高山スタディについて

研究の目的
がんや脳卒中、虚血性心疾患、糖尿病などは生活習慣病とも呼ばれ、生活習慣が原因で発症すると考えられていますが、具体的にどのような生活習慣が影響をもたらすのかは明確ではありません。特に、生活習慣病の予防に有効な食生活とは何か、関心は高いものの研究は未だ不十分です。高山スタディでは、コホート研究という疫学の手法を用い、食習慣を含む生活習慣とその後の死因や生活習慣病発症との関係を明らかにすることを目的としています。 1992年、文部科学省(当時文部省)の科学研究費助成のもと、高山市、岐阜県、高山市医師会、岐阜県歯科医師会高山支部、岐阜県薬剤師会高山支部、高山市町内会連絡協議会の後援を得て、高山市住民の方々が参加する高山コホートが設立されました。

参考
コホート研究とは分析疫学において、特定の要因と疾患との関連を評価する手法の一つ。あらかじめ、該当する疾患に罹っていない集団を対象に特定要因による暴露の有無を調査し、その集団(コホートと呼ばれる)を一定期間追跡し、疾患の発生を把握するもの。特定要因への暴露の有無による発症率の比較から、疾病との関連の大きさを求めることができる。この手法により、例えば、日本男性における肺がんの発症リスクは、喫煙者が非喫煙者に比べ約4倍高いことがわかっている。

研究の方法
ベースライン調査
1992年のコホート開始時には、ベースライン調査として、高山市(旧高山市)に在住される35歳以上の方々を対象に、「高山市健康と生活習慣に関するアンケート調査」票への回答を依頼しました。調査票はボランティアの方々が中心となり各家庭に配布、回収が行われ、34,0188名(回答率92%)の方々の参加を得られました。 調査項目は、年齢、婚姻状態、身長・体重、既往歴、喫煙歴、薬剤・ビタミン剤使用歴、食習慣、運動習慣、がん検診受診歴、性格、月経・出産歴(女性のみ)に及ぶものです。それまで日本では、食生活の定量的評価が行われてこなかったこともあり、食習慣に関する質問は、169項目にわたる食品や料理について、過去1年間における摂取頻度と1回の摂取量について尋ねました。食事記録など他の食事評価法と比較することにより、総カロリーから各栄養素、各食品群に至るまで、その摂取量を定量的に推定可能としました。 ベースライン時にコホート全体を対象とした生体試料の採集は行っておりませんが、一部の対象者の方々(190名)には血液採取に協力いただいており、カロテノイド、ホルモンを測定しています。

第二次調査
2002年、1992年の調査参加者の方々のうち70歳未満の方全員を対象に、花粉症、白内障、糖尿病などに関する郵送によるアンケート調査を実施しました。14,975 名(回答率66.9%)の方々の参加を得ました。

追跡調査
1992から2013年の期間において、亡くなられた方の情報は、一定期間ごとに、総務庁あるいは厚生労働省、法務局からの情報利用許可に基づき、死因、死亡年月日の把握をしております。高山市における在住や転出については住民票閲覧の許可を得て確認しています。がんの罹患については、飛騨のがん登録、その後は岐阜県がん登録より情報を得て、がんの部位と罹患日を同定しています。

解析
ベースライン時あるいは二次調査時の生活習慣の情報とがん登録及び死因データとリンクすることで、どのような生活習慣ががんの発症や疾患による死亡のリスクを上げるのか、下げるのかを計算します。また、第二次調査ではベースライン時のどのような生活習慣がその後の花粉症、白内障、糖尿病の発症に関わるかを解析しています。

情報の取り扱いおよび倫理について
高山スタディの開始後、2005年4月より「個人情報の保護に関する法律」が制定され、個人情報保護やインフォームド・コンセントの概念が社会において認識されるようになりました。疫学研究が、研究対象者の個人の尊厳と人権を守りつつより円滑に行われるよう、2002年には「疫学研究に関する倫理指針」も示されました。高山スタディでは、既に1998年に、岐阜大学医学部倫理審査委員会からの承認を得ていますが、その後、この指針や関連法規に従い、一定期間ごとに倫理審査と承認を受けております。 全ての情報は、岐阜大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学分野が管理をしておりますが、解析時は、個人識別情報を外した形で行い、個人情報の保護に努めております。研究結果も全体として集計、発表されるので、個人は特定することはできません。 ベースライン時あるいは第二次調査に参加された方でも、中途で研究への利用を取りやめることは出来ます。その場合は、以下の事務局までご連絡下さい。

研究代表者
1992年〜2005年 清水弘之 岐阜大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学分野
             (旧公衆衛生学教室)教授
2005年〜    永田知里 同分野教授
事務局
〒501-1194 岐阜市柳戸1−1
岐阜大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学分野
TEL: 058-230-6412 フリーダイアル: 0120-67-2247
FAX: 058-230-6413      担当: 准教授 和田

協力機関
後援:高山市、岐阜県、高山市医師会、岐阜県歯科医師会高山支部、岐阜県薬剤師会高山支部、高山市町内会連絡協議会
高山市赤十字病院、高山久美愛厚生病院
高山保健所、飛騨保健所、飛騨運輸株式会社

高山スタディ業績

  1. Body-mass index and pancreatic cancer incidence: a pooled analysis of nine population-based cohort studies with more than 340,000 Japanese subjects. J Epidemiol. 2018;28(5):245-252.
    体格と膵がんリスク:9コホート研究のプール解析
    <要約>高山コホートを含む日本の9コホートによる共同研究。対象者約34万人におよぶ。肥満度BMI>30以上の男性は、BMI23-25の男性に比べ膵がんリスクが1.71倍と有意に上昇していた。女性においては肥満度と膵がんリスクとの有意な関連性は認められなかった。
  2. Smoking cessation and subsequent risk of cancer: A pooled analysis of eight population-based cohort studies in Japan.Cancer Epidemiol. 2017 Dec;51:98-108.
