センター概要

センター長ご挨拶

センター長挨拶 村岡裕由

皆さんは「地球環境の問題」と聞いて,何を思い浮かべるでしょうか。
地球の大気の二酸化炭素濃度の増加,地球温暖化,異常気象,砂漠化,プラスチックごみ,生物多様性の喪失, 森林火災。枚挙にいとまがないほど現代では多くの環境問題が地球上で起こっています。

それでは,私たち自身にとっての環境問題とは何でしょうか。SDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラルは, なぜ推進されなければならないのでしょうか。

私たちの日々の生活や健康に必要な新鮮な空気,安全な水や土壌,農林水産などは,自然からの恵みや生態系の環境調節機能などの 生態系サービスによって支えられています。地球温暖化時代を生きる私たちと次世代には,気候変動のリスクを抑制すると同時に, 未来の地球環境に適応することが求められています。

水や森林などの自然資源の効率的な利活用と生物多様性の保全の両立,流域治水など生態系を活かした防災・減災,そして温室効果 ガスの大規模な排出抑制と生態系による二酸化炭素の吸収などによるカーボンニュートラルの推進などの多様な,そして複雑に関係 しあった課題に対峙するには,人類の知恵,科学技術,私たちの選択と行動が鍵となります。

私たちの暮らしや経済活動は健全な自然環境に支えられて成り立っています。持続可能な社会を実現していくためには、 人と自然が共発展する関係を再構築しなければなりません。そのような思いをセンター名の「共生体」に込めました。
また、地域の環境課題は、人口の変化や経済、カーボンニュートラルなどの社会課題とも関係します。私たちは「流域圏」という 自然と社会が密接に関係しあうシステムを包括的に診断する手法の開発や、地域社会と環境の関わりを示すデータの発掘や分析、 環境変動影響の将来予測などの研究を通じて、ステークホルダーと協力して持続可能な地域社会を共創していきたいと考えています。

これらの課題に取り組むためには、さまざまな学術分野の英知を集結して文理融合型の包括的な研究を推進し、社会と連携して実践する必要があります。 さらに、東海国立大学機構における環境分野の取組を進めるために、名古屋大学フューチャー・アース研究センターとも連携します。

新しいセンターにおける研究・人材育成・社会連携・国際連携など広範な活動が,環境分野における実践的な知の共創拠点の構築に至るように尽力します。 専門性や立場の違いを超えた連携と協働をよろしくお願いいたします。


環境社会共生体研究センターについて(2024.4開設)

岐阜大学はこれまでに培った環境研究分野の成果を、環境課題と社会課題が複雑化・ 拡大する現代から近未来に対応する学術として発展させ、さらに社会と連携した 課題解決策の共創を推進するために、流域圏科学研究センター、高等研究院地域環境変動適応研究センター、 高等研究院脱炭素・環境エネルギー研究連携支援センターの融合・発展的改組を実施し、 2024年4月1日付で「高等研究院環境社会共生体研究センター」を設置しました。




自然と社会の共発展を支える新たな融合環境科学の創生

「環境社会共生体研究センター」では、地球温暖化の緩和・気候変動への適応、 生態系サービスの持続可能な利活用といった地域での地球規模環境課題の解決に必要な専門知・科学知を包括的にステークホルダーに提示し、解決策を共創します。 このために、(1) 流域環境診断手法の開発、(2) 環境・社会データマイニング技術開発、 (3) 気候変動影響評価・適応策創出機能の強化、(4) 日本版フューチャー・アース活動創出を推進し、 『自然と社会の共発展を支える新たな融合環境科学』の創生を目指します。