研究室に帰ってからすること

SEC-SAXS実験の最中に行う解析作業はあくまで「仮」なので 研究室に帰ってからデータを整理しなおす。 ビームラインで作成された膨大な量の sub-i2-*_通し番号5桁.dat の 溶出ピーク付近を中心に精査する。

準備

SAXSデータの解析にあたって学術用のフリーソフトが あるのでいろいろ試してみるとよいだろう。

ATSAS プログラムパッケージ

https://www.embl-hamburg.de/biosaxs/software.html

EMBL HamburgのSvergunらのグループが作成した 業界標準のソフト。以下のソフトはこれをインストールしておかないと 動作しない。

US-SOMO

http://www.somo.uthscsa.edu/

UltraScan Solution Modeler (US-SOMO) は Emre Brookes博士らが開発したソフトで、SAXSだけでなく様々な生体高分子の流体力学的性質のモデリングを 行う。特に、SEC-SAXSのHPLCモジュールは多機能である。 メールで問い合わせするとライセンスを発行してくれる。

RAW

https://sourceforge.net/projects/bioxtasraw/

BioXTAS RAW もSAXS解析のソフトで、このSEC-SAXSのHPLCモジュールも多機能である。

SEC-SAXSデータの整理の例

溶出ピークのファイルがどうなっているかをまずチェックする 我々はSEC-SAXSの各 run のデータ整理は以下のような図を作っている。

BSA_013 c:9.90mg/ml × 200μL injection 10℃

../_images/013.png ../_images/013-2.png
../_images/013-3.png ../_images/013-4.png
Frame
Guinier
_I0
Guinier
_Rg
Guinier
_qstart
Guinier
_qend
Dmax
Absolute
_MW(Da)
subunit OD
536 39.13 27.84 0.0073 0.045 85 56800 0.85 2.01
430 103.74 41.23 0.0063 0.031 136 151000 2.27 0.24

左上の図

SAXS溶出プロファイルとRgをプロットしたもの。 Rgがフラットな領域が単分散と考える。 溶出プロファイルの値が低く、非常に希薄な領域はRg算出が暴れてしまう。 analysisの下の autorg.txt をプロットしているが、厳密には 一本一本人間の目で見てチェックして積算するのが良い。

右上の図

sub-i2-*_通し番号5桁.dat は濃度で割っていないので濃度換算したものを プロットしている。

左下の図

Kratky plot 表記は散乱曲線の中広角の違いを強調する。 プロットの読み方は BIOISIS のtutorialの日本語訳を参照してください。

https://www1.gifu-u.ac.jp/~fujilab/bio_html/index.html

右下の図

P(r)関数の図。算出の仕方などは上記リンクを参照のこと。

上の図では plotに関して残していないが、P(r)関数を算出する際、必ずチェックをするので 残しておく。 I(0)をギニエプロットで求めると分子量が計算できる。 算出方法は https://www1.gifu-u.ac.jp/~fujilab/abs_html/index.html を参照のこと。 また、最後の列にはOD値を載せている。経験的に 0.15 より下回るとODの値の誤差が 大きくなるので分子量は信用できなくなる。