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     岐阜大学植物遺伝育種学研究室では、2005年に山根がワサビ調査を開始してから現在に至るまで、全国各地から収集したワサビ属植物の系統保存を行っています。主に野生種を保存しており、野生種のコレクションとして世界で唯一の系統保存施設です(下の図と写真は2015年夏現在の調査地点マップと調査風景)。  
     
    ワサビといえば、清流のイメージが強いかもしれませんが、検討を重ねた結果、現在は写真の通り鉢植えによる栽培で系統を維持しています。ワサビ属植物では、種子の長期保存の方法が未だ確立されていません。全国の山々から集められたワサビ属植物たちは、夏の高温と冬の霜や凍結に弱いため、一年のほとんどをここで過ごしています。春になると多くの個体が春には白くてかわいらしい十字花を咲かせ、庫内は一気ににぎやかになります。   
     
    山根らによるDNA解析の結果、ワサビは確かに日本固有種であり、日本で栽培化された植物であることが明らかとなりました。意外に思われるかもしれませんが、日本で栽培化されたとされる植物はウド、フキ、ミツバなど、山菜とよばれるごくわずかな植物に限られています。ワサビはその中でも世界的にも認知度が高く、飛鳥時代から利用の記録が残る、日本が誇る栽培植物といえます。
  ところが、そのワサビが、
日本の山から消えつつある現状をご存知でしょうか?
  ワサビの生育する山間部の環境の変化、獣害、乱獲等、様々な要因が働き、自生地がどんどん失われています。また、伝統的な栽培農家も姿を消し、古くから伝わる技術や知恵も喪失の危機にあります。とくに各地域で成立した在来品種は、壊滅的な状況にあります。その一方で、海外からの輸入は年々増え、現在確認できているだけでも14カ国でワサビ栽培が行われ、日本はこれらを輸入しています。
  そこで、当研究室では、ワサビの保全を目的とした研究をすすめ、現在保全地域の選定と保全策の検討を行っています。DNA解析と同時に、文化地理学的な側面からも検証することで、日本人が現在までどのようにワサビとかかわり、また人間活動がどのように植物の多様性に影響を与えたのかを明らかにしたいと考えています。このことは、今日まで採り尽くされることなく脈々と受け継がれてきた貴重な植物資源と今後どのように付き合うべきなのか、人と植物の共生の道をさぐる手がかりになると信じています。

 
   

 
    尚、本設備は、岐阜大学応用生物科学部教授田中逸夫先生(植物環境制御学)に作成して頂き、技術提供を受けました。また、本事業は公益財団法人新技術開発財団の研究助成、科学研究費補助金などの支援のもとで運営されてきました。現在は、国立大学運営交付金による校費により運営されていますが、近年、交付金の減額により厳しい状況となりつつあります。  
   

 
       
       
       
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