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2巻ではやはり、山仕事について、現在ブランドとなっている東濃桧とのかかわりを語られている伊藤勇さん、植林をして材木市場を作った梅田良作さん、さらには木地屋、木工職人としての人生を語られた大蔵光一さん、桂川正平さん、大工さんとして家を建ててきた熊沢岩男さん、加子母ならではの話を読むことができます。

又現在加子母といえばトマトというその礎を作った纐纈源吉さん 丹羽覚衛さん等それぞれのお話が、加子母におけるトマト栽培そのものの歴史でした。
東京から嫁いでみえた女医の河村(こうむら)廣子さんは、東京の娘時代と加子母で医師をされた話のギャップが面白く、それでも医師としての志の高さも又読み取ることができます。
加子母でほぼ人生を生きてこられた日常を話された古田トミエさんは、知り合いの息子さんのお嫁さん探しをしていた時の体験を通して、「子供はよう見とるで。気を付けて生活せにゃあかんってこと若いお母さんに伝えたい」と話してみえます。慎ましく暮らして見えた方の一家言だと思いました。
 加子母村最後の村長であられた粥川眞策さんは、教育者として長きにわたって加子母村に関わってみえたのですが、そのお話は、教育に対する考え方に大変意義深いものがありました。

今回の聞き書き集は、その多くの方が大正生まれの方で、昭和9年生まれの方が最年少となっています。共通して言えることは、みなさんがとてもお元気で、幸せそうなこと、戦争を直に経験された方も男性の方には多くみえますが、その心の痛みを、その後の人生に大きく生かしていかれたこと、私から見れば、「うわ~大変!!」と思うことも、大変だけどやらなきゃいけなかたからと、前向きに肯定してみえること、本当にこの本を読むと、ここで話された方々のパワーに圧倒され、元気を貰える本だと思います。 そして、この聞き書き集のもう一つの特徴は、加子母村独特の民俗について、丁寧に話して頂いていること、それを補う解説がきちんとされていることです。ところどころに図解がされていて、話のイメージを正確に捉えることができます。

写真は5月末の国道257号線を舞台峠を下ったあたりから、中津川方面をみています。本にあるように、山は植林されたところと天然林で残っている所が濃いグリーンと鮮やかな若葉のグリーンで色分けされ、田には山から魅かれて来ている水が引かれていました。道沿いには、産直市や東濃桧を使った小物の店などもあり、楽しいドライブができる道でした。

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