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次善の策としての熱電対

Thermocouple as the Second Best.



次善の策としての簡便な熱電対

 次善の策としたのは、一般に良く知られており、価格的にも負担が軽いわりにそこそこの精度でデータを提供してくれ、しかも使いやすいという意味であり、精度が Na D-line Reversal 法の次という意味ではない。さらに、私の知っているとくに日本での温度測定法の検証に使われるのはほとんど熱電対であることから、次善の策なのである。敢えて次善の策と言い、しかし実は結構その精度を維持するための認識が恐らく一般に甘く、とても本来の熱電対の精度を出していないと思われる発表が多いと思い(実際はそうではないのかもしれないが)、熱電対の指示温度の持つ意味をじっくり考えていただきたいから取り上げている。たとえば、「熱電対との差は 1℃以内で非常に精度が高い測定方法であることを示した」という結論の論文が、1980年代レーザ法黎明期には見られた。言うまでもなく、熱電対は接触法であるがために、非接触法であるレーザー法に及ばない欠点を沢山持つ。検定はその欠点が無いと信ずる場で行うので、比較対照として熱電対が選ばれやすい。これは欧米諸国でも同じであろう。Na D-line Reversal 法で検証したという例を見たことが無い(それほど多くの論文を調べたわけではないが)。その欠点と一般に取られている対策を表にしてみよう。

熱電対(接触法)の欠点と克服法

欠 点 克服法
1. 接触法だから、センサーである熱電対の耐熱性、耐腐食性で限界がある その限界内で使うなり、場合によっては W や Mo ベースの耐熱性金属を素線に選ぶ。さらには、なるべく太い素線を選び、以下で述べるふく射損失を敢えて大きくすることで火炎温度よりセンサー温度を低くし、そのふく射損失は適当な見積もりをすることで溶解点より高いガス温度を測定する
2. 上記に関連するが、経年変化が甚だしい こまめに、センサーを変える
3. 接触法だから、そのセンサーが流れ場に入る必要があり、そのため流れ場を乱す、これは火炎面を乱すことにもなる 極力細い熱電対を用いることで妨害を最小限にとどめる
4. 白金はとくにそうであるが、耐腐食性の逆に、燃焼という化学反応に対する強い触媒作用があり、燃焼場を乱す SiO2コーティングを施し、触媒作用を防ぐ
5. センサーは主に対流でガスから受熱し、素線の軸方向へ熱伝導で熱を失うため、実際の火炎温度より低い値を示す 感温部からセンサーの太さや流れ場で決まる一定長さの一様温度場を経て、支持部に接合する
6. 同じくセンサーは主に対流でガスから受熱し、ふく射で周囲へ授熱する。上記熱伝導損失より多くの場合こちらの方が深刻。したがって、ふく射損失補正をしなくてはならない 一般的なふく射補正の式(方法)は世の中に存在しないと考えた方が良く、場に応じて個人が作る。あるいは、ふく射熱損失は素線径の影響を受けるので、太さのわかっている数種類の(なるべく細い径を含んで)太さのセンサーで測定し、太さ 0へ外挿することもしばしば行われている
7. 高速現象になると、応答性が問題になる 極力細いセンサーを選び、それでも応答性に問題があれば補正式を作るか、使わない


 以上思いつくままに記述したが、以下では素線材料を一般に用いられる白金系 (PR あるいは PR13) に限りとくに重要な、2.劣化の問題、4. 適切なコーティング法、5. 熱伝導損失への対処、6. ふく射熱損失への対処 について、順に述べる。
 その前に、どうやって熱電対を作るのかを示そう。

熱電対の溶接
 私の方法であって、他に良い方法が種々あっても良い。私は、Fristrom&Westenberg の推奨したマイクロバーナーにメタンあるいはプロパンと酸素を供給して熱電対の他、先端がμオーダーの石英製サンプリングプローブなどを加工する(実は、今はしないしできない、できたのは昔のこと)。普通の溶接に使う道具と構造的には同じで、要は、酸素と燃料はバーナー出口の直前で混合すること。適当な空間を設けると逆火したとき、大きな音をたてるばかりでなく、何らかの損傷を招く可能性もある。私の場合、ノズル系は0.8mm程度でその上流 0.5mm 程度に外径 2mm程度のステンレスパイプで酸素または燃料を導き、燃料または酸素と混合する。この混合の良し悪しは気にしていない。混合を良くするための対策は何もしていない。それで問題になったことは無い。ときどきそれでも、学生が逆火させて、プチッという程度の音を発生させている。これは点火時か消火時に起こるが、酸素燃料ということでひどく緊張しているせいか、その程度の音でもびっくりする学生が居る。危険は無いものの、びっくりさせる必要もない。もちろん、燃料と酸素別のレギュレーターと流量調整バルブを備える。最初、燃料を流して点火し、あとから酸素を供給して適切な火炎を作る。白金と白金・ロジウムの溶接だから、神経を使わないで良いと思うかもしれないが、極力酸化雰囲気中で行うのが良い。これは、ちょっと慣れた人なら火炎を見ればわかる。写真は、25μ熱電対を溶接している風景であるが、三脚も使わず、ロング焦点のレンズでマクロ撮影を試みたため、ぼけている。いずれ、きちんとした写真を掲載したい。ただし、いくら光学系をしっかりしても、銀塩写真や CCD の特徴でコントラストがきつい細かいものを撮影するとき、にじみが出やすいのであまり改善できないかもしれない。



