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火炎温度測定の研究をめざすの若手研究者のためのページ
For
Beginners Studying Flame Temperature Measurement Methods
新しい温度測定法を開発すると、その精度などを検証しておく必要があるのは言うまでもない。この道の研究者は多いが、本当に信頼できる方法で調べている論文は多くないように見受ける(私の独断ですが)。私がこの道に入った四半世紀前は、温度測定技術が熱電対すら未完成であり、コーティング技術、ふく射補正法などが確立しておらず、NOx
の発生メカニズムなどを調べるためにどうしても温度を知らないと、Zeldovich
機構すら使えないとあって、皆がその方法からまず確立しなければ話にならないと言うわけで、多くの研究者が真剣に取り組んだものである。ところが最近、レーザーなどの先端技術が燃焼の場に適用され、温度や濃度測定はレーザを利用するのが当たり前と思われる時代になり、熱電対による測定は疑うべくもない確立された方法なのだ、という暗黙の了解ができあがっているように見受けられる。したがって、今さら熱電対のコーティングをどうしたとか、ふく射補正をどうしたという話はタブーとさえ考えられている節がある(いや、熱電対をコーティングし、ふく射補正を施せばそれが至上の検証法となる、という考えがあるとするなら、それ自体が正しいわけではない)。
私(若井)も、ずっと以前に真剣に取り組んでいた頃はそういう質問をしたものであるが、その時期からしばらくするとなんとなく皆がそういう質問をしなくなって沈黙して来たように思う。しかし、きっと悶々としてきたのも事実と思う。きちんとコーティングしているとは思われない、ふく射補正もどうやっているのかわからない、という発表でありながら、それを質問するのは「いじめ」に等しいのではないかと思う一方、こんなことを続けていたら、本当の計測ではなくなってしまうと。大げさな表現であろうか? でも、レーザで測定したら、熱電対とこれだけ合っているから私の方法は正確だとか、国際会議においても、ある温度測定法について疑問があって質問したところ、熱電対と合っているから大丈夫だという傍証として使われながら、熱電対自体の測定温度が本当に正しいかどうか怪しいことは二の次になるという事態が頻発するようになっているように思う。だんだん、昔の泥臭い技術が忘れられ、新測定法は高価にまた複雑になりながら、その精度の検証は安易に安易にと簡略化されて、結局はきちんとその技術を受け継いでいるグループ以外はまともな測定ができなくなってきてしまったのではないかと思う。2001
年の日本燃焼シンポでも、やはり温度測定法の最新技術としての論文発表が有り、相変わらず熱電対とどれだけ合っているかという締めくくりになっていた。その発表はこれからの時代を担う若者が担当していた。それらの若者は、熱電対の測定精度を疑ったことがあるのだろうか? ついに、ずっと沈黙して来たタブーを破って質問した。が、あまりどぎついのも本人が困るだろうからと「熱電対の信頼性はどの程度あると考えていますか」と柔らかく聞いて、実は信頼性はきちんとやらないと乏しいのだということを認識してもらえればそれで良いということにとどめた。
質問しただけでは無責任であることも承知している。実は、質問した背景にはこのページを公開するのが間近で、もしより正しい熱電対による測定方法を知りたければこれを見ていただければ良いと思ってもいた次第である。もちろん、私とて最上、至上の方法を確立しているわけではない、もっと優れた方法を確立しておられる方も当然少なからず居られると信ずる。が、その方法が恐らく外には見えて来ないので、私の方法を紹介しようというのがこのページ公開の動機である。若井研は長年、温度測定法の開発を行ってきており、ここでは若井として最も信頼性が高いものと信じている、おすすめしたい方法を、以下の項目順にページを構成しようとしているが、まだ足りないところが有る。とりあえず、重要なことは紹介できる段階になった。いずれも
四半世紀前に考え、実施したことである。データは古く写真も人に見せるつもりで撮ったものではないものが多々含まれる。見づらいものがあるのも事実であるが、お許しいただきたい(撮り直すとなれば、大変な労力と時間が必要になってしまう)。
すでにお気づきのように、文脈には聞き苦しい、読み苦しい毒が沢山盛られている。若井の性格のなすことですが、お許しを。
- どんなバーナを使うのが良いか?
- バーナーの構造は?
- 配管は?
- バルブは?
- 圧力調整弁(レギュレーター)は?
- 流量計は?
- 混合容器は?
- バーナー本体は?
- フレームホルダーは?
- 結局?
- 検定を行うのに最も優れた温度校正法は?
最も信頼性の高いのは Null Method の Na D-line Reversal
法 !!
- 校正用標準電球
- Na混入器
- 中央へ混入する方法
- 光学系
- 精度
- まとめ
- 次善の策として簡便な熱電対
- 熱電対の溶接
- コーティングの実際
- 触媒作用の確認
- 熱電対の劣化
- 軸方向熱伝導の影響
- ふく射損失補正法
- まとめ
執筆・編集責任者:若井和憲
ページ管理担当者:高橋周平