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近代文学におけるキリスト教の教義(主として福音主義的なキリスト像)の浸透性についての各論として、大岡昇平の『少年』論および、小林秀雄の『罪と罰』論の分析を行っています。 後者の場合、同情による癒しを与える女性像の造形は、小林の批評原理 における<小説>の構造性と密接に関係しているため、論中ではキリスト教の問題は、主として認識論の問題としてとらえられています。 |
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田山花袋の「蒲団」から「生」「妻」「縁」三部作執筆期の彼の描写論(「平面描写」論ほか)とその作品群とを分析した論です。 中村光夫「風俗小説論」でも強調された花袋の私小説の主情性は、むしろ花袋自身も自覚していた構造上の欠陥というべきで、初期の彼は「ジェルミニー・ラセルトゥー」、「ベラミ」等のヨーロッパ小説の語りのとりこみを意図しており、作中での<語り手>の相対化の試みを「印象描写」に至るまで一貫して模索していたという観点から、作品を読み直しています。 |