 この方法で、以下で述べるふく射補正の式を使うことのできる温接点の大きさは、素線径の 30%増しまで。手作業でやることなので、これは相当熟練を要する。が、流体力学的な作用を利用しながら慣れてくれば、結構歩留まりは良くなる。もし、これを熟練をあまりせずきちんとやりたい、ということなら、武蔵工大の榎本先生に相談されると良いかも。榎本先生のところでは、接点が無いと見まごうばかりのフラットさで電気溶接する技術を確立しておられる。ジグを使われるが、やはりそのジグ自体がまた非常に熟練した人でなければ作れそうにないとのこと。榎本先生にお願いできるのは、どういうジグを用意するか、実際製作にあたっての注意点程度。そのジグをいただこう、などの考えは恐らくもっての他。大変貴重な品物なのです。
 さて、ともかくこれで熱電対はできた。あとは、普通のように零接点や計器と配線するのみ。

熱電対の劣化
 白金、ロジウムなどの貴金属系でも結構早く劣化する。図は、それを示す。


なるべく次の項で示す方法により低温状態でコーティングして、2000K程度の火炎中にさらした。ともかくこのネタ(写真原版)は私が若手だったころのものしか無いので、見栄えが悪いのは許されたい。詳細な実験条件も曖昧。いずれの金属も、時間とともに鱗様の模様ができあがる。とくに白金ロジウム合金が顕著。これでは、コーティング中に劣化してしまうことになる。しかもある劣化以上進まないという限界が無く、経験された方はわかると思うが、P+R側が髪の毛が縮れたような様相を呈して、いずれ破断してしまう。
 コーティングしても、この劣化は変わらない。結局、これは結晶粒の粗大化に起因すると思われる。だから、純粋金属の白金サイドより、合金の P+R サイドが顕著に見える。問題は、こういう状態になったらふく射率が変わってしまう、熱起電力が変わってしまう、という懸念である。幸いあとから示すが、私の場合コーティング終了からしばらくは、安定した熱起電力を発生し、ふく射率も変化したという疑いのあるデータは取っていない。この程度の表面の変化ではそれらに影響しないということかもしれない。 熱起電力については、異種金属の法則が働いているのかもしれない。もしそうなら、劣化したと思われる素線は必ず測定したい火炎の一様部分に入れていないとまずいことになる。


コーティングの実際
 SiO2 を火炎内で CVDによりコーティングする。Kent は、Si を使うと白金と容易に合金を作り、特性を変えることを懸念して Be/Y酸化物被覆を提唱している。が、私の経験では、このコーティングは大変難しい。またKent の主張の「ふく射率が大きいのでふく射ロスによる火炎温度からの温度降下が著しいため、逆に融点より相当高い火炎温度の測定が可能」としている。このことは逆にふく射ロスを適切に見積もらないと、誤差は大きいと言うことを意味する。以下に示すように、Si が Pt と合金を作るからということで精度が落ちた経験をしたことが無い。その心配は恐らく無いのだろうと思う。
 さてSiO2コーティング法も実は、 Fristrom & Westinberg のテキストに書いてある。このテキストではブンゼン火炎に Siのもとをシードする。私は今まで述べてきたフラットフレーム中にシードする。ただし、せいぜい 3cm の直径があれば大丈夫。


