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最終更新日
平成18年4月8日

応用生物科学部HP
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応用生命科学講座
食品科学系
食品成分化学分野

プロテオグリカン・プロジェクト

矢部富雄助手を中心として、プロテオグリカン糖鎖の一種である「ヘパラン硫酸」の糖鎖構造特異的な機能制御機構に注目した研究を進めている。

ヒトにおける「食品成分の摂取」を「生体の内面に起こる環境変化」と捉えると、異なった文化風習の結果もたらされる食習慣の違いは、同じ民族のように静的な環境(生体構造)が似ていればいるほど、その動的な環境変化の振幅の大きさの違いによる生体への負担の度合いに大きな差が出てくると考えられる。そして、食習慣によってもたらされる長い年月に亘る生体への負担を軽減するために、生体は中枢神経系からの制御によって個体としてのバランスを保とうとすると予想される。

しかし、このような長期間に亘って形成される情報伝達経路は、食品成分による直接的な刺激が原因であるとは考えにくい。そこで我々は、特定の食品成分の摂取によってもたらされた消化器官系の環境変化を、中枢神経系へ漸次伝達する経路が存在するのではないかという仮説を提唱している。この経路の存在を証明するためには、まず、情報を即時一過性に伝達するのではなく、漸次安定的に伝達する機構が解明されれば良いと考えた。

そこで、情報伝達物質が分配される際の足場となり、比較的安定に一定期間存在すると考えられる細胞表面のプロテオグリカン糖鎖であるヘパラン硫酸に注目した。すなわち、消化器官系あるいは中枢神経系細胞表面のヘパラン硫酸糖鎖が、食品成分の違いによって構造が変化することを明らかにし、それに伴って分布が変化する物質(すなわちこの経路の情報伝達物質)を同定することを当面の目標としている。

これまでに我々は、中枢神経系の細胞表面のヘパラン硫酸糖鎖は、常に一定の構造を保っているのではなく、時期および部位特異的にダイナミックに構造を変化させていることを示唆する知見を得ており、この変化の意味するところを現在解析中である。

参考文献

  1. Yabe, T., Hata, T., He, J., and Maeda, N. (2005) Developmental and regional expression of heparan sulfate sulfotransferases in the mouse brain. Glycobiology 15, 982-993.
  2. Wu, Z. L., Zhang, L., Yabe, T., Kuberan, B., Beeler, D. L., Love, A., and Rosenberg, R. D.(2003) The involvement of heparin or heparan sulfate in FGF1/FGFR1 signaling complex. J. Biol. Chem. 278, 17121-17129.
  3. Yabe, T., Shukla, D., Spear, P. G., Rosenberg, R. D., Seeberger, P. H., and Shworak, N. W. (2001) Portable sulphotransferase domain determines sequence specificity of heparan sulphate 3-O-sulphotransferases. Biochem. J. 359, 235-241.

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