トップ|| 辞書の世界| 研究室| 『小公子』| 言語地図| 学史の旅| 論文集|気になる|| Links| 写真| Profile| Making| Guest Book||
気になることば 第39集   バックナンバー索引   同分類目次   最新    

*「気になることば」があるというより、「ことば」全体が気になるのです。
*ことばやことばをめぐることがらについて、思いつくままに記していきます。
*「ことばとがめ」に見えるものもあるかもしれませんが、その背後にある、 人間が言語にどうかかわっているか、に力点を置いているつもりです。

19971228
■「お旅駐車場」

 富山からの友人が、昨日の午後は6時まで空いているというので、滋賀県の長浜へ連れていった。 岐阜羽島インターまで30分、北陸道長浜インターまで30分。1時間半あれば十分に行ける距離。 お客さまをお連れするのにはちょうどよい。
 琵琶湖畔にいけば、新築のお城などもあるが、今日の目当ては、黒壁スクエアー(ガラス工芸館)や小樽オルゴール堂の長浜支店のあたり(長浜オルゴール堂になっていたが)。

 私の方も実は長浜に用事があった。 事務のある方が結婚するので、適当な贈り物を物色する必要があるのである。 何が欲しいかと聞いても、何でもいいという。 だったらタオル1年分ね、とは言ったものの、まさか本当に贈るわけにはいかない。 そこで、贈られた品々を聞き出すと、こちらが考えつきそうなものが全部でてきてしまった。
 こうなると情けないもので、うろたえてしまう。 で、長浜に遊びにいったついでに、友人の意見もいれて選んでしまえ、という悪だくみ。

 黒壁スクエアは早々に年末年始の休業である。けしからん。 と、怒ってもしかたがないので、オルゴール堂に足をのばし、置物にもなる陶器製の、くるくる回るやつを買ってきた。

 で、ことば回りですが、黒壁スクエア近辺の駐車場が「お旅駐車場」という名だったのが面白かったですね。 市営らしいですが、近くに買い物に来たという地域住民の方にはご遠慮ねがって、旅行者専用にしているようです。 「旅行者専用駐車場」とするには抵抗があったのでしょうが、う〜む。

 そこからスクエアの方に歩きだすと、和風レストラン「ぶら坊」なんてのもありましたね。 ぶらぶら歩くのブラと、bravo をかけているようで、英語の看板にもそうあったかと思います。
 「芳名帳」にIIMA Hiroaki (Yeemar) さんのメールを追加しました。

 ネットワークサーバ・メールサーバが下記の期間停止します。
  平成 9年12月27日(土)7:00 から平成 9年12月28日(日)18:00まで
 という連絡を受けましたが、動いてますね。その期間のある時期ということだったのでしょうか。
19971229
■今年の反省

 この時期になると、いやでも一年をふりかえることになる。 テレビでも新聞でも十大ニュースやら、なにやらかにやらと、あおる。 で、ちょっと備忘もかねて書いておこう。

 今年は論文が不作だった。紀要に一本だしたほかは、成せなかった。 実は、10月から12月にかけて、かなり書きかけたことはあった。
 といってもゼロから書くわけではない。 国語学系の研究者ならだれでもそうだと思うが、私ぐらいの年齢になると論文にするようなテーマはいくつか持っている。 なかには、なかば、あるいはそれ以上書いて置いている場合もある。 つまり、いくつかは半製品をもっていることが多い。 あとはレンジでチンすれば一丁上がり、というほどには簡単ではないが、ある程度の見通しもついていて、補充の調査などをすれば、なんとか仕上がる、という風にはなっている。

 が、今回は、どうにも落ちつかなかった。 秋はほとんど寝付きが悪かったという体調の問題もあるが、書いているうちにちょっと調べたいことが出てきて、それを済まさないと気持ちが悪い、というようなことが重なった。

 ま、要は、なまけぐせがついて、日頃の研鑽が手抜きになったのではないかと思っている。 来年は、こうはなりたくないものではある。
 今日はこれから帰省します。実家のマシンでppp接続がうまくいけば、明日も更新します(あと、話題があれば、ね)。 で、不測の事態にそなえてごあいさつをば。

 この一年、ご愛読のうえ、いろいろお教えいただき、ありがとうございました。 来年も話題さえあれば毎日更新したいと思いますので、ご支援のほど、よろしくお願いします。

 今年は、世情的には暗い話題が目につきました。が、来年は、せめて私たちのまわりだけでも嬉しく楽しく元気になるようなことがたくさんあるように、つとめたいと思います。 もちろん、明るい世情になるよう、祈っております。