 フラットフレームでなければいけない理由は後述。当量比は 0.8 程度が良い。流速はシリコン含有炭化水素の燃焼を完結させたいためと、もし当量比が 1.0を超えると、熱電対を火炎中に入れる時、燃料過濃のため不完全燃焼しているから、火炎外周部は周囲の空気をエントレインして中央より高温(下手すれば断熱火炎温度)になる。そこで熱電対が切れることになることを避けるためである。フレームホルダーの例を図示したが、ポーラス状の穴の中央に大きめの穴があるが、これがシリコン系オイルを供給する石英管が貫通する穴である。石英管は1mm程度出す。すると、火炎面より高くなり、シリコンオイルが蒸発燃焼する。シリコンオイルは、U字管の原理でヘッドを調整する。
 流速は 熱電対素線径にもよるが、細い場合は 10cm/s 程度から太い場合は 25cm/s 程度。要は実際熱電対を入れてみて、指示温度が 1700℃程度をうわまわらない温度(流速)にすること。これを超えると、白金の融点に近づいて、温度分布が有れば、そのまま切れることになる。これまた余談であるが、希薄火炎は触媒作用が無いと誰かが書いたら、みな右にならえという時代も有った。いまそれを信ずる年輩研究者は居ないと思うが、もし信じる方があれば、それは大きな間違いだと了解されたい、程度問題とは言えますが。さらに、拡散火炎 (非予混合火炎)も燃焼が緩慢だから、触媒作用が無いという人も居た。これも大きな間違い。火炎温度を熱電対で測定する限り、その熱電対は白金系である限り、必ずコーティングが必要である。
 昔、Fristrom&Westenberg の著書どおり(ブンゼン火炎は基本的には過濃混合気)やって、コーティングの完成度は白く変色することだ、という話をよく聞いた。最近、もっと恐ろしいことではないかと思うのだが、熱電対温接点付近をシリコンオイルやそれと同族のもの (炭化水素中の C がところどころ同族の Si に置き換わったもの)の液体の中に浸して持ち上げ、それをライターで加熱し、白くなったら完成という言い分を聞いた。この方法を使っていると言った研究者が一人ならいざしらず、複数に聞いた。この白いものは、触ればすぐに落ちる(指につく)。いわゆる中間生成物であり、SiO2ではない。この状態で熱電対の耐熱温度に近いところで放置すると長い時間経過の後、確かに透明になる。でも、これは太さも一定せず、使いづらい。いや使えない。形もまちまちになる。以下に示す方法と比べより高温下により長時間おくことで熱電対の劣化が激しい。
 ともかく、四半世紀という長きに渡って、白くなると完成という話以外には聞かない(誰にでも聞いたというわけではないので、たまたまかもしれない)。聞くこと自体が最初に述べたように、暗黙のタブーになっていたように思う。上述の怪しげなコーティング技術は、複数が実施しているらしい、ということだから、大勢では無いのではないかと思われるかもしれない。私の聞いた人がたまたま怪しげな方法を使っていたということではないかと。上述のタブー状態だから、よほど親しい人にしか聞いていない。その聞いた人の 100%がその方法を使っており、しかも「皆その方法だから安心だ」という言い分であったのだから少数とは考えにくい。「皆がその方法を使っているのだから、むしろ違う方法にするのははばかられる」とさえ言う人が居たのも事実。今、読んでいるあなたた自身が、こんなことはやっていない、ということならこのページは読む必要が無いでしょう。
 それならどうするのが良いと言うのか? 分子状の SiO2 が燃焼ガス中に高濃度で存在し、しかも中間生成物が存在しないところでなくてはならない。それは以下の写真


の、石英管から供給されて出口で火炎に加熱されたシリコン含有炭化水素が蒸発し、既燃ガス流に乗って輝炎がレイノルズの実験のようにきれいにストリーク状で輝きながら中央を突き抜けている、その輝いている炎を避け、しかし極力近くで長時間放置するのである(上述のように、Fristrom&Westenberg の著書どおりやるということは、この輝いている部分に入れるのだと思っている研究者が居た。当然その結果表面は白色化し、その層が正しいコーティングを妨げる)。長時間と言っても、条件にもよるが 1時間ということは無い。200μを除いて 15分以内で可能。
 それでは、コーティングの完成度はどうやって調べるのか。私はいくつかの段階に分けて調べる。まず、皆さんに知っておいていただきたいことは、火炎は火炎面で最高温度を経験するわけではないこと。これは燃焼の教科書にはどれにでも書いてあるだから、言うまでも無かった・・。実際最高温度を経験するのは大気圧バーナーメタン予混合平面火炎の場合、数_下流。これはラジカル類のオーバーシュートを 1bar 程度で再結合させるには分子密度が低いから、火炎面からしばらく流されてから再結合をほぼ完了するからと解釈されている。さらに、火炎面とは何かを定義しないと、はっきりしたことは言えない。燃焼の教科書の復習で申し訳ないが、1000℃あたりで燃料の分解反応から発熱反応に移行するため、着火温度を 1000℃付近にとると、既燃ガスからの予熱で温度上昇してきており、その状態は理論的に流れ方向尺度の指数関数的温度上昇する傾向から、発熱が盛んになって上に凸の傾向に移るところが 1000℃あたりだから、間違いないという考えである。私が火炎面と言っているのは、 C2 (Swan Band) や CH バンドの発光が盛んに起こっている分解反応支配域を原点にして表現している。こういう表現でも、おおよそ、その発光帯内あるいは近くで変曲点が有るから、数_上流というような表現に間違いは無い。ひどいときは 5mm も下流で最高温度を経験するのである。低圧になればなおさら下流で最高温度になる。この流れ方向温度分布(時間軸と思えば流れ方向履歴となる)をよく理解したうえでコーティングに臨む。しばらくコーティングして、どの程度効果があるかを調べるため、その熱電対を火炎面に近づける。すると、上述のように、火炎面より数_下流で最高温度を経験し、火炎内ではそこから数百℃温度が下がり、フレームホルダーにさらに近づければさらに急激な温度降下することになる。こうなれば、相当良好な状態に達している。普通、それほど簡単にこういう状態を経験しない。不完全コーティングでは、火炎面に近づけば近づくほど高温になる。そして青炎内で最高温度に達する。実際、触媒作用が残っているとここまで試すことはできない。指示温度は白金の融点を容易に超ようとするから、それ以上近づけられない。それらのことを示したのが、下の図である。


