「地域学は学際的なものでなくてはならない」
「斐太紀」の事務責任者である桐谷氏は力説されています。 地域研究といえば、どちらかといえば郷土史や民俗などを取り上げるものが多い中、 この「斐太紀」は、桐谷氏の言われる通り、まさに多岐に亘り 様々な観点から飛騨の今昔を読み解いています。当センターに、ご寄贈頂いた一冊の目次を見た時, そこにある 論文のタイトルの多様さに目をみはりました。
桐谷氏ご本人からもお話をお伺いする機会に恵まれ、「斐太紀」にかける思いをお聞きした際に、口にされたのが冒頭の言葉です。
さらに、「そこには学術的な権威付も、しがらみもない様にしたい」…そうするためにスポンサーを募ることはしない、「飛騨学の会」の会員であれば誰でも投稿資格があるのだとも言われました。 そのため、一冊の本を出す度に出る資金不足をポケットマネーで補われるとのことです。
桐谷氏の飛騨への想いはたいへん強いものがあります。18歳で教員になられ40年間飛騨の地で教職に就かれて、定年後も"まちなかガイド"やこれも又飛騨についての雑誌「飛騨春秋」の編集にも携わられておられました。 今も、この「斐太紀」の編集や自らの執筆と 御年80歳とは思えないパワフルさに、お話を伺う、私たちは圧倒されるばかりでした。
ずっと高山に住んで見えるということで、色々な裏話をされながらも、飛騨の国に埋もれて行く各界で活躍された先人についての記録を残していきたいことや、真に地元が地元資本によって潤っていくように願っていることなどを話していただきました。
そんな桐谷氏を慕って、「斐太紀」には教え子の方々がボランティアで協力をされ、又「飛騨学の会」の会員も200名を超え、執筆者も正に多士済々の様を呈しており、ご自分が後何年この仕事(趣味?)を続けられるかはわからないが、この会員の中に数人でも意思を継いでくれる方がいれば、続いていくはずだと結ばれました。
岐阜県の一地域を、学問の分野を超えて ただ飛騨という観点に軸足を置いて研究する方々が造り上げる「斐太紀」…桐谷氏の魅力とともに今後がとても楽しみな本です。
当センターでは、「斐太紀」を初刊から所蔵し、又地域学の観点から、その目次の紹介等をしていきたいと思います。
- 平成二〇年度 通巻第1号
- 平成二一年度 通巻第2号
- 平成二二年度 秋季号 通巻第3号
- 平成二三年度 春季号 通巻第4号
- 平成二三年度 秋季号 通巻第5号
- 平成二四年度 春季号 通巻第6号
- 平成二四年度 秋季号 通巻第7号
- 平成二四年度 秋季号 通巻第7号
- 平成二五年度 春季号 通巻第8号
- 平成二五年度 秋季号 通巻第9号
- 平成二六年度 春季号 通巻第10号
- 平成二六年度 秋季号 通巻第11号
- 平成二七年度 春季号 通巻第12号
- 平成二七年度 秋季号 通巻第13号
- 平成二八年度 春季号 通巻第14号
- 平成二八年度 秋季号 通巻第15号
- 平成二九年度 春季号 通巻第16号
- 平成二九年度 秋季号 通巻第17号
- 平成三〇年度 春季号 通巻第18号
- 平成三〇年 特集「飛驒の食と農業」 通巻第19号
- 平成三〇年 秋季号 通巻第20号
「斐太紀」
- 「高山流水」明治37年の旅
- 「マグロの刺身」江戸時代武家の献立