1. 適切な検査材料の採取、輸送および処理 正常細菌叢の細菌が混入しないように、皮膚粘膜を十分消毒した後、できる限り滅菌綿棒を使用せず、針とシリンジで採取するのが基本である。脳脊髄液、関節液、胸水、膿傷からの吸引物や、手術時に無菌的に採取した感染組織片など選び抜かれた材料を対象とする。 また、輸送には嫌気性菌輸送容器を使用し、採取後おそくとも2時間以内に検査室に届いていることを確認する。 検査室では、材料の培地への接種をできれば嫌気性環境下でおこなうようにしたい。大気中で行わなければならない場合には、検査材料や材料を塗抹した平板の大気暴露時間が30分以内となるように可能な限り迅速に行う。 < 資料 > 2. 嫌気培養法 嫌気培養には、酸素のない環境を作ることが必要である。 この環境は、ロールチューブ法、嫌気グローブボックス法または嫌気チェンバー法、嫌気ジャー法および嫌気バッグ法などにより作ることができる。 細菌の培養法の種類とガス環境(酸素分圧)
3. 嫌気性菌分離用培地 臨床材料中に存在する嫌気性菌を上手に分離するためには、血液、ヘミン、ビタミンKを添加し、一夜嫌気的に保存されていた(還元された)培地を用いることが推奨される。 また、嫌気性菌は好気性菌とともに病巣部に存在することが多い。臨床的に意義のある嫌気性菌を見逃さないようにするためには、好気性菌の発育を抑制し、嫌気性菌を有利に分離できる培地を使用したい。半流動培地に検査材料を摂取する増菌法だけに頼らない検査法をすべきである。 < 資料 > |