TOP>飛山濃水>>うなぎ・粥川・長良川その1

 

私が現地に行きました7月4日は前日の雨で、粥川の谷は水の勢いもあり、この“矢納ヶ渕”(やとうがふち-藤原高光が鬼退治した矢を治めたとされる渕)は、深くしかし澄んだ水がとても美しく、ここなら渕の主がいるのかもしれないと思わせるような雰囲気をだしていました。

現地の方にお話をきくと、
「うなぎが減ってしまって、放流をこころみたけれど、どれもこの川の水に合わず失敗に終わっている」
「いまでも たまにアユ釣りの方などが、うなぎをみかけることがある」とのことでした。
それでも昔のような、風景はもう取り戻せないのかもしれません。 現地を訪れ、この場所には星宮神社(やはり藤原高光に由来する虚空蔵菩薩がお祀りしてある神社でこの辺りには高賀六社という神社が点在し、山岳信仰と修験の場であったといいます)と粥川寺があり、このお寺は神仏習合の形態を持っています。この寺で 円空は得度を受け、以降この寺を本寺として全国を行脚して、その生涯で12万体の仏像を彫ったとされています。 7月4日はたまたまそこで、郡上の調理師組合の方のウナギ供養があり、町内の方に長良川(郡上の方は愛着を込めて長良と呼ばれます)についてお話を聞いてきました。
「河口堰ができてから、海から遡上してくるアユが本当に少なくなってしまった。現在は、美濃市の生櫛にある県魚苗センター美濃事業所からの放流鮎が多く、そのため 伝統的な釣り方である友釣り(鮎は自分の縄張りの岩に付着している苔を食しているため、縄張り意識が強く自分の縄張りに入ってくるアユを攻撃して追い出す習性があり、それを利用した釣り方)では釣りにくくなってきている。将来は餌を付けて釣るようになるのではないか」ということでした。

この辺り一帯は「百年杉の森」として、粥川の涼しげな渓流と見事な杉の木と、その森の美しさには圧倒されます。杉の下草にシダ類がびっしりと生い茂り、そこには荒れ果てた山の様子はありません。山の保水能力も高いのだろうと思われました。実際その下には「円空の森水」という場所があり、「ジュラ紀から石灰紀に形成された堆積岩から湧きだした水」を飲むことができます。 この場所が、昔のままなのか、一旦荒廃したものをここまで復元させたものか、聞きそびれてしまいましたが、こういった自然は、このままの姿で残していきたいものです。開発をしてしまっては、なかなか元に戻すことは難しいことです。その意味で「内ヶ谷ダム」の建設は気にかかります。 最後に、この星宮神社の前の食堂の「円空そば」をお昼に食べましたが、鮎を3枚におろして天ぷらにしてあり、鮎本来のふっくらした食感がとてもおいしかったです。 岐阜からは高速を使えば1時間もかかりません。 こういった自然が自分たちの身近にあることを本当に感謝しなくてはいけないとあらためて思いました。