    禁煙とがんリスク:8コホート研究のプール解析
    <要約>高山コホートを含む日本の8コホートによる共同研究。対象者約32万人。コホート開始時に21年以上の禁煙期間がある男性における全がんのリスクは、喫煙したことのない男性と同レベルであった。20箱?年吸ったヘビースモーカーでも21年以上の禁煙で全がんのリスクは喫煙したことのない男性に比べ、1.06倍と小さくなっていた。女性においてはコホート開始時から11年以上の禁煙期間で喫煙したことのない女性と同レベルのリスクとなった。
  3. Smoking and subsequent risk of acute myeloid leukaemia: A pooled analysis of 9 cohort studies in Japan.Hematol Oncol. 2018 Feb;36(1):262-268.
    喫煙と急性骨髄性白血病リスク:9コホート研究のプール解析
    <要約>高山コホートを含む日本の9コホートによる共同研究。対象者約34万人。コホート開始時の現喫煙者は、その後の急性骨髄性白血病の発症リスクはであったも21年以上の禁煙期間がある男性における全がんのリスクは、喫煙したことのない者に比べ、1.44倍と有意に上昇していた。30箱?年以上吸った喫煙者は、喫煙したことのない者に比べ1.66倍のリスクが認められた。したことのない男性と同レベルであった。20箱?年吸ったヘビースモーカーでも21年以上の禁煙で全がんのリスクは喫煙したことのない男性に比べ、1.06倍と小さくなっていた。日本における喫煙と急性骨髄性白血病の関係は、欧米における関連に類似していた。
  4. Association of alcohol consumption with the risk of stomach cancer in a Japanese population: a prospective cohort study.Eur J Cancer Prev. 2018 Jan;27(1):27-32.
    高山スタディにおける飲酒と胃がん
    <要約>高山スタディにおいて、飲酒と胃がん発症リスクとの関係を評価した。ベースライン時(1992年)の食物摂取頻度調査票を用いアルコール摂取量を推定した。男性では、アルコール摂取量に基づき全体を4等分し群(Q1-Q4)としたところ、最も低い摂取群Q1に比べ、Q2,Q3,Q4の胃がんリスクは、それぞれ1.39、1.35、 1.38倍と有意な上昇を示した。女性は、非飲酒者と飲酒者2群(中央値以下と以上)の全3群に分けた。女性においてアルコール摂取量と胃がんの関連性は認められなかった。
  5. Prospective study of dietary energy density and weight gain in a Japanese adult population.Br J Nutr. 2017 Mar;117(6):822-828
    食事のエネルギー密度と体重増加
    <要約>エネルギー密度とは、食品単位グラム当たりのエネルギー量を表し、トータルのエネルギー摂取が同じでも、エネルギー密度が高い食品を多く食べれば、体重増加につながるとの仮説がある。高山スタディにおいて、エネルギー密度とその後の体重増加との関連を評価した。エネルギー密度は、ベースライン時(1992年)の食物摂取頻度調査票を用い推定した。体重増加はベースライン時と2002年の2回目調査時の自己申告による体重の変化として表した。総エネルギー量、ベースライン時体重等を含む共変数で補正後、エネルギー密度は男性においてその後の体重増加に関連していた。エネルギー密度の上位1/4摂取群では10年間で平均138g の体重増加があったが、エネルギー密度の低位1/4摂取群では、平均22g体重が減った。女性では、エネルギー密度と体重変化の関連は認められなかった。
  6. Association between type 2 diabetes and risk of cancer mortality: a pooled analysis of over 771,000 individuals in the Asia Cohort Consortium.Diabetologia. 2017 Jun;60(6):1022-1032
    糖尿病とがん死亡リスク:アジアのコホート研究のプール解析
    <要約>高山コホートを含むアジア19コホートによる共同研究。対象者約77万人。追跡期間は平均12.7年。コホート開始時に糖尿病歴のある者は、その後がんで死亡するリスクが1.26倍と有意に高かった。がんの部位でも、大腸、肝臓、胆管、胆嚢、膵臓、乳房、子宮内膜、卵巣前立腺、腎臓、甲状腺、リンパ腫は、有意に高い死亡リスクが認められた。
  7. Hot-cold foods in diet and all-cause mortality in a Japanese community: the Takayama study.Ann Epidemiol. 2017 Mar;27(3):194-199.
    高山スタディにおける体を温める/冷やす食物と死亡リスク
    <要約>漢方医学では食品は体を温める食物、冷やす食物に分けられ、これらの食物のバランスが健康につながると考えられている。高山スタディにおいて体を温めるあるいは冷やす食物摂取が、その後の死亡リスクに関連するのか評価した。温・冷の食品の分類はLu, 西村、桑井、土橋による4つの分類を採用し、ベースライン時(1992年)の食物摂取頻度調査票を用い、体を温める食物の摂取量、体を冷やす食物摂取量、両者の比を推定した。体を温める食物の摂取量は、西村の分類では死亡リスクと正の関連性を示すが、Luや土橋の分類では、負の関連性を示すなど、一貫性がなかった。体を温める/冷やす食物と死亡との関連は肯定されなかった。
  8. Husband's smoking status and breast cancer risk in Japan: From the Takayama study.Cancer Sci. 2015 Apr;106(4):455-60.
    高山スタディにおける夫の喫煙状況と妻の乳がんリスク
    <要約>1992年のベースライン時の調査により、本人と配偶者の喫煙状況を調べた。本人が喫煙していない場合、夫が喫煙していない女性に比べ、夫が喫煙している女性ではその後の乳がんの発症リスクが高くなる傾向を認めた。ベースライン時に夫が1日20本以上たばこを吸っていた場合の非喫煙女性の乳がんリスクは、夫も本人も非喫煙の女性に比べ、約2倍と有意に高かった。
  9. Soy isoflavone intake and stomach cancer risk in Japan: From the Takayama study.Int. J. Cancer. 2015 Aug; 137(4): 885?892.
