Aurantium Combined with Caffeine and/or Tea Catechins on Body Fat Accumulation and Its Safety in Rats. Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition. 2006;39(3):174-181.
ガルシニア・カンボジア((-)-ヒドロキシクエン酸)の有効性と安全性
ガルシニア・カンボジア(GA)は,東南アジアに自生する植物です。乾燥した外皮は,食品保存料,香料,駆風薬として,東南アジア全域で何世紀にもわたり広く使用されており,現在では先進国において体脂肪減少のための栄養補助食品として普及しています。その関与成分は,(-)-ヒドロキシクエン酸((-)-HCA)(ATPクエン酸シンターゼの競合阻害剤)であり,アセチルCoAの濃度を減少させます。これにより,脂肪酸およびコレステロール生合成を制限するとともに,カルニチンパルミトイルトランスフェーゼI活性の刺激および脂肪酸酸化の促進を通じて体脂肪蓄積の抑制をもたらすとされています。しかし実際には,高用量の(-)-HCAをラットに投与したところ,体脂肪蓄積抑制は観察されましたが,主にセルトリ細胞の機能的損傷に起因する精巣毒性(精細胞の萎縮と変性,精子形成不全)も発現することが分かりました(➀,➁)。一方,卵巣等への影響については有害な影響が観察されないことが明らかになりました(③)。
➀ Saito M, Ueno M, Ogino S, Kubo K, Nagata J, Takeuchi M. High dose of Garcinia cambogia is effective in suppressing fat accumulation in developing male Zucker obese rats, but highly toxic to the testis. Food Chem Toxicol. 2005;43(3):411-419.
➁ Kiyose C, Ogino S, Kubo K, Takeuchi M, Saito M. Relationship between Garcinia cambogia-Induced Impairment of Spermatogenesis and Meiosis-Activating Sterol Production in Rat Testis. J Clin Biochem Nutr. 2006;38(3):180-187.
③ Kiyose C, Kubo K, Saito M. Effect of Garcinia cambogia Administration on Female Reproductive Organs in Rats. J Clin Biochem Nutr. 2006;38(3):188-194.
遺伝子組換え食品の開発動向,及び,その影響
世界における栄養不足克服や生活習慣病予防などを目的としたバイオテクノロジー応用食品の開発動向調査を行いました。さらに,我が国において通常食品が当該遺伝子組換え食品に置き換わった場合の栄養素摂取変化とその影響に関するシミュレーションを行いました。その結果,生活習慣病予防を目的とした開発の一例として,高オレイン酸ダイズがありますが,これにすべて置き換わった場合のオレイン酸摂取量の増加はとくに問題とはならないと推測されました。むしろ,リノール酸の摂取量の減少に伴うn6/n3比の減少に繋がり,n6系脂肪酸由来のエイコサノイドの減少が期待できることから,アレルギー状態の改善,インスリン抵抗性の改善等,国民の健康に好影響を与える可能性の方が大きいと評価されました。また,途上国における栄養不足の克服を目的として高カロテン・高鉄コメが開発されていますが,これに置き換わった場合,全年齢階級におけるカロテン摂取量(レチノール相当量)は許容上限摂取量を上回ることはないと推測されました。
久保和弘, 斎藤衛郎. 栄養素含量および機能性を改変した遺伝子組み換え食品の開発の現状と将来の動向およびその安全性評価. 日本栄養・食糧学会誌 2000;53(4):169-174.
ドコサヘキサエン酸の有効性と安全性
ドコサヘキサエン酸(DHA)は,動脈硬化予防と心臓疾患予防がほぼ明らかであり,魚食を特徴とする日本型食生活を通じ,我が国に世界に冠たる長寿をもたらした要素の一つと考えられます。しかし,分子構造上,極めて酸化され易いことも周知の事実であり,その関連物質は動脈硬化等の病態に関連した報告が極めて多く見受けられます。従って,DHAの有効性と安全性を明らかにすることは,日本型食生活の有効性と安全性を保証する上で極めて大切です。そこで,子ども(①)と成人(②)のDHAの摂取基準を明らかにするため,ラットを用いて,血清と組織の過酸化脂質が増加せず,かつ,血清脂質改善作用を引き出せる摂取レベルを明らかにしました。
① Saito M, Kubo K, Ikegami S. An assessment of docosahexaenoic acid (DHA) intake with special reference to lipid metabolism in rats. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 1996;42(3):195-207.
② Saito M, Kubo K. An assessment of docosahexaenoic acid intake from the viewpoint of safety and physiological efficacy in matured rats. Ann Nutr Metab. 2002;46(5):176-181.