 それでは、よいお年を。
19971230
■ひさびさの掘り出し物

 車中で読んできた文庫本を読了したので、新たな本を買い出しにいった。 実家から徒歩10分のところにある古本屋である。 文庫・マンガ・エロ本系が主体で、奥の方に辞書などが鎮座ましましているという、関東にはありがちな店である。わずかに黒っぽい本もないではないけれど、私としては、文庫本を買うためだけの店である。

 と奥の方をみると、なにやら江戸時代の版本らしきものが、ビニール紐でくくられている。 くくりの下の方は硬い表紙のちょっと立派そうに見えるものだが、その上に見るも無残な和本がある。 表紙はない。用紙のはしはめくれて、日焼けしたような色をしている。 大きさと厚さから往来物(模範手紙文例集)だろう見た。

 が、こういう場所で「らしきもの」を見つけてしまうと、なかを見たくなるのが人情。 はしの方をめくってみると、太い字に細字で振りがながある。私が収集している節用集に違いない。
 ここでひょっとしてひょっとすると、などと思うようでは年季が入っていない。 どれだけ、「ひょっとして」と思って期待を裏切られたことか。 にらんだとおり往来物の場合が多いし、節用集でもすでに所持しているものだったりする。 あるいは、これだけ痛んでいると、刊記がなかったりするのが普通。
 自然に平常心が保てるようでなければ、ドキドキの連続で、この世界も身が持たないのだ。

 店主にことわって、くくりをほどいてみる。 かろうじて刊記は残っていた。「元禄十六念正月吉旦」。1703年。 このあたりのものは私の収集では手薄な部分。 ひょっとしてひょっとするとひょっとするかもしれない、くらいに期待がめばえる。

 辞書部分の最初にある題名をさがす。 そう、「さがす」必要があるほどに、用紙がめくれていたり、袋綴じの輪が切れていたりするものであった。
 「頭書増補寳撰節用集」…… なんだこりゃ。はじめて見る名である。 確認は岐阜にかえってからだが、国会図書館・東北大・国語研究所・東京学芸大学・玉川大学などのコレクションでも見かけない名である。『国書総目録』にもないだろう。
 ということは、この題名の節用集をみたのは世界でただ一人、私だけかもしれない。それが手に入れられればうれしさかぎりなし。商談である。

 店主に「いくらですか」と聞いたら、「言い値で売りますよ」という。そいつはいいね。 店主も、こんなものを欲しがるヤツにはかなわないと見たのだろう。 少なくとも私の方が、節用集に関しては見慣れているようだ。

 500円という線が浮かんだが、へたに安い値段を言って機嫌をそこねられては大変。 それに「元禄十六年」にも気づかれてしまったので、3000円と奮発した。 こちらの腹もさして痛まないが、むこうもいやとは言えなさそうな線だと思って。
 商談が成立したのだから、店主の気が変わらないうちに店をでた方がよい。 それでなくても心がはずんでいる。あやうく、外の電柱で立ち小便をしている人に突き当たりそうになった。

 それにしても年末から縁起がいい。 いや、「別に買わなくてもいいんだけどね」といいたげな演技がよかったのかもしれない。 ともあれ、心軽く正月を迎えられそうである。

19971231
■「内側に折る」

 昨日、鏡餅を飾った。それにしても、最近のは簡単・便利にできている。 ビニールに包まれた二段重ねの鏡餅。のし紙(でいいんだろうか)や裏白までついている。
 ただし、この裏白はプラスチック製で、経費節減のためか、緑一色で裏は白くない。 こういうものを買ってくる親も親ではある。

 で、紅白がたがいちがいにくるように、のし紙を折るのだが、ていねいなことに「点線部を内側に折ってください」と、折り目ごとに印刷してある。 これがよく分からなかったのだが、どうやら「点線が内側になるように折ってください」の意味らしい。 ちょっとまごついたが、そのとおりに折ったらうまくできた。

 こういうとき、「谷折り」とだけあれば、迷わず折ることができる。 その対の語は「山折り」。「内側に……」とあるところをみると、これらのことばも使われなくなってきたということか。
 多分、私くらいの年齢だと「谷折り・山折り」はすぐにわかるように思う。 なんせ、『たのしい幼稚園』『小学〇年生』などなどの学習雑誌の組み立て付録で、幼いときから鍛えられているのだから。
19980101
■メールボックス危機

 明けまして、おめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 一昨日から苦戦して、やっとppp接続に成功しました。\(^o^)/  これで実家からもホームページの更新やメールのやりとりが自由にできます。 たくさんメールが来るといいなぁ、と思っていたら、元旦だけで50通もメールが来ました。

 メールのサブジェクトには、「入会希望」とあるのがズラズラ。そんな希望を募った覚えはない。 つまり、メーリングリストか何かの登録希望を、ホームページ上でメールフォームを使って募ったのが、全部こちらに回ってきているようなんです。 mailtoに私のアドレスを記入してしまったのでしょう。 というか、私の芳名帳のソースをコピーして使ったのはいいが、mailtoの修正をしなかったのでしょう。 もちろん、そのような過失ではなくて、嫌がらせでわざとそうしたということも考えられなくはない。

