淡水生物園は,主にニホンイシガメとカスミサンショウオの保全と研究を行うための人工池です。
最近の様子はこちら(淡水生物園blog)へ。
淡水生物園ができるまでの様子はこちらへ。
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岐阜県は豊かな自然に恵まれ,また岐阜市内にもまだまだ緑豊かな自然環境が多く残されています。岐阜市内には,多くの希少な爬虫類・両生類が生息していますが,やはり環境の悪化や外来種の生息域拡大は他地域と同様に深刻な問題となっています。このような環境の変化に伴い,岐阜地域でも絶滅の危機に瀕している在来種は少なくありません。応用生物科学部では,構内の一画に小さな人工池(在来水生生物保全池,約 200 m2)を造成し,岐阜高校・岐阜の水族館・岐阜市などと協働して岐阜市内の希少な在来水生生物(主に,ニホンイシガメとカスミサンショウウオ)の域外保全を図ると共に,その屋外飼育個体の生物学的研究や野生個体の調査をそれぞれの専門家と協力して進める予定です。
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( 淡水生物園の紹介ポスター ) |
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まず・・・・・
岐阜大学に生息する生物
構内の小川や池,大学前を流れる川には,悲しいことに,ミシシッピアカミミガメ(商品名:ミドリガメ),ウシガエル,ブラックバス,ブルーギル,ライギョ,ヌートリアがたくさん生息しています。外来生物の宝庫となってしまっています。応用動物科学コースの教員や学生の多くは,常々それをどうにかしたいと思っていました。
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応用生物科学部棟の前を流れる小川です。
ここは,ミシシッピアカミミガメだらけ。
(2011年6月8日撮影)
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構内の川でみつけたヌートリア。ペアでしょうか。
カピバラさんではありません。
(2012年5月1日撮影) |
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亀研
岐阜市内でニホンイシガメ(準絶滅危惧種)をみることは少なくなってきています。ニホンイシガメ優占の生息場所は限られてきているようで,よくみるカメは要注意外来生物(外来生物法)のミシシッピアカミミガメがほとんどです。動物繁殖学研究室が2010年8月から行っている大学構内および周辺河川での捕獲調査でも,ニホンイシガメは僅かで,ほとんどがミシシッピアカミミガメです。また2007年に,構内の池でカミツキガメが捕獲されたこともあるそうです。今後,岐阜市内産(岐阜大学地区)のニホンイシガメの飼育下繁殖を進め,関係機関と連携してニホンイシガメの復活を模索します。また,動物遺伝学研究室では,今後ミシシッピアカミミガメのDNAを分析することにより,その由来や繁殖状況を明らかにし,外来種の生息域拡大の防止に役立てていきたいと考えています。
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山椒魚研
カスミサンショウウオは,岐阜県以西の本州,四国の瀬戸内海沿岸,九州北西部など西日本に分布する全長10センチほどの小型のサンショウウオです。県内では,現在2箇所にしか生息が確認されておらず,岐阜市の個体群は本種の分布東限にあたります。その生息環境は安心できる状況ではなく,絶滅の危機に直面しています。「岐阜市自然環境の保全に関する条例」において,貴重野生動植物種に指定され,保護されています。特に,県立岐阜高校や岐阜県世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ,岐阜市自然環境課などが保全活動を展開し,その成果が実を結んできています。2011年から岐阜大学もこの活動(特に,生息域外保全)に参加しています。
詳しくはこちらへ。
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蛙研
岐阜市内にも多く生息するナゴヤダルマガエルは,環境省レッドリストに絶滅危惧種として記載されています。外見的にも似たトノサマガエルとは,従来,繁殖時期がずれていましたが,用水の共同管理や稲作の大規模化に伴って田んぼに水が入る時期が遅くなり,両種間の交雑が進んでいると考えられています。比較生化学研究室は,母系遺伝するミトコンドリアDNAの遺伝子解析を利用して,ナゴヤダルマガエルの交雑状況を判断する手法を開発しました。この手法で,見た目には分かりにくい両種の交雑状況の調査を行っています。
詳しくはこちらへ。
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<岐阜大学地区でのカメの調査捕獲数>
ニホンイシガメ
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クサガメ
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ミシシッピアカミミガメ
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スッポン
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(合計1146匹,2013年6月18日現在。2010年8月27日捕獲開始,現在も継続中) |
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ニホンイシガメ
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カスミサンショウウオ
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クサガメ
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ミシシッピアカミミガメ(環境省・要注意外来生物)
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(岐阜市内に生息するその他の爬虫類・両生類)
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1.オオサンショウウオ 2.ニホンカナヘビ 3.アオダイショウ
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4.ヤマアカガエル 5.シュレーゲルアオガエル 6.アカハライモリ
すべて,世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふで展示されている種です。1,2,4は同施設にて,3は岐阜高校にて撮影。
岐阜市内にはまだまだ様々な爬虫類・両生類が生息しています。写真はごく一部です。
いまのところ保全池で飼育するというわけではありません。
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池の造成経過や最近の様子をこちらのページで紹介
淡水生物園(在来水生生物保全池)は
カメ自然飼育ゾーン,カメ研究飼育ゾーン,サンショウウオ自然飼育ゾーンの3つに分けられます。
カメ自然飼育ゾーンは3つの池からなり,カメ研究飼育ゾーンは8つの四角い区画水槽からなります。
赤外線カメラを設置し,昼夜,観察と防犯を強化しています。
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『淡水生物園』の看板は動物造形作家のアクアプラント守亜氏に制作していただきました。
(2013年1月15日設置,詳細はこちら)
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カメ自然飼育ゾーン ・・・ 丸池@〜B ニホンイシガメ(岐阜大学周辺の個体群)の保護増殖に取り組んでいます。
カメ研究飼育ゾーン ・・・ 区画池@ ニホンイシガメ(岐阜県揖斐郡の個体群)の保護増殖に取り組んでいく予定です。
区画池A〜G 外来種のミシシッピアカミミガメとクサガメを研究用に飼育しています。
カスミサンショウウオ自然飼育ゾーン ・・・ カスミサンショウウオ(岐阜市内の個体群)の保護飼育に取り組んでいます。 |
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ここでの活動は,岐阜市役所自然共生部自然環境課,世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ,岐阜県立岐阜高等学校自然科学部生物班,日本カメ自然誌研究会等の各専門機関または各専門分野の研究者の指導・協力の下で行っています。なお,本活動の一部は,平成23-25年度岐阜大学活性化経費(地域連携)を受けて実施しています。
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(管理運営: 動物繁殖学研究室) |
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