ラットにDHAを与えると,肝臓や腎臓の過酸化脂質が増加し,逆に,膜の主要な抗酸化物質であるビタミンEが減少します。このことは,不飽和度の高いDHAが生体膜に取り込まれたことに起因すると考えられます。しかしこの時,リポフスシンのような反応最終産物が生成するほどには脂質過酸化反応は亢進しないことを明らかにしました。従って,酸化抑制作用をもつ抗酸化物質や抗酸化酵素の関与が推察されます。しかし,高レベルのVEを摂取しても(③,④),また,ビタミンEを還元再生するアスコルビン酸(ビタミンC)やメチオニン(グルタチオン合成に必須)を摂取しても(⑤,⑥),DHA摂取に伴う過酸化脂質生成を抑制することはできません。さらに,組織のグルタチオンペルオキシダーゼやグルタチオンレダクターゼの活性は増加しません(③,⑦,⑧)。従って,既知の抗酸化物質・酵素以外に,過酸化脂質に対する未知の「生成抑制」あるいは「蓄積抑制」のメカニズムが存在すると考えられました。
③ Kubo K, Saito M, Tadokoro T, Maekawa A. Changes in susceptibility of tissues to lipid peroxidation after ingestion of various levels of docosahexaenoic acid and vitamin E. Br J Nutr. 1997;78(4):655-669.
④ Kubo K, Saito M, Tadokoro T, Maekawa A. Dietary docosahexaenoic acid dose not promote lipid peroxidation in rat tissue to the extent expected from peroxidizability index of the lipids. Biosci Biotechnol Biochem. 1998;62(9):1698-1706.
⑤ Sekine S, Kubo K, Tadokoro T, Maekawa A, Saito M. Dietary docosahexaenoic acid-induced production of tissue lipid peroxides is not suppressed by higher intake of ascorbic acid in genetically scorbutic Osteogenic Disorder Shionogi/Shi-od/od rats. Br J Nutr. 2003;90(2):385-394.
⑥ Sekine S, Kubo K, Tadokoro T, Saito M. Dietary docosahexaenoic acid-induced generation of liver lipid peroxides is not suppressed further by elevated levels of glutathione in ODS rats. Nutrition. 2006;22(4):385-394
⑦ Kubo K, Saito M, Tadokoro T, Maekawa A. Preferential incorporation of docosahexaenoic acid into nonphosphorus lipids and phosphatidylethanolamine protects rats from dietary DHA-stimulated lipid peroxidation. J Nutr. 2000;130(7):1749-1759.
⑧ Saito M, Kubo K. Relationship between tissue lipid peroxidation and peroxidizability index after alpha-linolenic, eicosapentaenoic, or docosahexaenoic acid intake in rats. Br J Nutr. 2003;89(1):19-28.
上記の「生成抑制」のメカニズムとして,特に肝臓では,ホスファチジルエタノールアミン(PE)へのDHAの優先的な取り込みと組織PE量の増加が推察されます(④,⑦)。これを証明するために,生体膜モデルであるリポソームを用いてリン脂質二重層のPE分布をコントロールする方法を考案し(特許1),ラジカルがアタックする膜側にPEを多く分布させたところ,PE分子中のDHAが酸化されにくくなることを見出しました(⑨)。この抗酸化能は第一級アミノ基に起因すると考えられます(⑩)。活性酸素種のようなフリーラジカル反応のイニシエーターが細胞内部で発生するならば,細胞原形質膜の内層にPEが多く分布する事実とDHAのPEへの優先的な取り込みは,脂質過酸化反応から細胞膜を守るための抗酸化メカニズムである可能性があります。
④ Kubo K, Saito M, Tadokoro T, Maekawa A. Dietary docosahexaenoic acid dose not promote lipid peroxidation in rat tissue to the extent expected from peroxidizability index of the lipids. Biosci Biotechnol Biochem. 1998;62(9):1698-1706.
⑦ Kubo K, Saito M, Tadokoro T, Maekawa A. Preferential incorporation of docosahexaenoic acid into nonphosphorus lipids and phosphatidylethanolamine protects rats from dietary DHA-stimulated lipid peroxidation. J Nutr. 2000;130(7):1749-1759.
⑨ Kubo K, Sekine S, Saito M. Docosahexaenoic acid-containing phosphatidylethanolamine in the external layer of liposomes protects docosahexaenoic acid from 2,2'-azobis(2-aminopropane)dihydrochloride-mediated lipid peroxidation. Arch Biochem Biophys. 2003;410(1):141-148.
⑩ Kubo K, Sekine S, Saito M. Primary aminophospholipids in the external layer of liposomes protect their component polyunsaturated fatty acids from 2,2'-azobis(2-amidinopropane)- dihydrochloride-mediated lipid peroxidation. J Agric Food Chem. 2005;53(3):750-758.
