MOTIVATION
星の一生
夜空に煌めく星にも生と死があり、数千万年から百億年という長い生涯をかけて循環しています。宇宙空間中の水素ガスが集まって星が作られると、星内部では炭素や酸素などの元素が合成されます。一生の最期には形成された元素を放出し、それが新しい星の「種」となるのです。私たちの体を構成する元素の大半も、この星の一生の過程で生み出されました。星の一生を解き明かすことは、私たち人類や生命のルーツを紐解くことにも繋がるのです。
宇宙科学研究室
私たちの研究室では、星の一生の未解明部分と言われている「星の誕生と終焉」に着目し、大質量星団の形成メカニズムや、晩期型星からのメーザー放射機構、超新星残骸における宇宙線加速のしくみを、電波望遠鏡やX線天文衛星などを駆使して、観測的に研究しています。また、岐阜大学構内に設置された 11-m 電波望遠鏡を用いた科学観測はもちろんのこと、新受信システムの開発や性能評価など、工学部ならではの開発研究も進めています。
RESEARCH
晩期型星とメーザー放射
太陽程度の質量を持つ星は、その一生の最期に膨張し、ガスから成る外層部や星内部で合成した重元素を宇宙空間へ放出します。この時、メーザーと呼ばれる極めて強い電波が観測されることがあり、星の終焉のしくみを探る手がかりとして盛んに研究が行われてきました。当該研究室では、特に水分子が放射するメーザーを、大学構内に設置された 11-m 電波望遠鏡で観測し、星の終焉の全容解明に向けて日夜研究を続けています。
超新星残骸と宇宙線加速
超新星残骸は、大質量星 (太陽質量の8倍以上) やある種の連星系が、超新星爆発を起こした後にできる星雲です。秒速1万kmの膨張衝撃波は、宇宙を満たす放射線 (宇宙線) の発生源として最有力視されているものの、発見から100年経った今も議論が続いています。私たちは、超新星残骸から放射されるX線やガンマ線と、電波輝線データを組み合わせる画期的な手法により、天文学100年来の謎の解明に挑んでいます。
大質量星団の誕生
大質量星を作るには、短時間に大量の水素ガスを集積する必要があります。このメカニズムは天文学の大きな謎でしたが、最近の研究で、ガス雲同士の衝突が重要であることがわかってきました。特に、銀河同士の衝突などによるガス雲の圧縮は、数十個の大質量星を含む星団を生み出す鍵とみられます。世界最高性能の電波干渉計「アルマ」などを駆使し、大質量星団誕生の謎に迫っています。
MEMBER
PUBLICATIONS
Publish or Perish
米国の大学研究室では、"Publish or Perish" という言葉がよく聞かれます。研究成果を論文としてまとめて世界に発表 (出版) することは、研究者の責務であり、発表しない学者は淘汰される、という意味合いです。一方で、この言葉に縛られた結果、論文 (数) のみが過大評価されているのもまた事実です。大事なのは、出版への偏重ではなく、常に「論文としての質の向上」を目指すことではないでしょうか。研究成果のインパクトや正確さは絶対条件の上で、常に読者を意識し、論旨や論理展開を明快にすることが、質の高い論文に仕上げるための第一歩だと、私は考えます。
ACCESS
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JR 岐阜駅・名鉄岐阜駅から
岐阜バスで40分程度(片道360円, 交通系 IC 使用可)
タクシーで20分程度(片道3000円ほど)
詳しくは、岐阜大学公式ホームページの交通案内をご覧ください
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大学構内 (バス停) から
1. 岐阜大学バス停から工学部棟まで移動し、階段・EVで7階へ
2. C棟 C726 (佐野の居室) までお越しください
工学部棟7階の見取り図はこちらをご覧ください