水利環境学研究室別館 本文へジャンプ
研究方針


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 水利環境学研究室では,水生生物の域内保全*を行っています.特に水田地帯での調査,研究が主となっています.
 (*域内保全とは,実際の生物の生息域,つまりフィールドにおける保全のことです.一方,水族館や動物園で行われている保全(保護というべきでしょうか)を域外保全といいます)

 水田地帯には,水田のほか水路,ため池,河川などによって広大な水系ネットワークが張り巡らされています.そのような水田地帯を舞台に,水田生態系の保全をめざし,様々な生き物と戯れています.

 対象とする生物は,水田地帯が中心ですが,河川の水生生物も扱っています.魚類(カワバタモロコ,カダヤシ,オオクチバス,ブルーギル,ミナミメダカ,スナヤツメなど),両生類(ニホンアマガエル,ヌマガエル,ウシガエル,ダルマガエル,トノサマガエル,モリアオガエル),爬虫類(ニホンイシガメ),二枚貝類(イシガイ,トンガリササノハガイ,フネドブガイ,カワシンジュガイなど),その他(アメリカザリガニ,スクミリンゴガイ,ヘイケボタル,カワゲラ類,サンショウウオ類)など多岐にわたります.

 このような種々の生物の好適生息環境を明らかにし,保全に向けた取り組みを行っています.また,外来種による被害の評価,拡散防止にも取り組んでいます.

 水田生態系は二次的自然と呼ばれ,人間の手による管理が必要な自然です.水路の泥上げ,ため池干し,シロカキや中干しといった農作業は,生物の生息域の攪乱ではありますが,それがなくなると水田生態系は存続できなくなります.

 近年,コメ余りや農家の高齢化などにより,水田放棄地や転作田が増加し,水の張られている田んぼは6割程度しかありません.そのため,水田生態系の保全には,生き物と直接かかわる自然科学的な知見とともに,農業・農村の活性化,故郷の自然に対する価値観の醸成といった社会科学的なアプローチも重要となってきています.

 そのため,我々は生き物観察会.田んぼの学校といった環境学習に積極的に取り組んでいます.また,新たな商品開発や販路拡大を目指して住民参加のワークショップを開催しています.

 水田の生き物を相手にするということは,自然と人間の共存という大きなテーマに取り組むことなのです.