 図中τは、上述のような第一段階のチェックで一応完了したらしい、という段階を 1 とする無次元時間。二つの太さの熱電対についてのデータであり、それぞれコーティングの火炎の条件は異なる。縦軸は絶対温度表記であり、コーティング途中の熱電対を火炎面に近づけてて行く途中で記録する最高温度をこにプロットしている。白抜きはそれぞれの火炎を流れ方向に Na D-line Reversal 法で測定した際の最高温度である。2000K になる前から溶断の危険があり、τが短いときは触媒作用が顕著と想像されるが、Na D-line Reversal 温度、すなわち恐らく真の温度を超える指示温度を記録しようとしている。
 以上のような確認をコーティング中に簡単に行うために、冒頭で平面火炎バーナーを用いる必要性を語ったのである。
 以前、学会で火炎面近くの温度分布を示す論文が多く見られたが、多くが火炎面近傍で最高値を示していた。コーティングしたする論文であったが、まさに触媒作用が残っている証拠である。この図をごらんになれば明らかである。もちろんご本家の、Westenberg & Fristrom に掲載されている火炎面近くの温度分布は火炎面下流で最高温度を示している。なぜ日本の少なくない研究で、そういうことが当時から恐らく今までできていないのか、不思議である(多くの研究者はきちんとやっておられると信じたい、私のここに示す方法よりずっと良い方法で。しかし、きちんとできていない人にそれを伝える必要があるというのがこのページのスタンス。おっと、また毒々してしまったですね)。
 これらの結果から、結局私はコーティングがほぼ完了したと思う時間より3〜5倍さらにコーティングを続けることにしていた。こうしても、コーティング厚さは下の図でわかるように、せいぜい 1μ程度(この写真は、コーティングした表面に銅を真空蒸着し、さらに銅の電気メッキを施したものを、アクリル棒に孔を開けてエポキシ樹脂を入れた中へ固まらないうちに挿入、それを研磨して電子顕微鏡で撮影した)。あまり厚くするとおそらく火炎への出し入れ時の熱応力で剥がれやすいのではないかと判断する。この程度コーティングすれば、結構長く使うことができた。



 このコーティングを他の方法でもっと簡単にできないであろうか? この方法は一種の CVD(Chemical Vapor Deposition) なのだから、本当の CVD を行えば良さそうである。これを私も試してみた。石英管(内径30mm程度長さも50cm程度と大きくはない)を 200℃程度に加熱できるようにする。そして、先端に球状のフィルターのついたガラス管と枝付き試験管を用い、枝付き試験管にはシリコンオイルを入れ、球状フィルター付きガラス管から空気をそのシリコンオイル中にぶくぶくと出す。この場の温度をどの程度にするのか忘れてしまった。シリコンオイルだから蒸気圧はそれほど高くないからあまりシリコンが上記になって出てゆくとは考えられないが、ともかくそんな装置を作った。そしてそのシリコン蒸気を含有した空気を上述の加熱石英管に導く。その石英管中央にはコーティングしたい熱電対を置いておく。そのガスを流す時間でコーティング厚さが変わる。そのようにしてコーティングしたものの断面が、下の写真。時間とともに厚さがコントロールできるのが明瞭にわかる。しかし、残念ながら、この方法でコーティングしたものはことごとく、火炎に入れると剥げ落ちことになった。結局、上述のバーナー法でコーティングしてきたのである。