 いずれにしても、このまま放置したら大変なことになりそうです。 そこで、このページでも対処をとらせていただきます。 以下の条件にあてはまる人は、ご自分のソースをご確認の上、訂正してください。
1)ドルフィン・インターネット(http://www.din.or.jp)をプロバイダとしている方。
・ドルフィンのウェッブの張り方からみて、関東在住の方でしょう。

2)音楽系のホームページを持ち、メーリングリストなど何かの会員募集を行っている方。
・おそらくクラシック系でしょう。受信したメールには、プロのオーケストラ(あるいは関係者)やその筋の雑誌・新聞社に所属する旨の注記が目立ちます。
 このような状態が長期間続くようですと、岐阜大学関係者に多大の迷惑をおよぼすことになります。 該当する人は可及的速やかに訂正をお願いします。 また、当人ではない方でも、お気づきのことがありましたら、佐藤までメールください。
 検索エンジンでさまよっていたら、クライスという方(方々)のBBSで同種の記事を発見。

19980102
■賀状にそえられたことば

 原則として在学生には年賀状をださないことにしている。 賀状をいただいても、返事もしない。 そのかわり、卒業したら、賀状をくれた人宛には出すようにしている(これも原則)。

 年末に、とある学生を指導していて、彼女の入っているサークルの話をすることになった。 そこで、そのサークルにかつて所属していて、私の研究室から卒業した人のことが話題になった。 話題といっても「うちの研究室にもそのサークル所属者は多かった」というなかで、名前がでただけである。

 そんな話をしたことを、指導した(された?)学生から話題にされた卒業生に伝えたのだろう。 3年前だったかに卒業した学生からの賀状には、「覚えていてくださって本当に嬉しかったです」とあった。

 ただ単に名前を記憶していただけなのだが、それがどういう意味をもつのか、あらためて考えさせられたことである。
 昨日の危機は収束した。
 昨日分を読んでいただければ分かるのだが、私は、一日50件も入会希望者があるというサイトが、誤って私のメールアドレス宛に配信するようにしてあると思っていた。 これは大事(おおごと)である。 1時間でも10分でも1分でも早く、対策を講じなければメールサーバーがパンクしてしまう。 即対策を講じないと、こちらも何らかの責任を問われかねない。 と、心底狼狽して、昨日分のような条件を設定してgooで検索し、メール発信者のある方に電話までかけてしまった。
 が、昨日、誤配をした当人からお詫びのメールをいただいた。 単なる誤りで、何の意図もないこと、翌日以降には誤配がないこと、などが知れて安心した

 「芳名帳」に小矢野哲夫さんのメールを掲載しました。 年もあらたまったので、昨年中の芳名帳を別ファイルにし(御覧になれます)、新規にはじめました。
19980103
■節用集を食べる

 辞書を食べるという逸話。偉人伝などでよく読んだりします。 一番有名なのは誰のだったかしらね。 リンカーンだったか、野口英世だったか。 もういっしょくたになってしまっていて、思い出せません。

 gooなどで検索しても思うようにでてきません。 「辞書 食べる エピソード」では、それぞれ一般的な語ですから、一般的なページにしか行き当たらないようです。
 どなたか、ご存じでしたら、お知らせください。

 いまのところ、朝河貫一の逸話を見つけています。さらに、ダメモトで「辞書を食べ」で検索したら、矢吹晋(横浜市立大学教授)さんの朝河貫一の日本農業論というのが出て来ました。
 これによると、朝河貫一も辞書を食べたようですが、薄田泣菫の『茶話』に、西依成斎(一七〇二〜一七九七)という人が「節用集」を食べたという話が載っているそうです。

 まあ、虫が食うくらいだから、人間が食べても害はないのでしょう。 が、18世紀の辞書は和紙。さぞ、ごわごわしたことでしょう。 もちろん、現代のインディアペーパーにまさるとも劣らない極薄和紙もあったので、それほど困らなかったかもしれません。

 洋紙では、インクにじみを押さえるために化学的な処理が行われていると聞きますが、和紙ならそういうことはしてない(だろう)と思いますので、とりあえず無害。 それどころか、繊維もとれて健康的です(!?)。 「食物繊維」というのは、いわゆる「繊維(質)」とは違うようですよ、本当は。真似しないでくださいね。(だれがするか!)

 節用集としても、用便後にお尻を拭かれるよりは、辞書冥利につきるというべきかもしれません。
バックナンバー索引へ   分類目次   トップページへ   芳名帳へ


岡島昭浩さんの目についたことば   高本條治さんの耳より情報