研究の概要


 ここでは小林秀雄の戦前期の批評・小説を対象として、その初期の思考の型が、自己の唯我論的な世界観そのものの相対化への希求であることに着目し、作品分析を行っています。

 現在<私小説>というジャンルをめぐっての研究が活性化していますが、< 私小説>というコンセプトの確立に大きな影響を与えた「私小説論」(昭10)自体も、詳細な再検討が必要といえます。この問題についても、上記のような小林独自の<自己−他者>認識を導入することで、異なった局面が見えてくると考えています。

 また付随して、「私小説論」で小林が立てたヨーロッパ文学vs私小説という図式自体の偏差を分析するために、明治期の田山花袋の描写論 の分析も試みました。

 最近では平行して、フェミニズム理論 によるアプローチも行っています。


 論文リスト

 1 「小林秀雄における<詩>と<小説>−言語認識という視点から−」 (「国語と国文学」 1981.12)
 2 「小林秀雄の『機械』論−陰画化された<小説>像−」(「日本近代文学」 1985.10 )
 3 「二つの<私>論−横光利一『純粋小説論』と小林秀雄『私小説論』− 」(『講座昭和文学史2』、有精堂、1988.8)
 4 「他者としての<女>たち−小林秀雄「オフェリヤ遺文」を読む−」( 『「男性作家」を読む』 新曜社、1994.9)
 5 「小林秀雄における<他者>−『罪と罰』論を中心に−」(「日本近代 文学」 1995.5)
 6 「批評文学の自立」(『日本文学史13 二〇世紀の文学2』 岩波書店 、1996.6 )


 リンク

 リンク集

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copyright(C) Negishi Yasuko 1996.6


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