触媒作用の確認法
 一般には、ブンゼン火炎の未燃部(火炎がコーン状になっている未燃側)にそのコーティングした熱電対を入れて、もし外周部の火炎にさらされている部分から赤熱が徐々に未燃部まで来たら、それがコーティングできていない証拠だ。だから、そこが赤熱しなければコーティング完了だ、と大御所 Fristrom&Westenberg もテキストに書いている。前述の Kent も、Be/Y酸化物のコーティングの完璧さの是非はブンゼン火炎法だと書いていた。しかし、このフィルタリングをくぐり抜けた熱電対であっても、火炎面で最高温度を記録したものは少なくない。程度問題に過ぎないのである。
 前述のτ=5 程度までコーティングすれば、十分触媒作用は抑えられる。それでも、私の恩師・志水先生は納得されなかった。もしかすると、SiO2表面に気泡が発生していて、結構コーティングできていないところが有るのではないか、と。志水先生自身がそれを疑われたわけではなく、そう質問をぶつけられたらどう説明するかと、自信の有無を問われた。いちいち電子顕微鏡で表面観察をするわけにも行かない。サポートとの関係で全方向から観察することができないから。それで考え出したのが、水の電気分解法。もし、コーティングした熱電対を一方の電極として他方を水(薄い食塩水などが良い)に入れたとき、泡が発生したら、表面が露出していることになる。上述の Be/Y コーティングも、何度やってもこの試験をクリアーしなかった。今 Be/Y コーティングをする人が居るかどうかわからない(最近、実は海外の論文で読んだことがある)が、真っ黒になるのでふく射率も恐らく高く、ふく射熱損失による測定誤差がシリカコーティングより相当大きくなりそうである。それを利用して高温ガスを測定するという方法もあるにはあるが。が、Be/Y は私は勧めたくない。
 さすがの恩師・志水先生も、この電気分解法でのチェックは了解された。
 今、こんなことをくどく述べているが、1970年から80年代にかけては、こういうことを皆が気にして励んでいた。皆が何が良いか手探りの状態であったから、変なことを言うとすぐに否定される雰囲気でもあった。そういう厳しい目の中をどう乗り切るかを考えるよう志水先生は指導されたわけである(今はこう表現しているが、正直言って当時はそこまで素直には考えられなかったことも事実)。

軸方向熱伝導の影響
 こうしてやっとの思いで触媒作用に対処できるようになったとしても、熱電対支持部があるからには、支持部の直径が大きいので損失が多く、温度が低いため軸方向に熱が逃げることになる。たとえ温度分布のないバーナーを用いたとしてもである。以下の図を見ていただきたい。


 この図は、一様温度分布(Tg=1800K),一様流速場に入れられた細線の端部が 300K(0と図には示されている)になっていたとするとき、温度分布はどうなるかを計算で求めたものである。Re はレイノルズ数であり、熱電対素線径と流速が主にその大きさを支配する。普通の火炎で 25μ程度なら、Re=1 近辺にある。当然、 Re が小さいと言うことは熱伝達量が少ないことになり (Nu = Re0.3〜0.5というようなデータもある)、軸方向への熱損失の影響が顕著になるから、300K の端から一定温度に達するまでの必要長さ(いわゆる温度境界層)が長くなる。Re=0.3 程度でその長さは l/d で 100倍程度になっている。すなわち、センサー部分と同じ直径の素線長さを 素線径の 100倍程度、たとえば 25μの熱電対なら、2.5mm 以上の長さが一様部として必要で、それは火炎も温度分布が一様でなくてはならず、またその長さにわたって触媒防止コーティングを施し、支持部に接合する必要があることがわかる。その限界 l/d について示したのが以下の図である。


それぞれ、25μ、100μの素線径に対する必要一様部長さである。

ふく射損失補正法
 ここで一番やっかいな問題に対処しよう。まず、ふく射により熱電対の指示温度は真の火炎温度からどれほど隔たるのか、見て欲しい。


もっとも細くてふく射損失が小さい熱電対でも 150℃ほど補正しなくてはならないことがわかる。この図から、種々の太さで測定して太さをゼロに外挿しても、それほど精度良くはなさそうなこともわかるであろう。
 さて、熱電対が定常状態にあるとして、対流により高温ガスから対流で熱を受け取る。その大きさは、 2π・d・h・(Tg−Tt)、これに対し、ふく射で逃げる熱は、ε・σ・(Tt4−Ta4) である。実用的な炉ではなく、実験室レベルの装置では、周囲温度は大気温度程度であり、温度の4乗で聞いてくるふく射損失に周囲からの熱の供給は省略しても問題ない。これは、Kaskan が示した式と同じである。すると、以下の式を得る。

