最近の画像検査技術の進歩とあいまって、こころを脳の活動として可視化することがかなりの範囲でできるようになりました。
この分野はまさに日進月歩の状況ですが、精神障害と脳の特定部位の障害の関係性が明らかになったり、それに伴う新しい治療法の可能性が開けるなど、これからの精神科医療の大きな柱を構成する分野です。
検査自体が極めて低侵襲であることも大きな利点です。
精神障害に随伴する症状としての自律神経症状は診断の補助となる可能性を有しています。
生理学的知見も要求されるこの分野では疾患の診断補助としての新しい検査法の開発や、自律神経の反応を通じて疾患の神経学的考察など身体面からの接近していく分野です。
塩入教授の下、そうした診断や治療に用いることのできる臨床に役立つ指導がなされています。
塩入教授はDSM-IV-TRの日本語版翻訳協力者のひとりであり、医師間共通の診断基準としてDSM-IV-TRが活用されています。
また他軸評定を行うことで、若手医師がややもすると忘れてしまいがちな患者の総体評価をきちんと行う事が診断の過程で必須になったこともいい影響が出ています。
DSM-IV-TRの診断の下で、エビデンスに基づく治療についても活発に議論されています。
塩入教授が以前赴任していた新潟では平成16年10月23日に新潟県中越地震がありました。
その際に現地の住民の方々の精神的ケアを現地に赴いて行った経験を風化させることがないよう、教授自らが実体験を下に医局員に対して講義・指導をされています。
今後当地方でも想定されている東海地震に対して、当講座としても備えになればと思っています。
従来の精神科の診断分類では、外因性・内因性・心因性と大きく三分割をしていましたが、そのうち「何らかの身体因が存在するだろう」と言われていた内因性と呼ばれていた疾患の遺伝的な要因について明らかにし、ひいては新しい治療法の開発を目標に研究を計画しています。
精神科治療の身体面からのアプローチとして非常に強力な分野です。