令和7(2025)年5月1日付で、岐阜大学医学部附属病院アレルギーセンター長を拝命いたしました。これまで築かれてきたセンターの理念と実績を継承しつつ、さらなる発展に努めてまいります。
近年、本邦において国民の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患を有しているとされており、症状の急激な悪化や、生活の質への深刻な影響を伴う例も少なくありません。こうした社会的背景を受け、平成27(2015)年には「アレルギー対策基本法」が施行され、国を挙げての対策が本格的に進められるようになりました。
当アレルギーセンターは、平成30(2018)年5月25日に岐阜県よりアレルギー疾患医療拠点病院として指定されたことを受け、同年8月1日に設置されました。設立以来、診療科の枠を超えた多職種連携のもと、重症・難治性アレルギー疾患の患者さんへの高度な医療の提供、市民公開講座やよくある質問などの患者さんやご家族への情報提供・啓発活動、アレルギーセンターセミナーなどの医療従事者や教育関係者への研修、さらには学校現場でのアレルギー疾患対応に関する調査・分析など、多岐にわたる取り組みを進めてまいりました。
令和2(2020)年には、厚生労働省による「アレルギー疾患都道府県拠点病院モデル事業」に選定され、特に教育現場を対象とした電子メール相談体制を整備するなど、県域全体にわたる支援体制の構築にも力を注いでおります。また、令和3(2021)年3月には、新型コロナウイルスワクチン接種会場や診療所等での活用を想定し、「予防接種現場でのアナフィラキシー初期対応マニュアル」を公開し、予防接種に関連したアナフィラキシーへの対応力向上に寄与する活動を行ないました。
令和7(2025)年からは、岐阜県と連携し、行政関係者向けのアレルギー疾患対策研修会にも参画しております。「母子保健におけるアレルギー疾患予防」や「災害時のアレルギー疾患対策」などをテーマに、行政機関におけるアレルギー対策の実効性を高める支援にも新たに取り組んでいく予定です。
今後も、アレルギー疾患の方々が安心して過ごせる地域を作り上げていく事を目指し、医療・行政・教育などの各分野との連携を深めながら、センターとして一丸となって努力を重ねてまいります。引き続き、皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年5月吉日
岐阜大学医学部附属病院
アレルギーセンター
センター長 川本典生
© 2025 Allergy Center, Gifu University Hospital.