 この式で不明なのが、ふく射率、熱伝達率としての Nu 数の Re との関係など。これらがわかれば、ふく射補正式が確定する。また、気流のλなどの物性値も何らかの関数化がなされれば、使い勝手が格段に良くなる。
 そこで、それらを計算で求めて種々の要因でどう変わるのかを調べる。この場合種々の要因の影響は、指数関数的に起こるものとして考える、すなわち以下の通り。
 また、
 以上から、
となる。要は、これらの指数、係数をどうやって求めるかである。計算でも求められるし、実験的に求めることも可能なのである。計算で求めるとすれば、以下のとおりである。
以上の式の展開で、Reと Nu の関係は実験式から求められる。ふく射率には、白金の値を使う。これらの値に従来の結果を選んで以下を定める。

ガスの粘性係数, 熱伝導率, ガス定数などは、ガス組成などを求めつつ混合ガスのそれらの値を計算できる。しかも、影響因子 (P, T, φ)に関する関数近似をも計算で行うことができる。こうして式(8)の全ての係数、指数は決定できる。その結果を示したのが、以下の表である。(単位は、旧単位系になっているのを容赦いただきたい)


 これらの値を式(9)〜(14) に代入すると式(8) の係数、指数が全て定まる。


 一方、式(8) 中の指数や係数は、影響因子の実験条件を種々振り、それに対する、ΔT=Tg-Tt を測定することで、決定できる。このとき Tg は Na D-line Reversal 法で測定する。べき数を求めるために、最小自乗法を使う。こうして求めた結果を、以下の表に示す。


ただし、実験範囲は、メタン空気火炎で 温度= : 1694-2142K, 当量比 : 0.7-1.5, 流速 : 0.42-3.09m/s, 直径 : 50μ-200μ, 圧力 : 0.1-1.0barであり、全データ数は154個、精度は(標準偏差で)、±14.9K である。したがって、この式を適用しようとする場合、この範囲を逸脱すると、精度の保証ができなくなる。とくに、べき数の大きな温度は外挿には気を付けるべきである。この種のバーナーで提供できる温度はどうしても燃焼速度の低速側(したがって低温側)は 5cm/s に達しないし、高速側(高温側)は50cm/s程度の断熱火炎を上回ることができない。流速はそれほどべき数値が大きくないから外挿も少々は許されよう。ここでは、適用範囲を広くするために、高速側については平面火炎形成直後、絞りにより流速を加速して3.09m/sを作っている。低速側もそういう意味では最低速度の平面火炎直後に拡大管を用意すれば減速できるからもっと低速側ができそうに思うかもしれないが、これは火炎が不安定となるし、温度境界層の発達が早いので拡大管を流れる間に一様温度場の維持ができなくなるから、試しても居ない。
 さて結果について、最小自乗法で求めたのだから、理論的な Cd- Cv=1 の関係を満足するとは限らないが、実験結果は 1 でなく 0.92 になっている。この程度合っていれば上々ではなかろうか。それにしても、表3 が既成のデータや物性値を用いて計算した値、表4 が実験による値であるが、それぞれ相当離れている。とくに ΔT を決定する大きな因子としての C0 は大きく違う。基準に用いた素線径 100μ、ガス速度 1m/s、当量比1.0、熱電対指示温度 2000K、圧力大気圧という条件では、補正すべき温度は、計算で求めた 267℃では低すぎて、実際は 354℃補正しなくてはならないことを意味する。
 正直な話、このデータを論文集に投稿したが却下された。それはすべてに φ のべき乗表現があることが、物理的根拠に欠けるということが最大の理由であった(若かったから論文の書き方が幼稚だったことも恐らく影響していた)。もちろん、今でも物理的根拠は示せるわけがない。物性値が当量比にどう影響を受けるのかは、実際のところどう悩んでみたところでべき乗表現が物理的意味を持つはずがない。根拠は無いものの、どうせその影響因子である各物性値の指数は大きくはない。全体をまとめた Cφ は -0.22 と出ている。φの適用範囲はせいぜい 1.6〜0.6 であるから、これによる補正値への影響の程度は 0.9〜1.1倍である。当量比 1.0 で300℃補正を必要とした場合、当量比が異なることでその値は、270〜330℃の補正となる。他の影響因子と比較すると結構マイナーな影響である。そして計算上、結構良い傾向でこの指数表現ができたのである。それに、物理的根拠が無い実験式は世の中にいくらでもある。それを示すことができなかったら、学問的価値が無いとしたら、工学技術の発達は非常に遅れたのでは無かろうか。たとえば二層流などは実験式に次ぐ実験式である。物理的根拠のあるものから無いものまで。また当量比にかかわらず、たとえば温度の指数が 4からずれる理由が被覆線のふく射率の温度依存性によると解釈するとしたら、その依存性が物理的に指数表現になることを説明しなくては ならなくなる。流速、直径などの影響もしかりである。そんなことは説明できない。つまり、私はそのころまだくちばしが黄色かったけれど、この裁定には納得できなかった。rebuttal 無しの無条件却下は、このころの年齢ではきつく、死ぬほどではないにしろ、その何分の一の落胆であった(私はこのころ、こんなことにしか研究者としての命をかけていなかったということ。ことの始まりは、NOx が問題になって、Zeldovich機構が話題になっている頃で、当然火炎温度を正確に測る必要が有った時代のこと)。
 理論計算では Cφ は -0.22 であるが、実は実験してみるとその値は -0.71 と出る。このギャップが私をおおいに悩ませた。指数表現の物理的意味など、それと比べると私には二の次の問題であったと言える。恐らくそれは、温度境界層の中では見かけの熱伝導率が大きく変わる(ヒートパイプが蒸気の潜熱で熱を輸送し、銅より熱伝導率が高いパイプを作るように、化学エンタルピーの形で熱を輸送する)という事実に関係するであろう、という結論に至った。実際、熱電対とは無関係に(ロケットのノズル内熱伝達の問題を想定したものであったと思う)そういう計算が当時、日本でなされていた。それを使えば、この問題は解決するであろう、ということで当時の学部生(現在福井大学助教授になっている)とその意味での熱伝導率の計算を試みた。しかし、結果は傾向としての説明はできたものの定量的に実験結果の -0.71を説明しうるものではなかった。この件は今も放置したままである。皆さんも、もし補正式をお使いになるなら、この点を是非念頭に置いてください。
 これらの結果は、再度考え直してガスタービン学会に投稿して印刷されているが、燃焼屋にはマイナーな学会誌であろうから、あまり皆さんの目にとまっていないと思う。
 さて、以上、物性値などを用いた計算による補正式と、私の実験による値には相当の開きがあることを理解していただけたであろう。それを示したのが下の図である。