    高山スタディにおける大豆イソフラボン摂取と胃がんリスク
    <要約>1992年のベースライン時に食物摂取頻度調査票により推定された大豆イソフラボンの摂取は、その摂取量が多いとその後の胃がんの発症リスクが有意に低くなることを認めた。大豆摂取量に応じて全体を4等分に分け、最も低摂取(下位25%)の人と比較した場合、最も高摂取(上位25%)の人の胃がんのリスクは、男性で0.7倍、女性で0.6倍であった。
  10. Meat consumption and colorectal cancer risk in Japan: The Takayama study.Cancer Sci. 2017 May;108(5):1065-1070.
    高山スタディにおける肉摂取と大腸がんリスク
    <要約>1992年のベースライン時に食物摂取頻度調査票により推定された肉、加工肉の摂取量とその後の大腸がんの発症リスクとの関連を調べた。肉・加工肉総摂取量、赤肉摂取量が多いと、男性ではその後の大腸がんの発症リスクが有意に高くなることを認めた。肉・加工肉、赤肉の摂取量に応じてそれぞれ全体を4等分に分け、最も低摂取(下位25%)の人と比較した場合、最も高摂取(上位25%)の人の大腸がんのリスクは、ともに約1.4倍であった。女性では、有意なリスク上昇は見られなかった。
  11. Soy isoflavone intake and bladder cancer risk in Japan: From the Takayama study.Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2018 Nov;27(11):1371-1375.
    高山スタディにおける大豆イソフラボン摂取と膀胱がんリスク
    <要約>1992年のベースライン時に食物摂取頻度調査票により推定された大豆イソフラボンの摂取は、その摂取量が多いとその後の男性の膀胱がんの発症リスクが有意に低くなることを認めた。大豆摂取量に応じて全体を4等分に分け、最も低摂取(下位25%)の男性と比較した場合、最も高摂取(上位25%)の男性の膀胱がんのリスクは0.6倍であった。女性では、有意なリスク減少はみられなかった。
  12. Dietary soy and natto intake and cardiovascular disease mortality in Japanese adults: the Takayama study. Am J Clin Nutr. 2017;105:426-31
    大豆および納豆摂取と循環器疾患死亡リスク
    <要約>高山スタディにおいて、大豆および納豆摂取と循環器疾患死亡リスクとの関係を評価した。納豆を含む各大豆製品、大豆蛋白、大豆イソフラボンの摂取量はベースライン時(1992年)の食物摂取頻度調査票を用い推定した。納豆高摂取群は、低摂取群に比べ、16年間での全循環器疾患死亡のリスクが有意に低下しており、脳卒中、特に脳梗塞のリスクが低かった。大豆蛋白、大豆イソフラボン、納豆以外の大豆製品の摂取は全循環器疾患死亡リスクと有意な関連性は認められなかったが、大豆蛋白摂取が高いと脳卒中死亡リスクが有意に低下していた。納豆摂取が循環器疾患死亡リスクを下げることが示唆されたが、大豆蛋白に関する結果から、他の大豆製品もリスク低下の可能性はある。
  13. Dietary magnesium intake and the risk of diabetes in the Japanese community: results from the Takayama study. Eur J Nutr. 2017; 56: 767-74.
    マグネシウム摂取と糖尿病リスク
    <要約>マグネシウムはインスリン活性や糖調整に関与すると考えられている。1992年におけるベースライン調査に回答を得た高山スタディ参加者のうち、当時70歳以下であった男女を対象に、2回目の調査として、2002年、糖尿病の診断の有無とその発症年齢についてアンケート調査を行った。各種栄養素摂取量はベースライン時の食物摂取頻度調査票を用いて推定した。マグネシウムの摂取量が高い女性では、その摂取量が少ない女性に比べ、この約10年における糖尿病発症のリスクが有意に低かった。男性では、マグネシウム摂取量と糖尿病発症リスクとの関連は認められなかった。
  14. Dietary intakes of glutamic acid and glycine are associated with stroke mortality in Japanese adults.J Nutr 2015; 145: 720-8.
    グルタミン酸、グリシンの摂取と脳卒中死亡リスク
    <要約>アミノ酸の一種であるグルタミン酸とグリシンは、それぞれ血圧低下、血圧増加と関連するという仮説がある。高血圧は脳卒中のリスク因子とされているため、高山スタディにおいて、グルタミン酸、グリシン摂取と脳卒中死亡リスクとの関連性を評価した。1992年ベースライン時に回答を得た食物摂取頻度調査票より、グルタミン酸とグリシン摂取量を推定した。女性においては、グルタミン酸摂取量が高いとその後16年間における脳卒中死亡率が減少していた。男性では、ベースライン時に高血圧症既往のない者においてグリシン摂取量が高いと脳卒中死亡、特に脳梗塞死亡のリスクが高まっていることが認められた。
  15. Sleep Duration and the Risk of Mortality From Stroke in Japan: The Takayama Cohort Study.J Epidemiol 2016; 26: 123-30.
    睡眠時間と脳卒中死亡リスク
    <要約>1992年のベースライン調査時に睡眠時間について回答を得ており、その後2008年までの脳卒中死亡のリスクに睡眠時間が関連を示すか評価した。7時間睡眠に比べ長時間(9時間以上)睡眠は脳卒中(トータル)、脳梗塞の死亡リスクがそれぞれ約1.5倍、1.7倍に増加していた。6時間以下の短時間睡眠は、男性においては脳出血死亡リスク低下と関連が認められた。
  16. Dietary glycaemic index and glycaemic load in relation to all-cause and cause-specific mortality in a Japanese community: the Takayama study.Br J Nutr. 2014; 112: 2010-7.
    グリセミックインデックスおよびグリセミックロードと死亡リスク
    <要約>グリセミックインデックス(GI) は食品による血糖値の上昇のスピードの違いを反映しており、GIおよびグリセミックロード(GL)値が高いと糖尿病、循環器疾患、がんなどの発症リスクが高くなると考えられている。そこで、1992年のベースライン時における食物摂取頻度調査票によりGI、GLの値を推定し、その後2008年までの全死亡、死因別死亡リスクとの関連を評価した。男性においてはGI およびGL値が高いとむしろ死亡のリスクが低下することが認められた。女性においてはGI値が高いと循環器系疾患による死亡リスクが上昇していた。
  17. Body mass index and breast cancer risk in Japan: a pooled analysis of eight population-based cohort studies. Ann Oncol. 2014 Feb;25(2):519-24.