【特許1】二重層リポソーム及びその製造方法(特願2002-210911、特開2004-51538)、【特許出願人】久保和弘、斎藤衛郎、独立行政法人国立健康・栄養研究所、【出願日】平成14年7月19日、【公開日】平成16年2月19日
一方,「蓄積抑制」のメカニズムとして,解毒・排出作用が示唆されました。すなわち,特に肝臓では,DHA摂取に伴いGSHが増加すると共に(③,⑦,⑧),GSH抱合体を含む様々な生体異物を輸送する多剤耐性関連蛋白質MRP3の発現が増加します(⑪)。MRP3は,細胞基底膜側に局在し,肝臓では(胆管ではなく)血流へ異物を排出することから,DHA摂取に伴い肝臓で生成した過酸化脂質及びその分解物はMRP3によって血流へ(最終的に尿中へ)排出されることが示唆された。実際に,GSH抱合体の排泄形態であるメルカプツール酸はDHA摂取に伴い尿中に増加することを明らかにしました(⑫,⑬)。この蓄積抑制メカニズムを応用して特許2を出願し,ヒトにおいても検証を行いました(⑭)。
③ Kubo K, Saito M, Tadokoro T, Maekawa A. Changes in susceptibility of tissues to lipid peroxidation after ingestion of various levels of docosahexaenoic acid and vitamin E. Br J Nutr. 1997;78(4):655-669.
⑦ Kubo K, Saito M, Tadokoro T, Maekawa A. Preferential incorporation of docosahexaenoic acid into nonphosphorus lipids and phosphatidylethanolamine protects rats from dietary DHA-stimulated lipid peroxidation. J Nutr. 2000;130(7):1749-1759.
⑧ Saito M, Kubo K. Relationship between tissue lipid peroxidation and peroxidizability index after alpha-linolenic, eicosapentaenoic, or docosahexaenoic acid intake in rats. Br J Nutr. 2003;89(1):19-28.
⑪ Kubo K, Sekine S, Saito M. Induction of multidrug resistance-associated protein MRP3 in the liver of rats fed with docosahexaenoic acid. Biosci Biotechnol Biochem. 2006;70(7):1672-1680.
⑫ Sekine S, Kubo K, Tadokoro T, Saito M. Docosahexaenoic acid-induced lipid peroxidation and urinary excretion of mercapturic acid in rats. J Clin Biochem Nutr 2006;39(1):40-45.
⑬ Sekine S, Kubo K, Tadokoro T, Saito M. Effect of Docosahexaenoic Acid Ingestion on Temporal Change in Urinary Excretion of Mercapturic Acid in ODS Rats. J Clin Biochem Nutr. 2007;41(3):184-190
⑭ 久保和弘,馬場貴司,熊井司,蓮池豊子,斎藤衛郎,DHAの水銀排出作用に関するケーススタディー. 奈良文化女子短期大学紀要 第39号 pp.49-55 (平成20年11月).
【特許2】MRP3発現促進剤およびその使用方法(特願2005-170481)、【特許出願人】久保和弘、斎藤衛郎、独立行政法人国立健康・栄養研究所、【出願日】平成17年6月10日
特別なココナッツ果実「Kopyor」
ココナッツ果実の成長過程で果肉が壊れ胚乳中に散在したものをKopyor(コピョ-)といいます。Kopyorは特別に美味であることが知られています。その理由について検討しました。その結果,果肉中の特徴的な糖組成に起因することを見出しました(➀)。また,ココナッツウォーター抽出物が,魚油摂取に伴う生体組織の過酸化脂質生成に対して,抗酸化作用を発現することを明らかにしました(➁, ③)。
➀ Santoso U, Kubo K, Ota T, Tadokoro T, Maekawa A. Nutrient composition of kopyor coconuts (Cocos nucifera L.). Food Chemistry. 1996;57(2):299-304.
➁ Santoso U, Kubo K, Ota T, Tadokoro T, Maekawa A. Antioxidative Effect of Coconut (Cocos nucifera L.) Water Extract on TBARS Value in Liver of Rats Fed Fish Oil Diet. Indonesian Food and Nutrition Progress. 1996;3(2):42-50.
③ Santoso U, Kubo K, Ota T, Tadokoro T, Maekawa A. Effect of Coconut Water Extract on the Growth and Serum Biochemical Values of Rats Fed Fish Oil Diet. Indonesian Food and Nutrition Progress. 1998;5(1):27-33.
未利用資源「キャノーラ脱脂ナタネ種子」
我が国の食用油脂の多くは,カナダ産ナタネであるキャノーラ種子から搾油したものです。搾油後にキャノーラ脱脂ナタネ種子(ナタネ粕)が大量に発生します。その食品への応用を目的として基礎的研究を実施しました。貯蔵タンパク質の電子顕微鏡による形態学的分類を行うとともに(➀),人工消化試験や動物試験等の結果から,当該タンパク質の栄養価が大豆のそれと同等であることを明らかにしました(➁)。
➀ Tadokoro T, Kubo K, Yamada K, Maekawa A, Ota T. Kawata T, Han YI, Okada H. Digestibility test of protein body fraction from rapeseed. 9th International Rapeseed Congress. RAPE SEED today and tomorrow. 1995;3:861-863.
➁ Tadokoro T, Kubo K, Yamada K, Ota T, Maekawa A, , Han YI. Fundamental Study on Nutritional Evaluation for Rapeseed Meal. J Korean Soc Food Sci Nutr. 1994;23(3):409-413.