バイオミメティクスを活用した新材料・ソフトマテリアルによる革新的な環境負荷低減技術の開発
JKA・機械振興補助事業 JKA HP
【研究期間】
2023年度
【研究成果】
2050年のカーボンオフセットやSDGs達成に向けて、二酸化炭素排出量の削減とクリーンエネルギー創成技術の高度化が求められています。特に、化石燃料を使用しない発電技術の研究などが進められています。同時に、産業や社会、生活におけるエネルギー消費の削減、環境汚染の低減、振動騒音の低減に寄与する基盤技術の高度化も重要です。本研究では、特に振動騒音低減の面で環境負荷を効果的に低減する新技術の開発に取り組みました。
この新技術の一つが、バイオミメティクスやマルチマテリアルを活用した新たな振動低減用ポリマー材料の開発です。 てんとう虫の脚の表面形状を模倣したポリマー材料による振動低減効果の検証を行い、優れた成果を得ました。
名古屋工業大学の林先生によるフォトパターニング重合技術を活用して、植物や動物の表面形状や特性を模倣した硬層と軟層を持つポリマーシートを作製し、その振動騒音低減効果を調べました。加振機を用いた加振試験により、その振動低減効果を調べた結果、硬層と軟層を持つポリマーシートは顕著な振動低減効果を示しました。適切な軟層の数の下で硬層と軟層のバランスを設計することで、広範な周波数範囲にわたり、振動を低減できることが明らかとなりました。さらに、音響管を用いてこのポリマーシートの音の伝播・透過特性を調べた結果、このポリマーシートは特に耳障りとなる周波数帯域の音の伝播・透過特性が低いことが明らかとなりました。
【研究業績の公表・受賞】
硬部と軟部を接合部レスでもつ生物由来形状ポリマーによる機械振動の低減
井上 達哉, 福埜 光一, 寺島 修
日本機械学会北陸信越支部 2024 年合同講演会 2024年3月9日
硬軟層を有する薄膜樹脂材料を用いた軽量かつ高効率な振動低減技術の開発
井上達哉, 福埜光一, 福西遥佳, 寺島修, 林幹大
第32回 交通・物流部門大会(TRANSLOG2023) 2023年12月1日
硬部と軟部を接合部レスでもつ生物由来形状ポリマーによる振動伝達の低減
井上達哉
自動車技術会 2023年秋季大会 2023年10月11日
硬部と軟部を接合部レスでもつ 生物由来ポリマー材料による振動伝達低減
井上達哉, 福埜光一, 清瀧亮, 寺島修, 福西遥佳, 林幹大, 小松﨑俊彦
日本実験力学会 2023年度年次講演会 2023年8月31日
自動車の振動騒音低減用スマート/マルチマテリアルの開発
井上達哉
自動車技術会 2023年春季大会 2023年5月24日
奨励賞, 硬軟層を有する振動低減マット, テクノ愛2023 実行委員会
武田尚恭, 井上達哉, 福埜光一, 清瀧亮
この研究は、競輪の補助を受けて実施した事業です。ここに記して謝意を表します。