碧南こどもスタディ 「学童における生活習慣と健康に関する前向き研究」
本研究は、小児期の生活習慣や環境が、その後の健康状態や生活習慣病のリスク要因にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的として、2011年に始まりました。愛知県碧南市の小中学生を対象として、小学1年生で生活習慣や環境を把握し、その後中学3年生に至るまで縦断的に追跡を行いました。その後も小学4年生と中学1年生では、碧南市が行う生活習慣病の健診事業に合わせて調査を行い、生活習慣と健康状況をより詳しく評価しています。
- NEWS
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: | 国立がん研究センターがん対策研究所が共同研究機関に加わりました。 |
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: | 碧南こどもスタディ「学童における生活習慣と健康に関する前向き研究」のホームページを立ち上げました。 |
- 研究の目的
そこで本研究では、小学校1年の時期から生活習慣・環境を把握し、その後中学3年に至るまでの縦断的調査を行うことにより、どのような生活習慣や環境が、その後の小児の健康状態や生活習慣病のリスク要因に影響を及ぼすかを明らかにし、将来の生活習慣病予防に役立つ望ましい生活習慣を見出すことを目指しています。
- 研究の方法
ベースライン調査(2011-2015年)
愛知県碧南市の小学校に通学する小学1 年生とその保護者の方々を対象に生活習慣や環境に関するアンケート調査を行ないました。アンケートでは、保護者の方に、児の発育状態、既往歴、健康状態(アレルギーなど)、生活リズム(食事、就寝、起床時刻など)、運動習慣、食習慣、携帯、パーソナルケア製品、日焼け止めなどの使用、家庭における喫煙環境等について回答を依頼しております。合わせて、環境への暴露や食品から摂取される微量元素やビタミン、イソフラボンの摂取やホルモン状態、抗酸化状態、免疫状態、生活リズムなどを反映するマーカーを測定するため、自宅で採取した早朝尿を提出してもらっています。また学校での身体測定や体力測定等の結果の利用も依頼しています。
小学校1年時におけるベースライン調査は5年間実施し、計3,141名の学童の参加を得ました(参加率87.4%)。
追跡調査(2014~2023)
1.小学4年、中学1年時
碧南市の小学校、中学校で、ベースライン時と同様に生活習慣や環境に関するアンケート調査、早朝尿採取、学校での身体測定や体力測定等の結果の利用を依頼しています。アンケートは、児童生徒本人と保護者の両方に記入してもらっています。同時期に市の事業として学校で健康診査が実施されている健康診査の結果利用と、診査時に採血した残血清をいただき各種マーカーを測定へ用いることをお願いしています。血圧、血中のコレスロール、脂質、血糖の値は生活習慣病のリスクマーカーと考えられます。
2.中学3年時
生活習慣、環境、健康状態に関するアンケート調査、学校での身体測定結果の利用を依頼します。
横断調査
小学校4年生(2019年〜)と中学1年生(2022年〜)の健診受診者を対象に、アンケート調査を行い、市の事業による健康診査結果の利用と、診査時に採血した残血清の利用を依頼します。2025年は、岐阜大学と国立がん研究センターの共同研究として、アンケート調査の収集と健康診査結果の利用を実施します。
解析
ベースライン時あるいは追跡時の生活習慣の情報とその後の学童の健康状態、生活習慣病リスクマーカー値との関連を計算することで、どのような生活習慣が健康影響を及ぼすかを評価します。
情報の取り扱いおよび倫理について
この研究は2011年8月に岐阜大学大学院医学系研究科倫理審査委員会から承認を得て実施しています。2025年には、岐阜大学大学院医学系研究科と国立がん研究センターがん対策研究所の共同研究として、岐阜大学大学院医学系研究科倫理審査委員会の承認を受け、両機関の長からの実施許可を得ています。
人を対象とする医学系研究に関する倫理指針、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針及び適用される法令等に従います。個人情報等は研究責任者が厳重に管理し、研究で取り扱う試料・情報は、岐阜大学大学院医学系研究科、または、国立がん研究センターがん対策研究所に保管します。全ての情報は、個人が特定されないように加工した上で、研究・解析に使用します。本研究の成果を学会発表及び論文発表する際には、研究対象者が特定できる情報は使用しません。
これまで調査に参加された方でも、中途で研究への利用を取りやめることは出来ます。その場合は、以下の事務局までご連絡下さい。
研究組織
研究代表者
2011年〜2024年 永田知里 疫学・予防医学分野教授
2025年〜 和田恵子 疫学・予防医学分野
事務局
〒501-1194 岐阜市柳戸1−1
岐阜大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学分野
TEL: 058-230-6412
FAX: 058-230-6413
担当: 和田恵子
2025年調査
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
国立がん研究センターがん対策研究所 予防研究部
Tel:03-3547-5201(3332)
担当:井上真奈美
共同研究機関
岐阜大学大学院医学系研究科
国立がん研究センターがん対策研究所
協力機関
碧南市、碧南市医師会、碧南市健康を守る会
碧南こどもスタディ業績
1. | The Hekinan Children's Study: Design and Profile of Participants at Baseline. J Epidemiol. 2019 Jul 5;29(7):272-277. |
碧南こどもスタディ:研究デザインと参加者の概要 <要約>2011年、小児期の生活習慣や環境と生活習慣病のリスク要因に関するコホート研究を開始した。ベースライン調査では、小学1年生を対象に、発育状態、病歴、食、運動、睡眠などの生活習慣、家庭環境などのアンケート調査と採尿を行い、3,141名(参加率87.4%)の参加を得た。 |
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2. | Associations of Cell Phone Use and Screen Viewing with Overweight in Children. Child Obes. 2019 Oct;15(7):417-425. |