この条件でおおよそ 100℃の誤差である。それは、「Kaskan(など) の式を用いて補正をしているから、私の測定温度は十分の信頼度がある」という表現を聞くこともあるが、むしろ結果は怪しいということを意味する。補正がなされないより良いことは、当然であるが。下の図は、先ほどの素線径をパラメータに取った図のデータに私のふく射補正式で温度を求めた場合である。200μにもなると精度はがた落ちになる。

 さて、私の補正式は広範な条件に適用できるであろうか。以下に例を示そう。
 下の図は当量比1.0、圧力 1.0bar、熱電対素線径25μでガスの流入速度が10cm/sという場合である。

横軸ゼロ点は Luminous Zone にとっている。今まで述べてきたように、最高温度を経験するのは火炎面から数m 下流であることがこの図からも明らかである。最高温度経験後徐々に温度が下がる傾向について、この既燃ガスに含まれる炭酸ガスと水蒸気による赤外域でのふく射損失が温度降下の原因であることを示唆している。

 次に、当量比を 1.3 にした場合を示す。

 この場合、さらに精度が上がっている。では希薄な場合も、精度良く補正できるであろうか。

 この場合は、残念ながら他より補正が不十分である。
 つぎに、圧力が大気圧より低くなったら補正はうまく行くであろうか。実際、この補正式を作るためには、圧力を 0.01MPa まで実験している。その状態を以下に示す。


バーナーシステムの項で示したバーナーの実物である。6cmののぞき窓を直角な面4カ所に持ち、石英窓を備える。Fristrom&Westenberg のテキストの図から判断すると、0.01MPa まで下げた実験をするためにはもっと大きなフレームホルダーが必要であるが、私にはとてもこれ以上大きなものを作る根気が無かった。この 4cm のホルダーでさえ、毎日 9:00から 17:00まで昼休み以外は全て機械工場の NC フライスに向かって一週間穴開けに費やした。その間、だれもNCフライスに触るな、と張り紙をして。もし、勝手にさわられたら、位置決めが狂ってしまう。当時はテープでプログラムを作っていたし、0.9mm程度のドリルで10mm貫通させるためには、何度も切り子を取るために刃を出し入れしなくてはならない。直径が倍になったら一ヶ月これに費やすことになる。幸い、4cmのホルダーは一発で完成した。圧力を下げると本当に火炎は安定しない。見てわかるとおり、余熱帯(ホルダーから火炎までの距離)は圧力に反比例して長くなる。この場合5mm程度は浮いている。もっと大きなホルダーで有ればもっとフラットな良好な火炎ができたであろうが、ここでは伴流で制御しながらこの程度の曲率を持った状態でも測定には差し支えないであろうとして、実用に供した。低圧バーナーを作る予定の方にさらに少々説明を加えると、点火は左方向にうっすらと白く見えているアルミナ管で絶縁して導いたニクロム線をバーナー上部に移動して混合気を送ることで可能。その後、この点火用ニクロム線は写真の位置までじゃまにならないよう引っ込めている。既燃ガスは上方へ流れて行くが窓より少し上は水冷ジャケットで冷やしている。熱電対は天井部にセットしたトラバース装置で上下する。既燃ガスは天井部より少し下で横にやはり水冷ジャケットを持つ円管方向に導かれる。そのあたりでほぼ温度は下がるので、あとは内径4cm程度のフレキシブルなゴム管を介してステンレス管に接合する。このステンレス管は、広口瓶への導入部になる。広口瓶内は、苛性ソーダ液に浸されていて、導入したステンレス管はその液面下までの長さを持つ。つまり、既燃ガスはぶくぶく液に触れ、酸性ガス成分を中和させる。こうして、過濃混合気が酸性で真空ポンプを傷めるのを防ぐ。苛性ソーダ液から出てきた既燃ガスは、広口瓶の出口用ステンレスパイプをとおって今度はシリカゲルの入った広口瓶に入る。そこを出るとやっと真空ポンプに至る。真空ポンプは大型でないと、十分に圧力を下げることはできない。この装置では 0.05MPa まで安定した火炎を保持できた。
 さて、写真に戻って、熱電対は非常に太く移っている。これは前述したように銀塩写真の特徴から止むを得ないと思う。実際ここに移っている熱電対素線径は 25μである。支持用の線が 200μであるがほとんど同じ太さに見える。
 このバーナーを使って測定した例を示そう。下の図は、P=0.01MPa の例である。