    体格と乳がんリスク:8コホート研究のプール解析
    <要約>高山コホートを含む日本の8コホートによる共同研究。対象者183,940名におよぶ。閉経後の乳がんリスクは肥満度BMIが高いほど上昇しており、欧米における研究結果と同様の傾向が示された。閉経後女性においてもBMIの高い女性に乳がんリスクが高く欧米女性における傾向と逆の結果が示された。
  18. Association between tinnitus and sleep disorders in the general Japanese population. Ann Otol Rhinol Laryngol. 2013 Nov;122(11):701-6.
    一般住民における耳鳴りと睡眠障害との関連
    <要約>1992年のベースライン調査の参加者のうち当時70歳以下を対象に2002年、2回目のアンケート調査を行い、耳鳴りの有無と入眠や睡眠維持に困難さがあるなどの睡眠障害との関連を評価した。耳鳴りのある者ではない者に比べ、約3倍高く睡眠障害が認められた。耳鳴りが小さくとも有意に高い睡眠障害が認められた。
  19. Branched-chain amino acid intake and the risk of diabetes in a Japanese community: the Takayama study.Am J Epidemiol. 2013 Oct 15;178(8):1226-32.
    日本における分岐アミノ酸摂取と糖尿病発症リスク
    <要約>1992年のベースライン調査参加者で70歳以下を対象に2002年、糖尿病歴についてアンケート調査を行った。分岐アミノ酸摂取量はベースライン時の食物摂取頻度調査票を用いて推定した。総たんぱく質摂取における分岐アミノ酸摂取量の割合が高い女性に有意に低い糖尿病発症リスクが認められた。男性でも分岐アミノ酸のひとつであるロイシンの摂取割合が高いと糖尿病発症リスクが低い傾向が見られた。
  20. Diabetes mellitus and cancer risk: pooled analysis of eight cohort studies in Japan.Cancer Sci. 2013 Nov;104(11):1499-507.
    (糖尿病とがんリスク:日本の8コホートによるプール解析)
    <要約>高山コホートを含む日本の8コホートによる共同研究。対象者は330,000以上に及ぶ。糖尿病を有する者ではその後の全がんの発症リスクが約20%上昇した。特に大腸、肝、膵臓、胆嚢のがんの有意なリスク上昇が認められた。
  21. Diabetes mellitus and risk of cancer in Takayama: a population-based prospective cohort study in Japan.Cancer Sci. 2013 Oct;104(10):1362-7.
    高山スタディにおける糖尿病とがんリスク
    <要約>1992年のベースライン調査時に糖尿病を有するとその後のがんの発症リスクに影響が及ぶかを評価した。男性では糖尿病による全がんの発症リスクは9%上昇しており、肝がん、喉頭がん、胆管がんのリスクが有意に上昇していた。女性では全がんの発症リスクは35%上昇しており、胃がんに有意なリスク上昇が認められた。
  22. Soy isoflavone intake and breast cancer risk in Japan: from the Takayama study.Int J Cancer. 2013 Aug 15;133(4):952-60.
    高山スタディにおける大豆イソフラボン摂取と乳がんリスク
    <要約>1992年のベースライン時に食物摂取頻度調査票により推定された大豆イソフラボンの摂取は、その摂取量が多いとその後の閉経後乳がんの発症リスクが有意に低くなることを認めた。閉経前乳がん発症リスクとの関連は認められなかった。
  23. Total fat intake is associated with decreased mortality in Japanese men but not in women.J Nutr. 2012 Sep;142(9):1713-9.
    総脂肪摂取は日本男性において低い死亡率と関連していた
    <要約>1992年のベースライン時には総脂肪摂取の他、各種の脂肪酸摂取も推定している。男性において総脂肪摂取および不飽和多価脂肪酸野摂取が高いほど全死亡リスクが低く、特にがんや心血管障害以外の疾患による死亡のリスクが低かった。女性では、飽和脂肪酸摂取が高いと全死亡リスクが高かった。
  24. Associations of physical activity and diet with the onset of menopause in Japanese women.Menopause. 2012 Jan;19(1):75-81.
    日本女性における運動および食事と閉経時期の関連
    <要約>1992年のベースライン時に調査に参加した閉経前女性を対象とし、運動や食事習慣のその後の閉経年齢への影響を評価した。閉経状態、閉経年齢は2002年のアンケート調査により把握した。ベースライン時に推定された運動量が高いあるいは不飽和脂肪酸摂取量が高い女性ではその後の閉経時期が早かった。その他の種類の脂肪酸、アルコール、大豆イソフラボン摂取は閉経時期とは関連がなかった。
  25. Body mass index and mortality from all causes and major causes in Japanese: results of a pooled analysis of 7 large-scale cohort studies.J Epidemiol.2011;21(6):417-30.
    体格と死亡リスクとの関連:日本の7コホートのプール解析
    <要約>高山コホートを含む日本の7コホートによる共同研究。対象者は353,422名である。ボディマスインデックス(BMI)が低いあるいは逆に高いと全死亡や、主要疾患癌、心疾患、脳血管障害による死亡が高いという傾向が認められた。BMIが21-27の範囲で全死亡や主要疾患による死亡リスクが低かった。
  26. Prevalence of tinnitus in community-dwelling Japanese adults.J Epidemiol. 2011;21(4):299-304.
    日本住民における耳鳴有病率
    <要約>耳鳴は自覚的症状による。2002年におけるアンケート調査より一般住民における耳鳴有病率を求めた。45-79歳における耳鳴有病率は男性において13.2% 、女性において10.8%であった。年齢とともに耳鳴有病率は増加し、全体の0.4%が耳鳴により日常生活に支障をきたしていた。耳鳴の有無は高血圧、虚血性心疾患、ステロイドや降圧剤使用、騒音に関わると考えられる職業歴と関連していた。
  27. Association between body mass index and the colorectal cancer risk in Japan: pooled analysis of population-based cohort studies in Japan.Ann Oncol. 2012 Feb;23(2):479-90.
