工学部 化学・生命工学科 安藤研究室  

   

核酸の生合成中間体アナログの合成法の開発

核酸の生合成経路には、核酸塩基のカルボニル基がリン酸化によって活性化され、アミノ基等に置き換わる反応が複数存在します。我々は、この様な生体内反応の1つであるイノシン一リン酸→アデニロコハク酸の生合成の反応機構解明と酵素応答性分子の開発を目的とし、活性中間体アナログであるカルボニル基がリン酸化されたイノシンの合成法の開発に取り組んでいます。カルボニル基のリン酸化は既存の手法では困難ですが、求核性が極めて小さい酸性活性化剤であるCMPTやCMMTを用いることによって、不安定な合成中間体の分解を抑制することができ、カルボニル基がリン酸ジエステル化されたイノシンの合成法の確立に成功しました1

加えて、キサントシン一リン酸(XMP)→グアノシン一リン酸(GMP)の生合成中間体として知られる2位カルボニル基がアデノシン一リン酸化されたXMP(AMP-XMP)の単純なモデル化合物として、2位カルボニル基がリン酸ジエステル化されたキサントシンの合成に成功し、その加水分解安定性について明らかにしました2

1) Oka, N.; Morita, Y.; Itakura, Y.; Ando, K. Chem. Commun. 2013, 49, 1150311505.

2) Oka, N.; Hirabayashi, H.; Kumada, K.; Ando, K. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2021, in press.

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