熱電対と Na D-line Reversal 温度の位置がずれている。これは、前述のように火炎はフレームホルダーから浮いており、熱電対を近づけるとその影響を受けるためである。もし、最高温度部分を使って重ねるならほとんど一致する。
 つぎに下の図は、P=0.02MPaの場合である。

 やはりかなり良い精度で測定ができている。
 最後に P=0.02MPa について、種々の条件に対しする最高温度について示す。


まとめ

 以上まとめると、
  1. 熱電対は、あくまで二番手である、Na D-line Reversal 法をなんとしても使うべきであろう
  2. どうしても熱電対しか使えない場合、以後のことを考えて温接点の大きさは素線径の 30%以内におさめるべきである
  3. 素線径の 100倍以上センサー部を必要とする。その先で支持用熱電対に溶接するなど、不等温部接触可能。
  4. コーティングは、平面火炎中央にシリコンオイルなどを導き、蒸発燃焼させてその反応が進み SiO2 が既燃ガスに拡散する場で行うこと
  5. コーティング長さは上述のごとく熱電対素線径の 100倍以上にわたること
  6. 完璧なコーティングはまず、コーティングバーナーの平面火炎に近づけて、火炎面下流数_で最高温度を経験することを確認、それに要した時間の 5倍にわたってさらにコーティングすることでほぼ達成できる。このときのコーティング厚さはせいぜい1μ以下で厚さによるふく射率変化は無いと考えてよさそう。その後、それを電極とした水の電気分解で泡立ちの無いことを確認して終了
  7. このように溶接、コーティングした25μ〜100μ程度の素線径の熱電対に対し、ふく射損失補正を以下の式で行うことで良い精度の測定が可能。ただし、どうしても流速を知っている必要がある。拡散(非予混合)火炎では、その場の当量比も知っている必要がある。
    保証できる適用範囲はメタン空気火炎で、温度 1694-2142K, 当量比 0.7-1.5, 流速 0.42-3.09m/s, 直径50μ-200μ, 圧力 0.1-1.0barであり、精度は(標準偏差で)、±14.9K である。
    (ただし、この式を公式に使う場合、前述の当量比の影響が指数表現できる理由を問われる可能性がなきにしもあらずということをご了解下さい、今更そういうことを言う人は居ても少ないと思いますが)



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  1. どんなバーナを使うのが良いか?

    1. バーナーの構造は?
    2. 配管は?
    3. バルブは?
    4. 圧力調整弁(レギュレーター)は?
    5. 流量計は?
    6. 混合容器は?
    7. バーナー本体は?
    8. フレームホルダーは?
    9. 結局?

  2. 検定を行うのに最も優れた温度校正法は?
    最も信頼性の高いのは Null Method の Na D-line Reversal 法 !!

    1. 校正用標準電球
    2. Na混入器
    3. 中央へ混入する方法
    4. 光学系
    5. 精度
    6. まとめ

  3. 本章



参考文献
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  3. D. Bradley, A.G., Entwistle, "Determinatin of the emissivity, for total radiatin of small diameter platinum-10% rhodium wires in the temperature range 600-1450 degree C," British Journal of Applied Physics, pp.708-711(1961)
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  7. J.H.Kent, "A Noncatalytic Coating for Platinum-Rhodium Thermocouples," Combustion and Flame, Vol.14, pp. 279-282(1970)
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