    体格と大腸がんリスクとの関連:日本におけるコホートのプール解析
    <要約>高山コホートを含む日本のコホートによる共同研究。対象者は300,000以上に及ぶ。ボディマスインデックス(BMI)が高いほど大腸がんリスクが男女とも高かった。特に、直腸に比べ、結腸でより強い関連が認められた。男性大腸がんの3.62%、女性大腸がんの 2.62% がBMI25以上によるものと推定された。
  28. Cigarette smoking and other lifestyle factors in relation to the risk of pancreatic cancer death: a prospective cohort study in Japan.Jpn J Clin Oncol. 2011 Feb;41(2):225-31.
    喫煙その他の生活習慣と膵臓がん死亡に関する前向き研究
    <要約>ベースライン時における喫煙者では喫煙したことのない者に比べ、その後の膵臓がん死亡のリスクが女性では4.8倍であり、喫煙年数や喫煙本数が高いほどリスクも高い傾向が認められた。男性でも膵臓がん死亡のリスクは3.8倍と高かったが統計的に有意ではなかった。体格、運動習慣、アルコール、コーヒー、緑茶野摂取は膵臓がん死亡とは関連性が認められなかった。
  29. Association of farming with the development of cedar pollinosis in Japanese adults.Ann Epidemiol. 2010 Nov;20(11):804-10.
    日本成人における農業と花粉症発症の関連
    <要約>2002年におけるアンケート調査より花粉症に関する症状を尋ね、花粉症の有無、症状の初発年齢を推定した。職業歴についてはベースライン時に回答を得ている。農業に従事している者はそうでない者に比べ、男女とも花粉症発症リスクが有意に低下していた。
  30. Dietary glycemic index, glycemic load, and intake of carbohydrate and rice in relation to risk of mortality from stroke and its subtypes in Japanese men and women.Metabolism. 2010 Nov;59(11):1574-82.
    グリセミックインデックス、グリセミックロード、炭水化物、米摂取と脳卒中死亡との関連
    <要約>ベースライン時における食物摂取頻度調査票より、糖質摂取の指標であるグリセミックインデックス、グリセミックロードを計算した。グリセミックインデックスが高い食事をとっている女性では脳卒中死亡リスクが約2倍と有意に高かった。特に脳卒中のうち脳梗塞死亡に高いリスクが見られた。グリセミックロードが高いと脳血出死亡のリスクが高かった。男性ではこれらの傾向は認められなかった。
  31. Consumption of coffee, green tea, oolong tea, black tea, chocolate snacks and the caffeine content in relation to risk of diabetes in Japanese men and women.Br J Nutr. 2010 Feb;103(3):453-9.
    日本人におけるコーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、チョコレート菓子の摂取と糖尿病発症リスク
    <要約>1992年のベースライン調査参加者で70歳以下を対象に2002年、糖尿病発症の有無、その診断年齢についてアンケート調査を行った。男女ともベースライン調査により推定されたコーヒー摂取量が高いほど糖尿病発症リスクが低かった。緑茶、紅茶、ウーロン茶、チョコレート菓子もカフェインを含むため、これらも合わせ総カフェイン摂取量と糖尿病発症リスクの関連を調べたが、有意な関連性は認められなかった。
  32. Diet based on the Japanese Food Guide Spinning Top and subsequent mortality among men and women in a general Japanese population.J Am Diet Assoc. 2009 Sep;109(9):1540-7.
    一般住民における食事バランスガイドに基づく食習慣と死亡
    <要約>食事バランスガイドではカロリー、各食品群やアルコールの摂取等を基に得点化し、高得点ほど望ましい食生活としている。ベースライン時の食習慣調査から食事バランスガイドに基づき得点化し、その後の死亡リスクとの関連を評価した。女性では、得点が高いほど全死亡リスクが低いことが認められた。男性ではその傾向は見られなかった。
  33. Cigarette smoking and the adult onset of bronchial asthma in Japanese men and women.Ann Allergy Asthma Immunol. 2009 Apr;102(4):288-93.
    喫煙と成人における気管支喘息
    <要約>1992年のベースライン調査参加者で70歳以下を対象に2002年、この追跡期間中の気管支喘息発症の有無、医師による気管支喘息診断年齢についてアンケート調査を行った。男性では喫煙者は喫煙したことのない者に比べ、気管支喘息発症のリスクが2.7倍であった。喫煙年数、喫煙本数が高いほどリスクも高まった。女性では、喫煙者に有意に高いリスクは認めあられなかった。
  34. Self-reported diabetes mellitus and risk of mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer in Takayama: a population-based prospective cohort study in Japan.J Epidemiol. 2008;18(5):197-203.
    糖尿病と全死亡、心血管障害およびがん死亡に関する前向き研究
    <要約>ベースライン時に糖尿病歴がある男性は、糖尿病歴のない男性に比べ、その後の全死亡や心疾患死亡のリスクが有意に上昇していた。糖尿病歴がある女性では、全死亡、がん死亡のリスクが有意に上昇していた。
  35. Rationality/anti-emotionality personality and dietary habits in a community population in Japan.J Epidemiol. 2008;18(4):183-90.
    合理性/非情緒性性格と食習慣
    <要約>合理性/非情緒性性格は、がん死亡や心血管障害による死亡が低い傾向があることを以前報告している。ベースラインの時点で、この性格と食習慣の関連性を評価した。男女とも合理性/非情緒性性格は大豆製品、緑黄色野菜、海藻の摂取量が高いことが認められた。
  36. Soy isoflavone intake is not associated with the development of cedar pollinosis in adults.J Nutr. 2008 Jul;138(7):1372-6.
    大豆イソフラボン摂取は成人における花粉症発症と関連性が認められない
    <要約>大豆イソフラボンは、免疫反応の促進にも、一方抑制にも作用する可能性がある。そこで2002年のアンケート調査にて花粉症に関する4症状について尋ね、ベースライン時における大豆イソフラボン摂取との関連を評価した。男女とも関連性は認められなかった。
  37. Smoking and risk of cedar pollinosis in Japanese men and women.Int Arch Allergy Immunol. 2008;147(2):117-24.
    日本人における喫煙と花粉症リスク
    <要約>2002年のアンケート調査にて花粉症に関する4症状について尋ね、ベースライン時における喫煙状況との関連を評価した。男女とも喫煙者は喫煙したことのない者に比べ、有意にその後の花粉症発症のリスクが低下していた。
  38. Fruit and vegetable intake and mortality from cardiovascular disease are inversely associated in Japanese women but not in men.J Nutr. 2008 Jun;138(6):1129-34.
    果物、野菜摂取が高いと女性において心血管障害死亡リスクが低い
    <要約>ベースライン時に推定された野菜摂取が高いほど心血管障害死亡リスクが女性において有意に低下していた。果物摂取も有意でないものの同様の傾向が認められた。男性においてはこれらの関連性は認められなかった。
  39. Alcohol drinking and colorectal cancer in Japanese: a pooled analysis of results from five cohort studies.Am J Epidemiol. 2008 Jun 15;167(12):1397-406.
    飲酒と大腸がん:日本の5コホートによるプール解析
    <要約>高山コホートを含む日本の8コホートによる共同研究。飲酒量が多いほど大腸がんリスクは上昇し、1日におけるアルコール摂取が92g以上の男性では非飲酒者に比べ約3倍、大腸がんのリスクが上昇していた。女性でも飲酒量が高いと大腸がんリスクが上昇していた。
  40. Sodium intake and risk of death from stroke in Japanese men and women. Stroke 35:1543-1547, 2004
    日本人男女における塩分摂取と脳卒中死亡の関連性
    <要約>1992年のベースライン時に調査した塩分摂取その他の食習慣がその後の脳卒中死亡にどのような影響を及ぼすかを評価した。男女とも塩分摂取の高い者は脳卒中死亡のリスクが高かった。男性においては上位1/3の高摂取群は下位1/3の低摂取群に比べ脳卒中死亡リスクは2.3倍で、統計的に有意に高かった。女性においては上位1/3の高摂取群は下位1/3の低摂取群に比べ脳卒中死亡リスクは1.7倍であった。
  41. The relationships of a rationality/antiemotionality personality scale to mortalities of cancer and cardiovascular disease in a community population in Japan. J Psychosom Res 56:103-111, 2004
    日本における合理性/非情緒性性格尺度とがんおよび心血管障害による死亡との関連性
    <要約>1992年のベースライン時に調査した合理性/非情緒性性格尺度がその後のがん死亡や心血管障害による死亡にどのような影響を及ぼすかを評価した。このスコアが高い男性にがん死亡や心血管障害による死亡が低い傾向が見られた。
  42. Height, weight, and alcohol consumption in relation to the risk of colorectal cancer in Japan: a prospective study. Br J Cancer 88: 1038-1043, 2003
    日本における身長、体重、飲酒と大腸癌との関連性:前向き研究の結果
    <要約>1992年のベースライン時に調査した身長、体重、飲酒、喫煙習慣がその後の大腸がん発生にどのような影響を及ぼすかを評価した。男女とも身長の高い者は大腸がんのリスクが高かった。男性においては上位1/3の高身長群は下位1/3の低身長群に比べ大腸がんリスクは約2倍で、統計的に有意に高かった。男女ともアルコール摂取の高い者に大腸がんリスクが高かった。
  43. The impact of changes in marital status on the mortality of elderly Japanese. Ann Epidemiol 13:218-222, 2003
    日本人高齢者において婚姻状態がその後の死亡率に及ぼす影響
    <要約>高山スタディ参加者のうち65歳以上の高齢者で1992年のベースライン調査時に婚姻状態にある者を対象に、その後の配偶者との死別や別居が本人の死亡にどのような影響を及ぼすかを評価した。男女とも配偶者との死別がその後の死亡率を高めるという傾向は認められなかった。女性においては、死別後3年以上たてば、配偶者を持つ女性に比べ、むしろ死亡率が統計的有意に低下していた。
  44. Soy and fish oil intake and mortality in a Japanese community. Am J Epidemiol 156: 824-831, 2002
    某日本人地域住民における大豆および魚油摂取と死亡について
    <要約>高山住民を対象に、1992年のベースライン調査時における大豆および魚油を中心とした栄養習慣がその後7年間の死亡にどのような影響を及ばすがを評価した。大豆製品摂取の多い者に総死亡率が少なかった(男女とも摂取量に応じて5等分に分け、死亡のリスクを低摂取群のグループを1.0とすれば、高摂取群は死亡リスクが0.85と減少していた)。女性において魚類の高摂取者は死亡リスクが減少していたが、男性では統計的に有意なリスクの低下は認められなかった。
  45. A Prospective cohort study of soy product intake and stomach cancer death. Br J Cancer 87: 31-36, 2002
    大豆摂取と胃がん死亡に関する前向き研究
    <要約>高山住民を対象に、1992年のベースライン調査時における大豆製品摂取その他の栄養素摂取とその後7年間の胃がんによる死亡との関連性を評価した。死因データは総務庁の許可を得て使用した。大豆製品摂取の多い者に胃がん死亡が少なかった(摂取量に応じて、低、中、高に分け、低のグループを1.0とすれば、高のグル−プは男女とも胃がんのリスクが約0.5と半減していた)。
  46. Weight change in relation to natural menopause and other reproductive and behavioral factors in Japanese women. Ann Epidemiol 12:237-241, 2002
    日本人女性における閉経、出産関連因子及びその他の行動因子と体重変化との関連性
    <要約>40-54歳の閉経前女性828人を対象としての研究。1992年のベースライン調査に加えて1998年に体重と月経について再調査を行った。6年間の追跡期間中、平均0.17kgの体重増加を認めた。体重増加の著しかったのは閉経に至らなかった者、ならびに閉経に至っていても初経年齢が若かった者であった。また、閉経前でも出産数が多い者の体重増加が目立った。
  47. Soy product intake and premenopausal hysterectomy in a follow-up study of Japanese women. European Journal of Clinical Nutrition 55:773-777, 2001
    日本人女性を対象とした追跡研究による大豆製品摂取と閉経前子宮摘出術との関係
    <要約>35-54歳の閉経前女性1,172人を対象として、1998年までの6年間に閉経を迎えたかどうか、ならびに子宮摘出術を受けたかどうかについて郵送法で調査を行った。閉経前に子宮摘出術を受けた者は合計31人あり、イソフラボン摂取の多い女性ではその手術を受けた者の割合が低かった(低、中、高に分け、低のグループを1.0とすれば、中、高のグループはそれぞれ、0.35、0.78:中位の0.35は統計学的に有意)。
  48. Soy product intake and hot flashes in Japanese women: Results from a community-based prospective study. Am J Epidemiol 153:790-793, 2001
    日本人女性の大豆製品摂取と顔のほてりとの関係:某地域住民を対象とした追跡研究から
    <要約>35-54歳の閉経前女性1,106人を対象として1998年までの6年間に新たに顔のほてりが出現したかどうかを調査した。101人がほてりが出たと回答したが、大豆製品摂取の多い女性においては、その出現が少なかった(低、中、高に分け、低のグループを1.0とすれば、中、高のグループはそれぞれ、0.82、0.47)。イソフラボンに換算しても同様の結果であった。
  49. Diet and colorectal adenoma in Japanese males and females.Dis Colon Rectum 44:105-111, 2001
    日本人男女の食事と大腸腺腫との関係
    <要約>高山コホート参加者の中から、1993年1月〜1995年12月に、181人の男性と78人の女性に大腸腺腫が発見された(高山市の2大病院)。男子の大腸腺腫発生のリスクを高めている栄養素は動物性蛋白とビタミンAであり、逆に炭水化物の摂取でリスクは下がっていた。動物性脂肪ならびにコレステロール摂取もリスクを高めていたが、統計学的には有意とは言えなかった。女性では明らかな傾向を見出せなかった。
  50. Association of diet with the onset of menopause in Japanese women. Am J Epidemiol 152:863-867, 2000
    日本人女性における食事と閉経との関連性
    <要約>高山スタディ開始時に35-54歳で閉経前であった女性は6,324人。その中から1998年8月に1,500人を無作為に選び、調査協力の依頼をし、1,196人から回答を得た。6年の間に閉経を迎えた女性は296人であり、年齢、肥満指数、喫煙歴等で補正してもなお、緑黄色野菜を多くとっていた女性の閉経が遅れる傾向にあった(統計学的にも有意)。
  51. Inverse association of soy product intake with serum androgen and estrogen concentrations in Japanese men. Nutrition and Cancer 36:14-18, 2000
    日本人男性における大豆製品摂取量と血清中エストロゲン、アンドロゲン値の逆相関
    <要約>高山スタディに参加した男性14,427人の中、無作為に選んだ256人の男性に協力を依頼し、了解の得られかつ分析可能であった69人が対象。大豆製品摂取量と血清中のエストラジオールとの相関はr = -0.32 (p = 0.009)、エストロンとの相関はr =-0.24 (p = 0.05)であった。また、大豆製品摂取量と血清中の総テストステロン、フリー・テストステロンそれぞれとの相関係数はr = -0.25 (p = 0.05)、r = -0.25 (p =0.06)であった。これらの係数は年齢、肥満指数、喫煙などの因子で補正済みである。
  52. Rationality/antiemotionality personality and selected chronic diseases in a community population in Japan.Journal of Psychosomatic Research 48:31-35, 2000
    日本の某集団における合理性/非情緒性性格と主な慢性疾患との関係
    <要約>高山市35歳以上の男子13,091人と女子14,061人での研究。11の質問からなる合理性/非情緒性性格尺度(R/Aスコア)と主な既往疾患との関係を見たところ、男子では脳卒中、糖尿病、アレルギーの既往のある者の方が、既往のない者よりR/Aスコアが低かった。女子では脳卒中、アレルギー、胃がんの既往のある者の方が、既往のない者よりR/Aスコアが低かった。年齢、喫煙、飲酒で補正後、男子では脳卒中、糖尿病、アレルギーとR/Aスコアの間に、女子では脳卒中とR/Aスコアの間に負の相関が認められた。これはユーゴスラビアや西ドイツでの結果と反対である。
  53. Cigarette smoking, alcohol use, and colorectal adenoma in Japanese men and women. Dis Colon Rectum 42:337-342, 1999
    日本人男女の喫煙・飲酒と大腸線種との関係
    <要約>高山コホート参加者の中から、1993年1月〜1995年12月に、181人の男性と78 人の女性に大腸腺腫が発見された(高山市の2大病院)。大腸腺腫発生のリスクは男性喫煙者で1.6倍、女性4.5倍であり、統計学的にも有意であった。喫煙の影響は近位結腸に顕著であった。飲酒全体としては大腸腺腫との関係を見出せなかったが、日本酒を飲む者の大腸腺腫のリスクは1.7倍であった。ただし、量−反応関係は認められなかった。
  54. Serum concentrations of carotenoids, α-tocopherol, fatty acids, and lipid peroxides among Japanese in Japan, and Japanese and Caucasians in the US.Internat J Vit Nutr Res 69:385-395, 1999
    日本の日本人とアメリカの日本人・白人における血清中のカロテノイド、αトコフェロール、脂肪酸、および過酸化脂質濃度
    <要約>(この研究対象は高山市の住民だけでなく、福岡県某町の住民も日本の日本人例として混じっているが、参考までにリストに加える。)血清中のカロテノイド、脂肪酸などの日米比較を行った研究であり、アメリカでの対象はロサンゼルスの住民からの無作為抽出標本である。日本の日本人に高かったのは、βカロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、n-3多価不飽和脂肪酸であり、逆にn-6多価不飽和脂肪酸は日本の日本人で低かった。また、日本の日本人では過酸化脂質の指標としてのチオバルビツール酸反応物質(TBARS)が高かった。米国の日本人での各値は、概ね日本の日本人と米国白人の中間の値であった。
  55. Evaluation of a screening program on reduction of gastric cancer mortality in Japan: Preliminary results from a cohort study. Preventive Medicine 29:102-106, 1999
    日本における胃がん死亡減少に関する検診の効果評価:コホート研究からの中間結果
    <要約>わが国ではがん検診が普及しているが、その効果を前向き(追跡的)に研究した報告はほとんどない。高山市の住民で、調査前1年間に胃がん検診を受けたことのある者とない者の2群に分け、1992年9月から1995年12月までの胃がん死亡を追跡した。男では、検診群4,934人中8人、非検診群6,536人中19人が胃がんで死亡しており、女では、検診群4,208人中4人、非検診群8,456人中9人が胃がんで死亡していた。年齢、喫煙歴、肥満などで補正した胃がん死亡に対する検診効果は、男で0.72(95%CI=0.31-1.66)、女では1.46(95%CI=0.43-4.90)であった。
  56. Nutrient intakes in relation to style of breakfast and taste preferences. J Epidemiol 9:91-98, 1999
    朝食のスタイルおよび味の好みと栄養摂取量の関連性
    <要約>朝食が和食型か洋食型かによって、摂取する栄養に一定の傾向があり、病気にも差があるのではないかと言われている。しかし、和食型で粗繊維の摂取量が多かったこと以外には両型で差を認めなかった。また、塩辛いもの、脂こいもの、甘いものが好きだと回答した者でも、それぞれ塩分、脂肪、炭水化物の摂取量が多いという所見は得られなかった。
  57. Association of dehydroepiandrosterone sulfate with serum HDL-cholesterol concentrations in post-menopausal Japanese women. Maturitas 31: 21-27, 1998
    閉経後日本人女性におけるデハイドロエピアンドロステロンとHDL-コレステロールとの関係
    <要約>閉経後女性で血清中のデハイドロエピアンドロステロン値が高い者は、HDL-コレステロール(善玉コレステロール)が高いことが分かった。これまで、男性についてはこのようなことが言われていたが、女性での結果を出したのはこの研究が初めてである。
  58. Validity and reproducibility of a quantitative food frequency questionnaire for a cohort study in Japan. Jpn J Clin Oncol 29:38-44, 1999
    日本における某コホート研究用食物頻度調査票の妥当性と再現性
    <要約>高山市で行った栄養調査のために用いた調査票は、169種類の食物の摂取頻度を聞き、あわせて1回当たりの摂取量を聞くものであったが、電話インタビューや記録法による栄養摂取量推定値と比較し、比較的よく一致していた。また、1年後に同じ調査を行ったところ、比較的よく一致していた。
  59. Effects of passive smoking on serum levels of carotenoids and α-tocopherol.Journal of Epidemiology 8:146-151, 1998
    受動喫煙が血清中のカロテノイドおよびαトコフェロールの値に及ぼす影響
    <要約>尿中のコチニン値から推定した受動喫煙者では、血清中のゼアキサンチン/ルテインの値が低かった。すなわち、他人のたばこの煙を吸うことによって、血清中の抗酸化物質の値が低くなる可能性がある。
  60. Association of diet and other lifestyle with onset of menopause in Japanese women. Maturitas 29:105-113, 1998
    日本人女性における閉経時期と食事およびその他の生活習慣との関係
    <要約>子供のない女性、痩せている女性の閉経年齢が早かった。また、カルシウム摂取量の多い者、大豆製品を多くとる女性で閉経年齢が早かった。一方、喫煙女性の閉経年齢が遅く、脂肪、コレステロール、コーヒー摂取の多い女性の閉経年齢が遅かった。
  61. Associations of individuals’ health-related behavior with their own or their spouses’ smoking status. J Epidemiol 8:42-46, 1998
    本人および配偶者の喫煙状況と健康関連行動との関係
    <要約>本人の喫煙はもとより、配偶者の喫煙状況は本人の健康関連行動に強く関連している。例えば、配偶者が喫煙者である場合は本人のビタミン摂取量が低く、検診受診率が低い。
  62. Decreased serum total cholesterol concentration is associated with high intake of soy products in Japanese men and women. J Nutr 128:209-213, 1998
    日本人男女における大豆製品大量摂取による血清コレステロール減少
    <要約>男1,242人、女3,596人での研究。食事調査票と市の成人病健診データとの照合。大豆製品摂取量の多い者ほどコレステロールが低かった。男女共通。
  63. Associations of alcohol, height, and reproductive factors with serum hormone concentrations in postmenopausal Japanese women. Breast Cancer Research and Treatment 44:235-241, 1997
    閉経後日本人女性の飲酒、身長、生殖歴と血清ホルモンとの関係
    <要約>61人での調査結果。身長が高く、飲酒量が多い者で血清中のエストロゲンが高かった。生殖歴とは無関係であった。
  64. Unapproved use of high-dose combined pills in Japan: A community study on prevalence and health characteristics of the users. Preventive Medicine 26:565-569, 1997
    日本における高用量ピルの使用状況:地域住民における使用者割合と使用者の特性
    <要約>現使用者割合は1.3%。使用経験者は7.1%。使用者の特性は、カロテン、繊維、ビタミンC,Eが少ないこと。
  65. Validation of simplified diet history questionnaire.Journal of Epidemiology 7:33-41, 1997
    食生活調査票簡易版の妥当性
    <要約>高山で用いた食生活調査票(169項目)をもとに、31項目から成る簡易版を作成し、その妥当性を検証した。脂肪摂取を除き、他の栄養素では概ね良好な妥当性のあることを確認した。
  66. Prevalence of hormone replacement therapy and user’s characteristics: a community survey in Japan.Maturitas 25:201-207, 1996
    ホルモン補充療法の頻度と療法実施者の特性:日本における某地域での調査
    <要約>45〜64歳のうち、ホルモン補充療法実施中の女性は2.5%、これまでに同療法を実施したことのある女性は6.3%であった。現在実施中の女性は、そうでないものに比べ、がん検診受診率が高く、ビタミン剤やカルシウム剤を多く服用していた。
  67. 24時間思い出し法による各種栄養素摂取量の季節変動
    栄養学雑誌 54:11-18, 1996
  68. Frequent hard physical activity lowered serum β-carotene level in a population study of a rural city of Japan. Tohoku Journal of Experimental Medicine 176:131-135 1995
    頻回の強度な運動による血清βカロテン値の減少---日本の一地方都市における集団研究---
    <要約>男性57名、女性74名の血清中のβカロテン値を3日間食事記録と思い出し による1週間の運動量の関連性に注目して分析したところ、強度の運動を多く行う頻度が高いほど血清βカロテン値が低いことが明らかとなった。